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小さな彼7

  彼と、デートらしいデートをしたことがありません。いつも私は彼が仕事をしたり、仕事のための体作りにトレーニングするのを見ていて、それを眺めるだけで楽しく過ごしていました。
 フジコ・ヘミングのファンなので、コンサートに行きたくて予約していると、彼が「ロックと違って、クラシックのコンサートは高いね。」と、サイトの画面をのぞき込みました。「一緒に行く?」と聞くと、彼は即座に「はい、行きます。」と答えました。
 次の日彼は、フジコヘミングの薄い本を買ってきて私にプレゼントしてくれたので、私も一気にその本を読み。大切な部分に線を引き彼に返しました。彼は私の線を引いた部分も含めて熱心にその自分の買った本をよく読んで、フジコさんの勉強をしていました。
 そして、彼はスーツを持っていなかったので、喪服もかねて黒いスーツをリサイクルショップで購入して、クラシックのコンサート用にアイロンをかけました。目を細めながらその楽しみにしてる姿を見ているのが、うれしい時間でした。このコンサートが私たちのデートらしいデートの最初になりました。

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