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【KIRIN】ロバートブラウンwithキリンウイスキーの歴史


日本で、日本人にあったウイスキーを、日本で世界に通用するウイスキーを作りたい・・そんな想いでキリンが世に送り出したウイスキー。
それこそが富士御殿場蒸留所第1号ウイスキー「ロバートブラウン」です。

キリンがウイスキー事業に参画した最初のボトル。
1974年2月に発売され、2021年で47年経過するロングセラー商品です。
「ロバートブラウン」という商品名ですが、かつてシーグラム社がスコットランドに所有していた蒸留所の名前であり、スコットランド人の典型的な名前でもあるそうです。
日本発のウイスキーではありますが、海外との合弁会社であったことに加え、スコットランドからの輸入原酒が使用されていることや世界に通用するウイスキーを造りたい、などの思想から異国をイメージさせるネーミングが採用されたものと思われます。
イギリスのスコットランド生まれの高名な植物学者に同姓同名の「ロバート・ブラウン」(Robert Brown、1773年12月21日 – 1858年6月10日)さんという方がおられる様ですが、全く関係ないみたいです。

1970年代初頭に、キリンビールがカナダのJEシーグラム社と、その傘下のシーバスブラザーズ社の3社(3国共同)合弁会社である「キリンシーグラム」を設立、御殿場に蒸留所を建設しました。
「キリンシーグラム」とは現在の「キリンディスティラリー」の前身であるキリンシーグラム社(キリンとシーグラム社、シーバスブラザーズ社の合弁会社)を指します。
2002年7月に シーグラム社、シーバスブラザーズ社との合弁関係を解消。
麒麟麦酒の100%出資会社となり、キリンディスティラリー株式会社に社名が変更されています。

キリンは1972年の「キリンシーグラム」設立以前より本格的なウイスキーを提供しようと考えていましたが、蒸留所未完成からのスタートで本格的なウイスキーを提供は高難度でした。
(その後、1973年8月 御殿場蒸溜所完成、製造開始。)

前述の通り、日本国内のウイスキー市場に参入したのは1972年と後発で、サントリー(1923年設立)やニッカウヰスキー(1934年設立)からは随分と出遅れたスタートでした。
しかし、サントリーやニッカと大きく違うのは、独力では困難な数十年の出遅れを海外の企業と合弁会社を設立することで迅速かつ確実にウイスキーの製造ノウハウを吸収できたことです。

また、サントリーやニッカは竹鶴政孝氏の影響からスコッチウイスキーの影響を強く受けていますが、キリンはシーグラム社との合弁によりスコッチウイスキーだけでなく、アメリカンウイスキー(バーボンなど)の影響を強く受け、独自進化を遂げています。

そこでシーグラム社の傘下にあったシーバス社が所有するスコットランドから厳選され運ばれてきたモルト原酒をアメリカ・ボルチモアのダンドーク工場にて職人や技術者が集まり様々なブレンドが試作されたそうです。
「日本で世界に通用する高品質の商品を売り出す」という当初からの方針に従い、3種類にまで絞られたテストサンプルの中から「日本人にも合うもの」として最後まで残ったブレンドこそが「ロバートブラウン」でした。

世界的な原酒ネットワークと富士御殿場蒸溜所の製造技術を駆使したウイスキーですが、発売初期の頃は中身のほとんどが輸入原酒を使用していたのは半ば公然の事実であり、現行品も10~20%程度は輸入原酒のようです。

1970年代の流通初期の特級表記ボトル(沼津税務署のコード「沼津16」が記載されたもの)はキリンのウイスキー作りにおける原点とも言える歴史的価値のある原酒を内包しているので、キリンウイスキーの原点とも言えます。

御殿場蒸留所のモルトが安定供給できるようになってからは、スコッチモルトの原酒配分を下げてブレンドされるようになりました。
ちなみに現行品は、御殿場の原酒の比率がほとんどで、KIRINの公式HPから引用すると以下の通りです。

「現在のロバートブラウンは80〜90%が国産で、あとの10〜20%が海外から輸入している原酒をブレンドし、20種類くらいの原酒をブレンドしています。ブレンダーの高い技術によってブレンドされた品質は安定し、ブレンドする原酒が多いほうが、10年前の味も今の味も変わらないのです。」

名称:ロバートブラウン
種類:ワールドブレンデッドウイスキー
販売:キリンビール株式会社
製造:キリンディスティラリー株式会社
原料:モルト、グレーン
容量:700ml 40%(現行品)
所見:スコッチと勘違いされがちな国産ウイスキー。