ロボットの脚のハナシ1
よーし、ロボットの脚のデザインに関する踏み込んだ話するどー。ガンプラ改造やガンプラ写真撮影に役立つノウハウも含まれるのでよく読むやでー
解説に使うのは私が改造したHGUCパワードジムだ。こいつは足首関節を下側にもう一個作っただけで、脚の全長は一切変えていない。にも関わらず脚がすらっと長く見えるだろう?
これが関節間距離の取り方がスタイル構築に重大な影響を与えるって話に繋がり、HGUCのパワードジムと同じ関節構造を持つジムシリーズが異常な脛長デザインになった原因でもある。
1.アンクルアーマーの構造解釈
先ずはアンクルアーマーは足首側と脛側のどちらに付いているか問題だが……基本的にガンダムに於けるアンクルアーマーは足首側に付いていると捉えるのが古典的解釈だ。
しかしHGUCの寒ジム以降、アンクルアーマーは脛側下端に属するという解釈が出てきた。
で、パワードジムはカトキ氏にデザイン監修させてデザインしてるんだけど……
まぁ、時系列的には当たり前なんだが、カトキ画稿(組み立て説明書に掲載されてる奴)はアンクルアーマー脛側説でデザインされてる。(尚、脛中心軸と足首中心軸の交点を見ると、ビミョーにデッサン狂っているのでワイは「カトキ、絵下手やな」と思っていたり。このデッサンが狂っているから関節位置変な事になっとらんか……)
補助線引いて見ると、アンクルアーマー中心辺りに足首関節軸がある設定になっているのだが……
HGUCのパワードジムではこの様に脛パーツの下端辺りで曲がる。
しかし各部パーツの形状や比率はカトキ画稿から拾っているので、カトキ氏の想定したバランスを破壊してしまっている。
改造の都合で軸位置は下に下がり過ぎてしまうのだが、バランス的にはこっちの方が近い。
設定全高18mの1/144モデルだからガンプラパワードジムの全高は12.5cm
カトキ画稿位置と関節位置比較して10mm近く、私が改造したモデルと比較したら12〜15mmぐらい脛の長さ違うんだわ。そりゃあスタイルも崩れる。
脚部全長はカッティングシートのマス目読みで74mm、足裏から股関節接続軸なら68mmぐらいだ。この長さの中で10mm、足裏から膝関節中心まで50mmしかないのに10mmの違いがある!
そりゃまぁゴリラがハイヒール履いた様なスタイルになるわ。無理も無い。言葉の端々からわかる様に私はカトキ氏は絵が下手なんじゃ無いか疑惑を持っているが、バンダイのこの頃の設計部署はカトキ氏の画力を額装してピカールで磨き上げたぐらいに酷い。そしてバンダイも流石に脛が短いのを販売開始してから気付いたらしく……以降暫く、更に脛を長くしてバランス破綻したジムを量産するのである(HGUC067パワードジムから120のジムカスタムまで。2006年8月から2011年1月までの約4年半)
カトキ画稿位置に足首関節が移動するのがHGUC126のジムIII(2011年7月)以降だから、ざっくり申し上げて5年程度、どーにもバランス感覚がかなりおかしい設計担当者が居た感じである。バンダイ社内には自社商品がダサ過ぎんかと苦言呈する奴おらんかったんやろうか? 普通製品化前の設計検討段階でダメ出しされるべきだと思うのだが、当時バンダイ社内には自浄作用というか、なんか色々複雑な社内事情があったのであろう。バンダイがやってる「ビルダーズノート」内でその事触れたら削除勧告ではなくいきなり記事削除喰らったし(まぁ、その確認で態とその事触れたんだが。つまりアレとかソレがアンタッチャブルになるほどヤバいネタなんやなーって)
バンダイ社内側からの反応で疑惑の解像度が上がった。感謝する。
この辺までの話は単純にバンダイガンプラ設計の稚拙さを話してるだけで、デザイン論の話にもなっていないが安心して欲しい。この関連の話は3〜4回に分けて少しづつ書く。今回の話はガンプラは出来が良いとか素組で作品だと主張する層に対するジャブみたいなもんだ。まぁ、この辺のデザインを良しとする辺りで、彼らのセンスはメーカー側設計部署と同等レベルであると表現したらふんわり柔らかソフラン仕上げであろうか。
こんなの撮影する羽目になり、あの手この手でマシに見せようとするホビーサイト写真撮影班の仕事には深く頭を下げる次第である。これ撮影しなきゃならんとなった時、正直絶望しかないと思うぞ!