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空港地下のパイプライン、給油時間と燃料の量
前回は給油車のことからジェット機の翼の中は液体燃料なのか、空気なのか。ジェット機は圧縮空気で飛んでいるのか、液体燃料も使っているのかという内容でした。
私の見解は、ジェット機は液体燃料も使っているけれど、表向きに発表されている量より随分と少ないとみています。
前回の記事はこちら↓
給油車の話が出たので、今回は飛行機の給油の情報について集めました。
飛行機の給油パターン
空港で飛行機が給油車から給油するシーンを見たことがある人もいるかもしれません。
調べていると給油車の燃料供給パターンは大まかに2つあることが分かりました。
空港作りですが、燃料タンク基地を作っている最中です。
燃料タンクから各駐機場の燃料バルブまで地下に張り巡らされたパイプラインを通って航空燃料が届けられます。
その燃料バルブから給油車を用いて飛行機に給油がされます。
#マインクラフト #マイクラ #Minecraft #空港
仙台空港とかでは給油車に燃料を積んで飛行機に横づけして給油しますが新千歳や羽田や成田は地下のパイプラインからポンプで燃料を組み上げて給油します
まとめると
・大型の空港(新千歳、羽田、成田など)
空港の地下にパイプラインを走らせ、給油車はその燃料バブルから燃料を組み上げて飛行機へ給油している
・一般的な空港
燃料を積んだ給油車から給油する
一般的な空港で活躍する燃料を積んだ給油車を調べていると、航空給油車の動画がありました。20KLという記載があります。
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日本での航空給油車の製造は少ない(2社?)ようです。
一般的な空港では、燃料を詰んだ給油車が空港で飛行機に直接給油するため、給油車自体は何度も補給してまた給油することを繰り返しているのだと思います。
飛行機の給油口の数は1箇所
飛行機の周りに何台も給油車がぞろぞろと待っている印象があまりなく、飛行機の給油口について調べました。
飛行機の燃料は、翼の下面についております。
一点給油方式で、1カ所の給油口から機内にある複数の燃料タンクすべてに、強制的に燃料を送り込むことができ構造になっております。
そのため、燃料を機体に送り込むには車体後端に設けたポンプとホースを使い、燃料を圧送します。
燃料タンクは主翼の中にあるので、給油口からタンクへのアクセスは大変良くなっております。
機体によっては、重力を使った給油方式で主翼の上面に給油口を付けている事があります。
圧送する場合には下面にあっても問題なく給油できるメカニズムになっております。
燃料を機体に送り込むには、車体後端に設けたポンプとホースを使っており、前述したように燃料を圧送するようになっている。いわゆる一点給油式で、1カ所の給油口から機内にある複数の燃料タンクすべてに、強制的に燃料を送り込むことができる。
飛行機の給油口は1箇所のようで、給油車は1箇所から燃料を補給していることになります。
給油車2台同時に飛行機に給油して時間短縮、といったことはできないようです。
ここで1台の補給車の掲載量より多くの燃料が必要な大型旅客機の場合、何台もの給油車が縦列して待ち構えることになります。
そういった問題解消にも繋がりますが、羽田空港など大きな空港では空港地下にパイプラインを走らせ、給油作業車は地下から燃料を組み上げて飛行機に補給するので、
給油車の切り替えの手間や給油車自体の燃料を補給する手間の省略、燃料切れといった心配はなくなります。
地下のパイプラインが気になり、情報を集めました。
空港地下のパイプライン
成田空港のパイプラインは「成田空港給油施設株式会社」という会社が担っているようです。
航空燃料輸送システム
成田国際空港で使用される航空燃料は、石油会社製油所などからタンカーにより運ばれ、東京湾内の千葉港頭石油ターミナルに荷揚げされます。そこから全長約47kmのパイプラインで四街道石油ターミナルを経由して成田国際空港内の第1給油センターまで運ばれて貯蔵。第1給油センターからは、空港のエプロンの地下に網の目のように埋設されたハイドラント配管により航空機直下まで払出されます。また、第2給油センターへも移送され、貯蔵されます。
成田国際空港内の第1給油センターまで続くパイプライン施設の一部は、隧道(トンネル構造)になっています。
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全長約47kmというかなりの長さのパイプラインが走っており、その一部は地下でトンネル構造になっているようです。
成田空港には地下があり、パイプラインは千葉の港まで繋がっているということです。全長47kmのうちどれほどが地下構造なのかは不明ですが、リンク先の写真を見ると人が移動できるスペースが確保されていることが分かります。
