大学時代に知り合った主人とは、結婚するまでの10年間付き合いを含めて、約30年間人生を共にしている。 結婚前の10年間は遠距離恋愛でだった。結婚してから、一緒に暮らしたのは約12年間。単身赴任が急に決まるまでの間である。 彼はちょっとケンカっ早い。だから上司と少し揉めて、北国に飛ばされた。私も主人と少しケンカが多かったので、転勤を言い渡された時、頼る場所もない新天地で、ケンカしたとき心細すぎやしないか…と、一緒について行くのをためらった。 それ以来15年間4人の子供た
彼から連絡があったのは、コロナの高熱が去り、喉が少しヒューヒュー言って、咳が残っていた頃でした。炊いたけど冷蔵庫に入れ忘れた玄米のカリカリのお米に、酸っぱいキムチを混ぜて、どうにか食事を済ませようとしていたところでした。私は彼とのLINEのページを漢字の変換で使っていました。「無垢」とLINEに入れたまま送信してしまったのに気づいた彼が、セントバーナードのイヌのスタンプを送り返してくれましたから、「本当にこのイヌは無垢なの?」と聞き返したら彼からすぐ電話がかかってきました。
彼から連絡がない。私達は、日中殆ど電話しながらお互いの日常を楽しんでいました。一昔前ならあり得ない電話の使い方です。 こんな通信の使い方していいのだろうか?と、どっか後ろめたい気持ちでいましたから。この数日、彼から連絡が途切れがちになって、とうとう電話が来なくなった今日、悲しいというよりは、腑に落ちてしっくりと感じました。 P君、私は今日は精神的な病気じゃなくて、コロナで高熱が出て一日中休んでいたよ。 精神的な病気は、孤独と絶望と、恥ずかしさと、親からの差別的な扱いが
彼とスーツを着てデートした日は32℃越えの真夏の紀尾井町でした。街路樹もないので外を歩くだけでもアスファルトの照り返しが激しい一日でした。私は心の病気のため、こんな暑い日でも冷房の効いたホテルでも時間まで過ごすことが出来ず、遅れはしないか不安で、18:30開演のコンサートに間に合うため、朝から会場の近くでスタンバイして過ごすことにしました。 お金がなかった二人なので、国会図書館で過ごすことにしていました。彼は(よく分かってはいませんが)仕事の音楽の為、体力トレーニングをし
彼は、めったにお金を使いません。ただし仕事の機材や楽器や、勉強のためにはキチンとお金をかけます。後、体にいい食べ物に対しても。 その彼が私に指輪を買ってくれたのは付き合って3か月ぐらいでした。真冬の町田の古着屋さんにいたとき、ふっと手にした小さく華奢な可愛い指輪がスッと指に入り、笑顔で「可愛い」と振り返ったとき、仕方ないなあという顔つきをして買ってくれました。何度も陽にかざして、似合うか聞いてしまいました。 その頃わたしは気付かないうちに、精神的に病んでしまって、なにを
彼は一日の殆どを四畳半ほどのお布団を敷いたお部屋で過ごします。仕事をする時はお布団をキチンと畳んで、それを背中に敷いて座椅子のような型にして、IKEAのパンダの🐼ぬいぐるみを横に置いたり膝に座らせたり、お尻に敷いたりして真剣に仕事をしています。 彼の仕事は曲を作ることですが、全身がぐっしょり濡れるほど汗をかき、パソコンや、周辺機器や、エレキギターなどを駆使して器用に音を作り出すのです。彼の思いは携帯の中や、キャンパスノートに記されて、出したり入れたりを繰り返して作っている
バブル期に20代だったわたし達は、女性から男性に、度重なる連絡をすると振られると、知っています。だけどわたしの彼は、何度も電話しないとつながりません。おそらく何度も連絡をしっかりする方が、彼も安心しているように見えます。電話の時間も寝る間際までお話しているし、よく質問をして、彼の生活を根掘り葉掘り聞く方が喜んでいます。 ただし、全部は、教えてくれません。まあ、それでいいのです。こちらもそこまでは望んでいなかったから。はぐらかすすべを心得ていて、とても幼子のように無邪気でい
彼と、デートらしいデートをしたことがありません。いつも私は彼が仕事をしたり、仕事のための体作りにトレーニングするのを見ていて、それを眺めるだけで楽しく過ごしていました。 フジコ・ヘミングのファンなので、コンサートに行きたくて予約していると、彼が「ロックと違って、クラシックのコンサートは高いね。」と、サイトの画面をのぞき込みました。「一緒に行く?」と聞くと、彼は即座に「はい、行きます。」と答えました。 次の日彼は、フジコヘミングの薄い本を買ってきて私にプレゼントしてくれ
なぜ「小さな彼」かというと、背が小さいのもあるのですが、彼を見たら、「小学生だった頃は、どんな素敵な小学生だったんだろう?」といつも考えさせられるからです。ペットの白い犬を愛し、近所で起こる様々な友人の事件を垣間見て、助けたり、見ないフリをしてそっとしていたり、優しい第三者を演じるのが上手かったのでしょう。 反対に私は、大柄で、二人で歩いたときに影が大きいので、ガッカリするのですが、彼はがっちりとして、頼りがいがある姿が素敵だと思ってくれています。(口には出しませんが
持つ者と持たざる者。そういう意味では私たちは、二人とも持たざる者であるが、なぜか、羨ましい妬ましいという気持ちが沸き起こりません。もしかして、彼の中には少しあるのかもしれませんが、みじんもみせないし、潔い姿勢でいつも涼しそうな横顔でいます。 彼のお母様は、ずっと病気がちだったので、彼は母の手料理を食べたことがなくて、ひもじい時は調味料を舐めて過ごしていました。彼はその母親のことを好きじゃないと、質問するたびにこたえていました。怒りっぽくて、怖くて、負けずギライのお母様だっ
彼と出会った場所は、携帯の中でした。心の病気を克服した、同じ年齢の優しい異性の友人が、お散歩しながら会話しているので、時々早朝のお散歩のお供をしていました。そのグループ通話の中に彼はいました。 通話の輪の中に彼がいるのが見えていたのですが、そのグループ通話にはいつも入りませんでした。なぜかいうと、恐ろしい映画の主人公の顔のサムネイルでしたので、怖かったからです。彼がいなくなるのを待って、グループ通話に入っていました。 あるひ注意が散漫になって、彼のいるグループ通話に思わ
わたしの彼の家にはテレビかなくて、防音シートに囲まれた真っ黒なラバーの壁で囲まれています。話す声が下のカトマンズの夫婦にも聞こえないほど遮音されていています。二万円の賃貸のその後部屋では大音量のロックがかかってます。 その中でわたしはIKEAのパンダのぬいぐるみを抱きしめて、「私に不似合いなこんなこと場所にもイバショってあるもんだなあ。」と感じました。(ただし、狭い空間の為、うろうろしすぎると、いろんなものにぶつかり、彼がそっとそこに置いてある大事なものが落ちたり無くなっ
20才年下の彼は、大人だけど、やっぱり小さな彼氏。かわいいものが好きで、(羽生結弦は、プーさんが好きだけど)スヌーピーが大好きで、自分もスヌーピーになったかのようにおどけます。 だから彼の部屋に置く段ボールを全部真っ白な段ボールにして、それにスヌーピーを書いたり、貼り付けたりしてあげたら、とっても喜んでくれました。 些細なことで…こちらの方こそありがとうございます。