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リアル生イギリス英語vol. 10<スーパー各社のコロナ対策用語で学ぶ>

ここ数ヶ月、どなたのメールボックスもありとあらゆる新型コロナウイルスに関するお知らせメールで溢れ返っているかと思います。私個人のもので言うと、主に在英大使館、外務省、学校関連、保険やクレジットカードといった契約している商品についてのお知らせメールの他に、市民の台所、各社スーパーからのものがあります。

国民全ての人に関わり、生活の根幹を揺るがしかねない重要な任務を担う業種の一つである、スーパーマーケット。コロナウイルスに関する連絡メールは、民間企業からのお知らせとしては群を抜いて最多です。と言っても、ポイントカード制を取っていないスーパーでは私のメールアドレスの情報がないので、送られてくるのはカードを作成しているスーパーか、それに加えて普段からネットスーパーを利用しているところからのみです。以下、どれもイギリス地場のスーパー、テスコ(Tesco)セインズベリー(Sainsbury's)ウェイトローズ(Waitrose)の3社がどのように対応してきたか、メール文中で使われてきたキーとなる英単語を拾いながら、これまでを振り返っていきます。

Tesco の場合

最も初めにコロナウイルス関連で現状と対策などのお知らせメールを送ってきたのは、さすがイギリス小売りスーパーマーケット界の雄、最大手テスコ。人々の不安心理から、それまで売り切れていたのは除菌用ジェルソープ程度だったものが、ご存知世界的に棚から消えたトイレットペーパー、パスタ、トマト缶などの缶詰類にまで広がり始めたのが3月中旬

週明けの3月16日頃には早くもテスコからのお知らせが届いたのですが、その内容はあくまでも「落ち着いて。買い占めはヤメて。普通に商品あるから。」といったものでした。私も「そりゃそうだろうなぁ〜」などと思いながら何も考えずに削除したのですが、たったその2日後にはまるで前言撤回といった形で、これまで見たことのないCEO名義のメールが送られてきました。

冒頭には社名ロゴと共に、青地に白抜きで Together, we can do this. とのスローガンがデカデカと表示されていました。

たしかこんなスローガンは以前なかったはずなので、のっけから不安を煽られます。早速読んでみると、「我々はもはや

uncharted waters 海図にも載っていない未踏の水域

にいると言って差し支えない。」と・・のっけから、心理的圧迫感ハンパない!これを読んでいたのは良く晴れた清々しい朝の始まりでしたが、急に心臓がバクバクしてきました。な、何事?!その後も「これまで我々もでき得ることを全てやってきたが、もはやこれは not business as usual という事実を受け止めなければならない。」とあり、勿論企業としてはその後対策案について述べてあるのでしょうが、始めの数行だけでかくにも悲壮感漂う文章ばかり並べ立ててあったので、一瞬業務放棄か?!と、ますます鼓動が(悪いように)高鳴りました。

COVID-19(コロナウイルス)がイギリスにもたらした影響により、この局面を乗り切るための様々なチェンジが必要とされる。

significant and prolonged increases in demand 著しく、長期化された需要の増加

によって特定の品物の供給が滞る恐れがあるので、我々も頑張るが皆さんの助けも必要だ、というのが大まかな趣旨でした。政府によると、今後はこの状態(必要な商品が必要とする人々の元に届くよう、お互い助け合うということ)がイギリスの the new normal になるとのことです。具体的な対応策としては、

the core shopping essentials 生活必需品
everyday essentials 日用品

がより多くの人に行き渡るように、3月19日から全ての商品に対して一人3点までの個数制限 restriction of only 3 items per customer on every product line が始まりました。その他店内清掃、

replenish 商品の補充 

従業員休息のための営業時間短縮、会計時のキャッシャー付近で従業員と顧客の距離を空けること、両者の接触を減らすためのカード払い推奨、高齢者や自主隔離して外出ができない 

vulnerable people 災害弱者

用にネットスーパーの配達枠を確保したいので、可能な限り来店を促す措置などがとられました。来店できる弱者及び高齢者向けには、週3日の午前1時間を優先的に入店させる案も出されました。