You Tubeには成田空港公式チャンネルでパイプラインを紹介する動画もありました。
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給油作業車の給油の様子
下記は成田空港ではなく羽田空港ですが、地下のパイプラインから給油作業車が旅客機に給油する動画を見つけました。
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この動画では、実際に地下に走るパイプラインの給油口から給油作業車が燃料を組み上げて旅客機に給油する様子を見ることができます。
気になった点
・地下からの燃料の組み上げはポンプではなく、埋没配管内にかかる圧力で給油する(水道の仕組みと同じ)
・ボーイング787型は給油ホース2本
・76000リットルの給油(羽田→ヒューストン)
・給油時の流量は毎分2500リットル
1分間に2500リットルの給油が可能という情報を得られました。
今回は羽田発ヒューストン行のボーイング787の旅客機で76000リットルの給油が必要とのことですので、
76000(L)÷2500(L/m)=30.4(m)
つまり単純計算で76000リットルの給油に30分24秒ほどかかることになります。
ここでShuさんの考察の記事から抜粋します。
・エアバスA380の燃料タンクは323525リットル=260トン。
・323525リットルの燃料を、下からの給油ノズルで45分で満タンにするらしい。
エアバスA380が必要な燃料323525リットルは45分で満タンにするとの情報ですが、毎分の流量を計算すると
323525(L)÷45(m)=7189.444…(L/m)
毎分約7189リットルというものすごいスピードであることが分かります。
羽田空港の給油の流量である毎分2500リットルでは323525リットルの給油は何分かかるのかを計算してみます。
323525(L)÷2500(L/m)=129.41(m)
ホースや圧力の違いなどもあるかもしれませんが、少なくとも羽田空港の給油作業車で給油する場合、129分25秒ほどかかる計算です。45分を大きく超えてしまっています。
様々な給油時間(ガソリンスタンド、F1など)
私たちが普段利用するガソリンスタンドや、F1などのレースで燃料を給油する時間はどのくらいかかるのか調べました。
①ガソリンスタンドの給油時間
自動車のwebマガジンに情報を見つけました。
なかでも、給油量はガソリン・ハイオクが100L、軽油が200Lまで。速度は、毎分30〜35L(軽油の高速型は毎分35〜70L)で、時間は4分までと決められています。
ちなみに、店員が給油を行うフルスタンドの場合は、時間に制限が無いばかりか、最大で毎分45Lの給油が可能となっています。
このように、空港の飛行機の真下まで燃料が届いている状態で、給油車はポンプで汲み上げて飛行機に給油すればよいので給油車に関しては効率はよいです。給油車から燃料切れになる心配はないですし、何度も給油車に燃料を積み直す必要がありません。
・セルフで毎分30〜35L
・軽油の高速型は毎分35〜70L
・フルスタンドで毎分45L
ガソリンスタンドの燃料の流量は1分間で30〜70リットルのようです。
確かに車にガソリンをつめるとき、画面操作や静電気除去などの工程を抜かして、給油だけの作業時間を考えれば体感1分くらいかもしれません。
フルスタンドの毎分45Lと比較すると、羽田空港の給油の流量である毎分2500リットルとは随分と差があります。
②F1の給油時間
給油に使用される給油機は全チーム同じもので、ガソリンの流れる速度は毎秒12リッターと決まっています。今日ではみんな、ガソリンの量をリッターではなくキログラムで表現するようになっていますが、ガソリンの比重を大まかに0.75kg/リッターと考えると、毎秒9kgというスピードです。
F1ではレース中に給油作業があるくらいですので、スムーズな給油作業だけでなく毎秒12リットルという給油の流量の多さにも驚きました。
毎秒12リットル、60倍して1分あたりを計算すると
12(L/s)×60=720(L/m)
つまりF1で使用される給油機では
1分間で720リットルの給油が可能という数値です。
ガソリンスタンドの毎分30〜70リットルよりは随分と早くなりましたが、
羽田空港の流量である毎分2500リットルにはまだまだ及びません。スピード重視のF1でさえも、羽田空港の1/3以下のスピードです。
③クイックチャージャー付き燃料タンク
余談になりますが給油時間の早そうな記事を見つけたのでご紹介です。
タフジャグのガソリンリッパーは軽量なポリウレタン製、20Lを14秒で給油、満タンになると給油をストップするクイックチャージャーが付いている。レースなどでの給油の手間と時間を大幅にカットできる燃料タンクだ。
20Lを14秒で給油できるクイックチャージャー付き燃料タンクのようです。1分間に換算すると
20(L)÷14(s)×60=85.71…(L/m)
つまりこちらのクイックチャージャー付き燃料タンクでは
