キエフの幽霊考
んーむ、アリっちゃアリなのかなぁ……
基本、近代ジェット戦闘機の空戦は高空で行われる。低空だとやっすい歩兵運用できる地対空ミサイルで撃たれてしまうので美味く無いのだ。戦闘機は高額兵器だから安く破壊されたら困るんよ。基本は航空優勢確保してから空爆だよねと。敵の弾が届かない所から攻撃するのがセオリーですわ。
で、今のところロシアはキエフに空爆仕掛けてないし、航空優勢を取ろうとしている段階だが……フツーならここでエネルギー機動性理論というモンが出て来る。
F-22みたいなアホ機体ではこれを覆す可能性はあるが、マランの空戦10則の時代から「高度を取り、重力加速度をいつでも使える様にする」というのはウルトラスーパー古典的な空戦の大原則である。(F-22は見つかる前に見つけて超ロングレンジから打倒する。空のスナイパーという訳わからん機体だ)
このセオリーから行くと、ロシア空軍機は高空から侵入して敵戦闘機(ウクライナ側)を見つけてダイブし、高速で敵を追い詰める作戦を取る。普通はそうだ。コンバットフライトシム好きでもそうする。
が、市街地上空を何でか低空飛行する機体があったとしてみよう。ビル群とかに溶け込んで目視し辛いし、レーダー波がビルにも当たって補足しにくくなったりせんか? なんでそんな脆弱点があるの?と不思議に思うかもしれないが、戦闘機が低空飛ぶという前提が世界的にねーんですよ。そんな馬鹿なことする奴がいると思わなければ対策は生まれない。
低空飛行する側はお空見上げて敵を目視できる。(双方共に)雲とか邪魔だが、なんならウクライナ側は地上レーダーからの情報提供できたりするかもしらん。
ロシア側はその名目上非軍事施設を攻撃し難い。また本来は自国首都上空で戦闘機による戦闘しないでしょ。落ちたら大惨事じゃんよ? 言いたか無いが、ウクライナ側はこれを逆手に取り、「キエフの街並みを盾にして航空機による市街戦(都市ゲリラ戦)をやる」という見たことも聞いたこともない作戦に出たのでは……
……流石国が滅ぶか否かになるとえらい事しよるなぁ。
ウクライナ側の戦術なんだろう。自国防衛の為の捨て身の技。レーダーが効きにくく目視も困難な所から急に現れ、戦闘機でアンブッシュ。正に幽霊だろう。
「キエフの幽霊」は本来パイロットの異名ではなく作戦や戦術名称なのではあるまいか。
普通はこんなん考えないが、対露で一気に押し込まれてキエフがマッハ陥落するぐらいなら……という方向での作戦立案なのかもね。これの相手するとなるとやたらキエフが破損する(白目) そしてその破壊は「ロシアが攻めて来たからじゃ!」という形で広まり、ウクライナ内での対露感情を悪化させる。低空を飛ぶウクライナ機は戦意高揚にも役立つだろう。そして「キエフの幽霊」というあからさまに「カッコいい名前」と、共同戦果を「キエフの幽霊(戦術名)で6機仕留めた」が誤解により「存在しない英雄を作り上げる」方向に振れたのかなと(これは世間ウケを知ったウクライナ側が追加でそうしただけでは無いかと考えてる)
出来過ぎてんなぁ。この辺まで考えて、SNSでの拡散まで考慮して作戦練ってるんだろうなぁ……
15〜16ぐらいのフライトシム好きだった過去の私に「おい、将来ファルクラムがロシア相手に戦うぞ」って言ったら、(ミグはロシアだこのおっさんヤバい)と思うに違いない。そんなんなったかー、ファルクラムやフランカーがロシアに敵対……西側諸国的には「敵だった奴が味方になる」って胸熱展開ではあるが……