理想は頭の中にあるか？

2024年11月3日 05:22

ガンプラにも関係するけど、創作関係の一般的なハナシね。

「創作」をやっている人にはある程度自明な事なんだけど、頭の中や胸の奥には自分が理想としている物はありませぬ。

そんなんが頭の中に確固とした形で存在するならこんなに楽な事はない(涙)
大体さー、自分の理想は曖昧模糊としたイメージってか、下手したら曖昧模糊ともしてないスライムみたいなもんなんだよ。マジよ。もしそれがきちんと像を結んでるなら、それを手元の紙に書くとかキャンバスに描くとか、粘土捏ねたり木材に刻めばえーんだもん。簡単な事この上無い。それがあるなら後技術だけの話やんな？　テクノロジーで脳内イメージ出力できたら理想の世界が現出して千年王国待った無しですわー

が、げんじつはひじょうである(棒)

イメージが完璧な像を結んでいない。かなり進んだ近視の人が風景を見る様にもやもやしてたり、それは概念ですらなくある種の感情とか感性の原型みたいな物だったりする。ゲージツとか創作という作業は、そのヘンテコな自分の理想を「創作」を通じて確認し、何らかの形にして行く事である。

ガンプラ作りで実作業を述べてみると……私は念力で脳内CADある程度出来るんだが……

このジムの脛形状、脳内CADでは2次曲面だけで脛下端部分を成形できるはずだった。しかし実際立体化してみると、脛側面形状が捩れてないと理想形状にならんかった。脳内CADがバグっていたのである。正面から見た最前面平面が長方形で、側面は平面でってのは「存在しない立体」だったのよ。
で、理想に近付けるために側面を前面形状確認しながら角度変化させつつ削り出して、目の前にある現物合わせて理想形状作ったの。

私は文芸(文章創作)もやるけれど、物語書く時「こういう話にしよう」という漠然としたイメージが先にあり、それをプロットという形で整理して、文章出力しながらその場その場で微修正してる。書いてる途中でさらに効果的な筋運びが浮かんだり、初期プロットがダメくさいってんでプロット修正したりするのはザラである。理想の形がポンと出て来るなんて奇跡は半世紀生きてるが数えるほどしか無いぞ。そしてその稀有な例の一つがロボ魂のフルアーマーガンダムだ(ぉぃ)

真面目な話、自分が設計開発したのかと思った。バチコン自分の「理想の形」で、唯一手を入れるべきか悩んだのが肩のミサイルベイの蓋に赤線入れるかどうかぐらいだ。(今のところ設計者に対するリスペクトで赤ラインは入れてない)

立体物造形において、私は「形を捕まえる」なんて表現してるが……心の中や脳内にある形は「逃げる」んだよ。容易にその全貌を現してくれない。なので罠仕掛けたり論理的に追い込んで「捕まえる」のである。暴れん坊将軍や水戸黄門みたいに。今の所理想がお白洲で静かに座って待っている事はなく、この様な場所に上様がーと暴れてしまうので、毎回チャンバラする羽目になっている。理想は創作を通じてしか捕まえる事が出来ず、だから故に創作には意思や思想が不可欠であり、感性や理性・悟性などが車座になって議論しなきゃならんのやな、と。

で、やるとコレが面白いんだわ。ある意味でプロレス観戦ですよ。なんか好ましいものがあり、多数の「自分の中にある要素」が喧嘩しながら作品を作り上げて行く。この過程が実に興味深い。それぞれ自分の中の要素だから嗜好は同一なのにアプローチが違う。このあーでもねー、こーでもねー。でもここはこうだよな？　異議ナーシ！　とかやってんの。バカそこはそうじゃねぇ！
1人で文化祭前夜を続けてる感じというか、俺の中にこんな面白い連中が隠れていたのかと驚かされるし、そいつらが日々成長して行くのよ。創作で作品を作り上げて行く過程でそれが見えて来る。
多分、創作活動やってる人にはある程度共感してもらえるのではないか。カクヨムにまだ居た時期に、創作活動を「顔の無い怪物に名前をつけようとする行為」なんて書いたら割と好評だった。ああ、みんな心の中にいるバケモンと戦ったり付き合ったり、酒を酌み交わしているのであるなぁ、と。