1分間で約85.7リットルの給油が可能というスピードです。
フルスタンドの毎分45リットルより2倍近い早さの上、タンクから給油できる点も使い勝手良さそうです。こちらは2011年の記事なので後継モデルを探しましたがヒットしませんでした。
④競泳用の巨大ホース
給油ではありませんが、ここでShuさんの考察の中にあった競泳用の巨大ホースの給水の話を思い出しました。
・323525リットルの燃料を、下からの給油ノズルで45分で満タンにするらしい。
オリンピック競技用プールは巨大なホースを使って2500000リットルを4日かけて満水にする。この巨大ホースでもエアバスA380分の燃料分をプールにためるのに450分かかる。
shuさんの動画の飛行機の謎2022 Part1からオリンピック競泳用プールに巨大ホースで給水する様子を拝借します。
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人の小ささから、ホースの巨大さと流量の多さを伺えます。
このオリンピック競技用プールで使う巨大なホースの場合、2500000リットルを4日で満水にするとのことなので毎分に換算すると
2500000(L)÷4÷24÷60=434.0277777…(L/m)
となり、競泳用巨大ホースは毎分約434リットルの流量の計算となります。
shuさんの動画ではこの巨大ホースでエアバスA380分の燃料323525リットルを満水にするには450分かかるとの計算でしたので改めて計算すると
323525(L)÷434(L/m)=745.4493087(m)
745.4分となりました。私の計算間ミスかshuさん記載ミスかなんとも言えませんが、
巨大ホースでエアバスA380分の燃料を給油するのに約746分かかるという計算結果です。
あの競泳用巨大ホースで1分間に約434リットルの流量であり、
F1で使用される給油機の流量である毎分720リットルよりスピードは劣ります。
給油時間のまとめと考察
ここまでのまとめと考察を書いていきます。
まず様々な給油時間について1分あたりの流量をまとめると
ガソリンスタンド
セルフ 毎分30〜35L
軽油の高速型 毎分35〜70L
フルスタンド 毎分45L
クイックチャージャー付き燃料タンク 毎分約85.7L
F1の給油機 毎分720L
競泳用巨大ホース 毎分約434L
様々な給油時間を調べたところ、F1に使われる給油機の毎分720リットルというスピードが一番でした。
ホースの大きさだと競泳用の巨大ホースが一番大きいでしょうがそれでも毎分約434リットルです。
もし羽田空港の給油の流量である毎分2500リットルが可能ならば、オリンピックの競泳プールも巨大ホースで4日間もかけず、細いホースで1000分、すなわち16.6時間で満水にしていることかと思います。
費用面などあるとはいえ、それをしないのはなぜでしょうか。この毎分720リットル、もしくは毎分434リットルが流量の最速なのではないかと感じてしまいます。
これに対し、空港地下のパイプラインから燃料を組み上げる給油作業車の流量は
羽田空港の給油作業車 毎分2500L
エアバスA380 45分→毎分約7189L
旅客機の給油は驚異のスピードであることが分かります。
本当にこのスピードが可能なのでしょうか。
大型空港では燃料を給油車に積んだタンクからではなく、燃料を地下のパイプラインから組み上げることや、作業の分担制……
飛行機に給油する燃料の本当の量は、公式が提示している量が正しいとは言い切れないと思います。
『給油作業車の給油の様子』の項目で例をあげた羽田〜ヒューストン間のボーイング787型の旅客機では、
76000リットルの給油に毎分2500リットルで30.4分かかる計算でした。
仮に実は飛行機もF1給油機の毎分720リットルであったとし、30.4分で給油できる量を計算すると
720(L/m)×30.4(m)=21888(L)
となり、
公式の発表の76000リットルではなく、その3分の1以下の量である21888リットルしか燃料を給油していない、といった可能性も否めません。
さらには地下のパイプラインからの給油の場合ポンプを使用していない(水道と同じ原理)ということで
給水で使う競泳用巨大ホース(ポンプの有無は不明)の毎分約434リットル以下のスピードである可能性もあります。
その場合
434(L/m)×30.4(m)=13193.6(L)
となり、76000リットルの5分の1以下、6分の1に近い量である13193.6リットルまで減ってしまいます。ホースの大きさを考えるともっと少ない量になります。
今現在の感覚として離陸時、着陸時などには液体燃料を使っていて、通常の飛行時はほぼ液体燃料を使っていないのではと考えています。
憶測に過ぎませんが、飛行機の給油の流量は実際は毎分2500リットルの1/3〜1/6以下といったスピードであり、離着陸時などに必要な分だけの燃料を飛行機に積んでいる、その時間が30〜45分ほど必要なのかもしれません。