人の恐さの話
随分前にネット上で話題になった記事にこんなものがありました。
ある病院で、患者さんの名前に「様」を付けて呼びましょう、と言う事になり、呼び方を変えた。
その後、一部の患者さんの態度に変化が表れた。
横柄になり、スタッフへの暴言や暴力、セクハラまで行われた。
議論の末、従来通り「さん」に戻すと、患者さんに変化が表れ、元に戻った。
と言うお話でした。
この記事はしばらく頭に残っていました。
多分、態度が悪くなった患者さんにとっては無意識の行動。
日本人の殆どの人は、
「自分は公平で、偏見をもっていない」
と思っているらしいけど、態度が悪くなった人達も自分の事をそう思っているのではないでしょうか?
「最近、院内での呼び方変わったな〜」って病院側の変化には気づいても、自分の態度の変化には気づいていない可能性が高いと思うのです。
心の中で形成された自分のストーリーに見合わない出来事は、記憶にすら残らなかったりするもの。
誰もが自分の事を、確固とした「自分」があるって思ってるけど、他者との関係、他者の態度により、
無意識のうちに人との接し方や行動が変化してるのです。
そんな分かりやすいと同時に、ちょっと恐い例だと思いました。
程度の差こそあれ、色んな場面で起こっている事なのかもしれません。
ちなみに、元ホテルマネージャーの知り合いが言うには、全てのお客様に公平なサービスを提供するのが良い接客なので、文句言ったり、強く言ったらどうにかしてくてる、と相手に思わせないのが、プロの接客なんだとか。
「思わせない」ってところが、もう既に心理学の領域な気がしますが、接客の上手い人は無意識的にクレーマーを作らない接客をしているのかもしれません。