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《イギリス大学院留学記🏴󠁧󠁢󠁳󠁣󠁴󠁿》Interdisciplinary Studies(複数の学問を同時に学ぶ学)の是非について

Interdisciplinaryという概念を知ったのは、大学院リサーチを始めてからでした。文字通りInter (相互の)+ discipline (学問分野)、「複数の異なる学問分野にまたがる」「学問分野の垣根を超えた」と日本語訳では説明されていて、要は同時に2つ以上の学問分野を学ぶということです。

この学問及び研究手法が確立されたのは、ますます複雑化・難題化する社会問題、環境問題が背景にあるようです。環境問題を解決するために、環境学の専門家だけでは太刀打ちできない。経済、法律、テクノロジーなどなど、各分野のエキスパートが力を合わせることで、今までになかった革新的なアイデアで解決法を生み出せるのではないかと期待されて生まれた学問のようです。


私の所属するエディンバラ大学のEdinburgh Futures Institute(EFI)では、Intedisciplinary Studiesを学びの核の一つに据えています。色んな学問を1年で勉強するために、プログラムも授業スタイルも大変ユニークです。

大学院のプログラムを見てみると、クリエイティブ産業(MSc Creative Industries)を学ぶものから、データ系(MSc Data and Artificial Intelligence Ethics)やサステナ系(MSc Future Infrastructure, Sustainability and Climate Change)まで全く違う領域が一つのスクールに含まれています。

他の大学院では、1セメスターで大体3つの授業をとるところが多いのですが、EFIでは6つ。私が1セメスターにとった授業は、全部違う学問分野で、講師の所属スクールもバラバラでした。

●Creative Markets ←ビジネス
●Intellectual Property Law in the Creative Industries  ←法律
●Interdisciplinary Futures ← 文学
●Insights Through Data ←数理学
●Documentary Narratives in Health ←アート
●Data Civics ←社会政治学

授業の一コマ


セメスター中は、とにかく言われたことをやって頭にどんどん詰め込んでなんとか課題をやり遂げる日々でした。冬休みを経て頭の整理もできた今、ようやくこのInterdisciplinary Studiesの長所短所が見えたなと思っています。

長所はなんといっても、新しい学びによって自分の視野を広げられることだと思います。視野が広がると、想像力や共感力が高まるし、Interdisciplinary Studiesの狙い通り、枠にとらわれない柔軟な発想が可能になると思います。何より新しいことを学ぶのは楽しいし、逆に楽しめなかったらこの学問は自分に向いてないんだとわかる。

それに、勉強だけでなく、様々なバックグランドを持ったクラスメイトたちとの交流は刺激になります。彼らの話を聞くのが一番の学びなのではとも思ったり。スクール自体も、学生たちがそれぞれの専門性を持ち込むことを期待しているので、すでに社会経験のある学生が非常に多いです。その多くはオンラインで通学している生徒ですが、キャンパスに通う生徒でも半分は社会人経験があるんじゃないかという印象です。

短所は、専門性が身につかないということ。あるクラスメイトは、大学院の学びというよりは、セミナーを受けているだけのように感じる、とも言っていました。広く浅く学ぶので、それぞれの学問を深める時間がない、結果、学びが蓄積されず専門性が身につかないのです。私は飽き性なこともあり、色々学べるこのシステムを嬉々として受け入れていたのですが、新しいことを学び続けるうちに、この学問は必要なのか?なんのために学んでいるのか?と疑問を抱くようになりました。


Interdisciplinary Studiesを最大限味わうためには、この短所とどう向き合うかだなと思います。私の答えは、自分の学びの軸を持って新しい分野に挑むこと。新しい学問だからといって真っ裸で挑むのではなく、自分の専門性とどう結びつけられるかを考えることで、短期間の学びでも有効活用して専門性を深められるのではと思います。

逆にいうと、まだ専門性がない状態、例えば学部卒やキャリアチェンジでInterdiscplinary Studiesを専攻するのはオススメできないなあと。日本のような、大学の学部があまり考慮されない就活市場なら、自分の好きを見つけるためにInterdisplinary Studiesをするのはありかもしれない。でもこの学問は、専門性がある人が、その専門性を磨くというよりは、味付けするような、新しい視点を加えるために専攻するのがいいように思います。あと1年だ妥当だなとも。

EFI自慢の校舎


さて、明日からセメスター2が始まります。セメスター1は、来た球を打ち返すような日々で、Interdisciplinaryな学びを消化できてなかったなあと思っていて。ただ、あまりにも自分の専門とかけ離れた分野は楽しいけどためにならない、そしていい点が取れない(笑)ということもわかったので、セメスター2ではより自分の興味や専門に近い授業を選択することにしました。視点を広げるだけでなく、知識が積み重ねられるように、学びの第2幕を始めたいと思います!ああ、冬休みおわるの嫌だ〜〜〜😂



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