【note版】動物だけじゃない!見どころ盛りだくさん!英国おしゃれな「ポートリム野生動物公園」
日本で「Glamorous(グラマラス)」と「Camping(キャンピング)」を組み合わせた造語、「グランピング(Glamping)」が流行り始めたのは2015年頃だとか。
イングランド南東部、ケント州にある「ポートリム野生動物公園(Port Lympne Hotel & Reserve)」には、このグランピングやすてきなホテルもあるので、「動物園=子供向け」と決めつけず、宿泊施設を目当てに行ってみるのもよいかもしれません。
※以下は他媒体に掲載中の記事から転載(自著)した、過去のものです。noteには私の個人的な記録として一部割愛、再編集(くだけた文調や写真のキャプション、絵文字など)したものをお届けします。フルバージョンの原文はこちらをご参照ください(2021年5月17日執筆分)。
野生動物の保護に入園料で貢献
ポートリムは檻の中の動物を見せる展示型の動物園とは異なり、600エーカー(東京ドーム約52個分)の広大な敷地に柵で区分けしたサファリ・パークです。創設者であるジョン・アスピナル(John Aspinall)氏は同園を建てた際、一族の名を冠した「The Aspinall Foundation」も立ち上げ、動物の保護に力を注ぎました。ポートリムは希少動物や絶滅危惧種の繁栄を目的とし、最終的には野生に戻すことを目指しているチャリティ団体でもあるので、来訪者からの入園料は支援活動の直接的な助けとなります。
過去数年間だけでも繁殖、養育後8頭の黒サイ、135の霊長類、11頭の欧州バイソン、そして70頭の西洋低地ゴリラをコンゴやガボン共和国といったアフリカ、インドネシアのジャワ島へ返すことに成功しています。
園内にはイギリス国内最大級の黒サイやゴリラ、ヒョウやミーア・キャットといった大小の猫科、ライオンやキリンなど900種類以上の動物がいます。写真の園内マップにあるように、点線の部分はトラック型の大型車両でサファリ・ツアーをすることができます。あるいは、車両侵入禁止エリアが結構けっこうあるので、歩いて回ってもむしろ隅々まで見ることができ、十分楽しめます。
宿泊もOK!リゾート施設併設型公園
入園するとすぐにログハウス風の建物が並ぶ森林エリアや、庭園が広がるホテルが現れます。
ポートリムはただのサファリ・パークではなく、ロッジやログハウス、キャンプ気分が味わえるグランピングなど、さまざまな形態の宿泊施設が揃っています。
ロッジにはキリンやサイ、狼をテーマにした名前がつき、
運がよければ部屋の窓際すぐそばにまで、園内の動物が寄ってくるかもしれません。
ホテルの庭園は自由に行き来でき、建物頂上部分から見下ろす美しい庭園と、遠くに臨むドーバー海峡の景色は圧巻です。
企業向けイベントや結婚式の場所としても利用価値が高く、さらにその下の生垣で作られた屋外迷路は、子供たちに大人気です。
まるで人間のよう!猿の城とゴリラ・パビリオン
創設者のアスピナル氏は、70年代はじめより動物保護の活動を始めましたが、真っ先に取り組んだことがゴリラの繁殖と野生へ戻すことでした。そのため、ポートリムはほかの動物施設と比べてゴリラの数がとても多く、専用のパビリオンがあるほどです。
現在では息子のダミアン(Damian)氏が父の意志を引き継ぎ、野生に返すだけでなく、さらにはそれらのゴリラが自然界で子孫を残していることまで追跡しています。
Ambam、Djimu、Kushといった名前まで紹介された看板も唯一設置されており、アクリル板の壁で仕切られたゴリラコーナーでは、ワラを手のひらに置いては息を吹きかけて「おいしいワラ」だけ選り分けてモグモグ食べる様などが間近に見られ、多くの来場者が歓声を上げていました。
子供同士で遊んでいたゴリラのところへお母さんゴリラがやってきて、まるで叱られた子供のように慌てて逃げて行った兄ゴリラや、屋外の丸太に座ってボンヤリしている成人ゴリラは、まるで一服している憂いあるオジサンのようで、人間も猿から進化した動物の一種であるということを思い起こさせました。
テイクアウトで楽しむアウトドアの食事
園内ではよく歩くので、ところどころにあるレストランやカフェといった飲食施設ではついひと休みしてしまいます。メインのレストランはやはりゴリラが看板の「babydoll’s」。
