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プロペラ翼端渦と正弦波

飛行機などに起こる「翼端渦(よくたんうず)」という気流の渦があります。

翼端渦とは

翼端渦
揚力とは翼の下面と上面に生ずる気流の圧力差、つまり上面の圧力が低くなる為に上に持ち上げようとする力である。しかし、翼端付近に近づくと、その圧力差を埋めようと翼の横から気流の流れ込みが起こり、これが翼端渦と呼ばれる渦状の空気の流れである。翼端渦は揚力を発生させようとする翼の能力を低下させ、誘導抗力となる為、出来るだけ影響を受けなくすることが望ましい。対策として、アスペクト比を高くすることにより翼全体に対する翼端渦の影響を減らす事ができる。また、ウイングレットを設け翼端渦から翼をできるだけ遮へいする方法もある。図は進行方向から見たキャノピー 翼端付近では翼端渦と呼ばれる空気の渦が発生している。翼端ほど、渦の影響が大きい。
引用

このように通常の翼端渦とは名前の通り、翼の先端に気流の「渦」ができることです。揚力により生じた気圧の圧力差を埋めようと、翼の横から気流の流れ込みが起こり、渦状の空気の流れが生じる、と書かれています。翼端渦により翼の能力が低下し、飛行にとってはよくないものとされています。

飛行機が過ぎた後に見ることができる翼端渦を下記に集めてみました。

飛行機が通り過ぎた直後に、周囲の雲が外側から内側へと入り込む様子や、くるくると回転している様子を伺うことができます。

下記は鳥の翼端渦の観測であり、非常に貴重なものだと思います。

これらのように飛行機や鳥が通り過ぎた後は、「右回りの渦」と「左回りの渦」の力が起こることが分かります。周囲の雲が巻き込まれるほどの力であることが伺えます。
しかし鳥ならまだしも、この程度の渦の気流で何百トンもある飛行機の機体が持ち上がるのかという疑問を感じます。飛行機は翼端渦の発生を抑える構造を模索しているようですが、それでも揚力だけで飛べるという説明には違和感があります。

翼端渦と高度と気圧

翼端渦の情報を集めてもうひとつ気になったことは、翼端渦が観測できる場合の飛行機は割と低い位置を飛んでいることです。
この記事を書いている日の散歩中に、高い高度で飛ぶ飛行機が雲の中に突っ込んでいきましたが、周囲の雲は巻き込まれることはないどころか、まったく動いていませんでした。
こちらの『飛行機の翼が空気のプラスに対して反発力を持つから飛ぶ』の記事でも書いたように、破壊学事始さんのサイトでも「着陸するために飛行機が高度を下げていくとき、雲が下にあると、機体ががたがた揺れることがある。たいていは気流が悪くて揺れるのだと考えるが、あるとき気がついた。気流が飛行機を揺らすほどなら、雲が吹っ飛んでしまうはずだが、まったく動いていない。」と指摘しています。

また、高度が高ければ高いほど気圧は低くなります。山に登った時のポテトチップスの袋がパンパンになるのは、標高の高い山頂の気圧が低く、ポテトチップスの袋の中に閉じ込められた空気の方が気圧が高いため外に出ようと膨らむ力です。
高い高度を飛んでいる飛行機の周囲の雲が影響を浮けないのは、低い気圧の中で飛んでいるため揚力をそれほど受けずに飛んでいることを物語っています。高度の高い位置を飛ぶ飛行機では、翼端渦はどの程度起こるのでしょうか。

プロペラ翼端渦と正弦波

今まで書いてきた翼端渦とは少し異なりますが、プロペラでも翼端渦が起こるようです。視覚的には雨の日にプロペラ機を撮影すると映るとのこと。
プロペラは回転させることで大きな渦ができます。Twitterなどでどのように可視化できるのか情報を集めました。

このように、プロペラの羽の長さの渦ができている様子が伺えます。集めた情報のようにくるくると均等な幅の渦が繰り返されることで、3次元での「正弦波」をプロペラが作り出しているように感じます。

プロペラによって正弦波の渦を作ること、『正弦波とハムノイズ、ハムノイズと重力』の記事に書いたようにハムノイズのようなエンジンの音によって正弦波に近い振動周波数を起こすこと、そしてプロペラからも安定した「音」が発生すると思います。
これらの正弦波の渦の力により、機体周辺はかなり安定した状態になっていると感じます。
ハムノイズのような音を出す小さな飛ぶ昆虫も、風が吹いていても飛ぶことができます。

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