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ゔいあーるえむ(検索避け)

こんなん見た。

元メーカー技術者(FAE→RMA)であり、特にマルチフェーズの発展?の過程を見てきたおじさんが真実を教えよう!

めちゃくちゃフェイズ数が多いのは、コマーシャル的な意味合いだけで実用性はないよ?


実にびっくりする話だが、日本国内のパソコンパーツメーカー周りで基板回路に詳しい奴はめちゃくちゃ少ない。なんせ現役時の私なんか自作PC業界内ならトップクラスの知識持ちだったからね。

例えば、Dr.MOS。どっかのマイクロなトコでは「ドクターMOS」とかやってたが、ありゃ【ドライバーモスフェット】
であり、VRM回路内の上下MOSFETとドライバーをワンパッケージにまとめたもんだ。確かに高効率ではあるが、メイン目的は「実装面積減らす」なのでお間違えない様に。(つか、なんで彼らはググらなかったのか)

歴史的な経緯を話そう。
自作PC業界でVRMが注目浴び始めたのはAMDがSlotAって規格で高性能CPU出してIntelとバチバチやってた頃だ。この時AMDが一発やらかした……CPU側が大電力要求し過ぎてスイッチング回路が阿保ほど加熱し、基板が焦げる事例が発生したのである。
普通CPUとかチップセット出してるところはマザーボードのリファレンス基板設計を出すもんであり、VRMとかの回路も基本設計を提供する。しかし基板焦げたって事はだよ、AMDは回路の熱設計してなかったとゆーことだ。
当時私が居た会社ではSlotAなんてイカモノは取り扱っていなかったので他社の同業が泣いてるのを横目で見てるだけだったのだが、次のSoketAだか対応製品からAMD CPU対応基板出すって言うんでR&Dに「大丈夫かよ、基板燃えたら笑えんぞ」と照会したのさ。そしたらR&Dの部長のダニエルから「マルチフェイズ回路使うから大丈夫やで」と言われたの。英語で。

電源回路設計における多相電源回路は、主にリップルという「電流のノイズ」を低減する目的で採用されるモノだ。リップルはスイッチング回路では必ず発生してしまうものなんだが、スイッチング回路を「位相をずらして」複数合成するとノイズが小さくなるのね。

三角関数が苦手なフレンズだな!

【位相をズラす】
正弦波一周期360度を2つに分け、片方を180度ズラすと「両者足したらゼロになる」 3つなら120度、4つなら90度づつズラせば良い。んだもんでマルチフェイズ回路ではフェイズ数を360の因数で構成する。6、8、10、12、15、16……

でだよ、マルチフェイズ化するとフェイズ当たりのスイッチング回数が低下するので発熱が抑えられるという副次効果がある。3フェーズにしたら1フェイズ当たりのスイッチング回数1/3。この副次効果使って低発熱化するよと。なぁに大丈夫だ任せておけ……

……と、こんな経緯でマルチフェイズVRMが導入されたの。マジでマジで。しかし時代が移り変わると……多相だってゆーのに並列回路だと誤解して「多層」と書いたり、並列だから一個フェイズが壊れてもヘーキとか言い出すバカが跋扈してきた。多相やねん。位相をズラすとかそーゆー部分が理解できてないからトンチキかますやで。故障検出して回路閉鎖出来るなら大したもんだが、そんな回路組んでるとこはない(苦笑)

大変残念な事実なんだが、主に台湾系部品メーカーでは技術系職種と販売系職種には深い深ーい断裂があり、商品の販売計画とか立てる連中は販売系。我ら技術系職種(設計開発や製造、修理、サポートなど)みたいに回路とか知らんのよ。なのでこいつら技術系職種が何度も何度も仕組み説明しても内容を理解せぬ。故にPM(プロダクトマネージャー。大体個々の製品の仕様策定や販売計画などをマネジメントする)が仕様を誤解してるなんてのはよくある事だ。

日本国内セールスは大体「アクセス可能な本社上層」がPMまでに制限されてるので正確な技術情報知らない。PMの嘘がバレるし、技術系職はセールス毛嫌いしてるし(派閥みたいなもんだ)
私は元々FAE(サポセン)だからそっちのラインからRMAやR&Dとコンタクト出来たし、日本国内での技術関係情報をどこまで開示するかの決定権を持っていた。

で、この「よく分かってないが肩書きだきゃーえらい奴」がよくわかってない事をよく分かってないマニアに語るから地獄の様な「よく分からない時空」が爆誕し、結果的にどーなったかゆーと「フェイズ数は多いに越した事はない」という地獄模様を生み出した。

実はそんなにフェイズ数は要らん。

誤魔化し無しで6〜8フェイズもあったらえーんちゃう? マザーボードのCPU周りでVRMの為に使える面積は限られてる。そこに無理な数のフェイズ回路ブッ込もうとするとコイルやキャパシタ(コンデンサ。海外相手だとキャパシタって言わないと通じにくい)が小さくならざるを得ず、ネガティブな効果が出てしまう。

また、別にDr.MOSとかの小面積化も不要だ。ハイサイドとローサイドのMOSFETを極めて近場に配置したら排熱面で問題出るべな。
どこぞの記事で「誤魔化し(1フェイズ辺りのハイサイド+ローサイドのMOSFETを2つパラレル配置してフェイズ数倍に見せかける)」に言及して「そういう宗派」と書いてるの見かけたが、設計・開発側はちゃんと理解してます(設計ではちゃんとフェイズ数数えてるよ!w)
が、PMがアホの子でして……(修理やってた時に回路図とかの機密文書見れる権限あったから僕知ってるー)

どこの国、どんな業種でも技術者は真面目で正直なの。嘘ついても現実はどーもならんからな。ワシらは故障率や性能が誤魔化しでは変わらない事を熟知している。
私が知る限りパソコンの技術的側面で与太こくのは「技術と無関係な連中」だ。アイツらリコールレベルの問題すら隠蔽しようとするし調べたら2秒でバレる嘘をつく。ワイは過去に某社がノートパソコンの重量偽装した例を知ってる。量りゃバレる嘘をなんで……

技術系クラスタでは間違った事言うと「まず、可哀想な子を見る眼差し」される。次に親切な奴が間違いを指摘してくれるのだが、こんな主張する子はアホに違いないと言う事で、バカにはせず優しく噛んで含める様に教えてくれるんだよ。大体だね、チームの仲間が救い難い阿保だと後々チーム全体が苦労するからね。
で、技術系クラスタではPMがアホ吐かしてよけーな事を言い出すと「無視」します。マルチフェイズをしこたま積むとか設計も苦労するし、生産やテスト部門も苦労するし、修理も、サポセンも苦労するの。技術系クラスタの敵と言っても過言ではない。

幸い私が長年過ごした会社は「大変珍しい事に」大社長のメイソン氏がアメリカでサーバー関係のプログラマやってた割と技術に詳しい経営者であり、技術系クラスタに理解があったから大問題は起きなかったが、AとかGとかMとかは大変だったやで。セールス側のパワーがアレだったので割とこのー……な?

方針変えて、noteでの収益は我が家の愛犬「ジンくんさん」の牛乳代やオヤツ代にする事にしました! ジンくんさんが太り過ぎない様に節度あるドネートをお願いしたいっ!