Sainsbury's の場合

次に同じくCEO差出人で案内が来たのが、テスコより少しお高め設定の大手スーパー、セインズベリー

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同業他社と同じく、引き続き

work around the clock 絶え間なく、24時間ぶっ通しで

働いている旨、報告がありました。3月22日時点でテスコとの違いは、優先時間の適用者をNHSというイギリスの国民保険サービスで働く医療従事者にも広げている点です。(他社もこれに前後して同様にしているはずです。)けれど、彼らは朝早くから実際に仕事をしに行かなければならず、せっかく優先時間を設けられても開店時間が遅過ぎて利用できなかったのでしょう。 彼らに限っては週3日だけでなく、毎日開店時間を30分早めるようになりました。

セインズベリーには普段から弱者専用のホットラインがあるようで、それに登録されているデータを元に高齢者、障がい者、災害弱者にはネットスーパーの配達枠を優先的に利用できるという案内をメールで案内しました。未登録の人でも、該当者は新規に登録することでこのサービスを受けられます。

Waitrose の場合

最後は王室御用達の高級スーパー、ウェイトローズ。こちらはジョンルイスというイギリスの百貨店と同経営なので、メールの差出人は両社のカスタマーサービスのエグゼクティヴ・ダイレクターになっていました。内容はコロナウイルスに関して①地域コミュニティ②店舗③従業員に対して、今後どのように対応していくかということが簡潔にまとめられていました。

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それによると、まずは100万ポンドの「地域サポートファンド」を創設し、各店舗の裁量でそれぞれ必要なことに有効活用されるそうです。具体的には自主隔離者への配達枠の増強、care homes 老人ホームと各種コミュニティグループへの必需品配達支援、そして災害弱者となっている近隣住民への「ケア・パッケージ」なるものを作成する為の寄付に使われます。

店舗では高齢者、弱者及びその介護者を対象とした優先時間と、配達が必要な人への支援を始めました。百貨店傘下ならではの、ジョンルイス百貨店からウェイトローズスーパーへの人員移動も必要に応じてしていくそうです。

また、他社との違いが際立ちさすが、と感心したのが世の中が弱者、高齢者への支援一辺倒になりがちな中、それ以外の一般ユーザーへのケアも用意していたことです。妊婦への養育アドバイス、その他健康指導、クラフト作業、料理教室といったサービスをネット上、あるいは電話で遠隔提供すると表明しました。日々変わらず働くウェイトローズ従業員に対しては、特別手当を出すことになりました。

以上が3社のコロナウイルスに関しての主な初動ですが、その後も各社共に毎週最新状況のお知らせがメールにて送られ続けています。国民が政府の狙い通りthe new normal を徐々に受け入れているおかげで、日を追うごとに各社の文調は明るくなり、購入できる商品の個数制限が取り払われたり、品不足も大方解消されたりしました。イースターを目前に控えた4月には、売れ残ったら困るであろう季節限定で仕入れている、イースター関連グッズの販促についても触れる余裕が出てきました。

三社三様のメール様式

ここまで3社のお知らせを比較して興味深かったのはそれぞれのメール様式で、顧客への呼びかけ方、終わり方が下記のように見事に三社三様でした。

テスコは毎回ハロー Mrs Purley(名字)で始まり、最後は Thank you for your support. といった感謝の文で締めくくり、差出人名もCEOと肩書をしっかりつけたフルネーム。セインズベリーは Dear May(名前)で末尾は Best wishes で差出人は肩書なし、名字なしの名前だけ。(メールの表題には肩書がちゃんと書いてあるので、それをよく確かめないといきなり最後に肩書もなく「マイクより」などとあり、マイクって誰?!という感じで面白かったです。)ウェイトローズは Dear Mrs Purley で始まり、終わり方は Take good care,で肩書つきのフルネームでした。

これからも変更事項、改善状況などが送られてくるはずなので、引き続きこれら3社の動向に目を向けていきたいと思います。

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パーリーメイ | Purleymay
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