石窯焼きのピザが売りで、天幕が張られた半屋外の店内はこれまたおしゃれです。テイクアウトもあり、ホットドッグやバーガーが£5〜6と良心的でした。
ポートリムはこのようなレストランやカフェ、ホテルなどの設備を見てもわかるように、園内の看板や表示、造りなどがなにかとおしゃれです。動物たちは通常の動物園でよく見られるコンクリートの床や限られたスペースで暮らしているのではなく、広大な草地で自然に近い環境を与えられているせいか、動物特有の臭いもほとんど感じることがありません。
国内最大級!迫力ある恐竜ゾーン
動物以外のみ見どころとしては、先に紹介した息をのむ展望と美しい庭園のほか、実物大に似せた恐竜のレプリカが並ぶ、恐竜の森こと「Dinosaur Forest」があります。古い順からデボン、ジュラシック期など年代ごとにその当時存在した恐竜が展示されており、体長や体重、特徴が書かれたパネルがあるので夢中で読みふける少年もおり、子供の学習に最適です。
こちらは屋外型の恐竜展示施設としてはイギリス国内でもっとも最も規模が大きく、置かれている恐竜は500gの小型で鳥の仲間のようなものから、「Mトン」など想像もつかないような単位の重さで、見上げるほどの巨大なものまでリアルに再現されています。展示品に自由に触れられるのも魅力で、なかには恐竜の腕にスッポリはまって記念写真を楽しむ親子連れもいました。
見張り姿がりりしい!ミーア・キャットの知られざる習性と希少な白ワラビー
ポートリムには虎トラやヒョウ、ライオンといった迫力ある大型動物もいますが、レッサーパンダやキツネザルなど、愛くるしい小型動物も多数います。
なかでもカンガルーの仲間であるワラビーのかわいさは際だっています。茶色い毛がスタンダードですが、こちらでは色素欠乏のアルビノなのか、まるで真っ白な大型ウサギのような見かけの白ワラビーがいます。若葉をムシャムシャと食べる仕草に癒されます。
また、マングースの仲間で漫画などのキャラクターとしても見かけるミーア・キャットは、小さな体でチョコチョコ動く様がワラビー同様とてもかわいらしいです。その一方で、外敵から身を守るために仲間内で交代で見張りを立てるなど、見かけとは裏腹に意外に勇敢な一面があります。
種子生存のために備わった能力はそれだけでなく、もともと南アフリカの水や食物が乏しい環境に生育しているため、ほかの動物に比べて60%の代謝だけで生きていけるそうです。寒い夜には体重の5%を落とし、過酷な状況でも生き延びる能力を備えています。
動物にとって最高の自然環境
園内は動物だけでなく、さまざまな草花や木々を愛でるのにも適しています。ふと目を下に向けると、懐かしいツクシが生えていました。気候のせいか、あるいは種類の違いか、日本のものと比べて巨大で、食用には適してなさそうです。
広大な敷地でサイが草を喰みながらのんびり歩いているかと思えば、星座占いのヤギのような立派な角を持ったアンテロープが駆け抜けており、ポートリムの動物たちはのびのびとしています。
イギリスの郊外では、羊や馬が牧場で放されている場面によく遭遇しますが、こちらのアンテロープのように全力疾走している動物を見かけることはまずありません。同様の思いなのか、走る姿を動画に収めている来園者もいました。
動物グッズが豊富なギフトショップ
最後は、入場ゲートも兼ねているギフトショップに戻ります。入場するときは中の様子が見えますが、仕切りがあって入れないのでおみやげの買い物は帰るときとなります。
サファリ・パークらしく、木をベースにした内装のショップは大量のぬいぐるみが並び、どれもかわいいので迷ってしまいます。看板動物、ゴリラの写真がカラー印刷されている紙箱のクッキーやTシャツなどもあります。
なかでもとりわけおしゃれなのは、キツネザルなど、やはり園内の動物をモチーフにしたノートなどの文具です。そのほかマグカップがかけられる金属製のスタンドも使い勝手がよく、デザインもすてきです。
たくさんの希少動物、絶滅危惧種が入り混じるポートリムでは、新しい赤ちゃんも年間を通して次々に生まれるので、いつ来ても楽しめます。子供を喜ばせながら大人な雰囲気も感じられる、子連れだけでなく大人の旅にも向いている施設です。
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