東京旅/01
東京へ行ってきた。
目的は、神林長平先生のデビュー45周年ライヴ。
14日と15日、日をまたいで。
行きも帰りも新幹線だった。品川で降りなくてはならないため、わたしは緊張していた──うっかり乗り過ごして東京まで行ってしまったら、と。しかしそれは杞憂にすぎず、新幹線の終点は品川だった。
間抜けもここまでくると、脱力ものである。
品川駅では、友人が待っていてくれた。
やや早いが、宿にチェックイン、それから荷物を預けた。さらにカフェへ行き、可愛いメニューを前にはしゃぐ(年甲斐もなく)
真ん中の部分はマカロン。
背後からプリンやクリームで支えてあるアラモードっぽいスィーツは、ずいぶんと可愛らしくて、わたしをひどく惑わせた。
「どこから食べるべきか迷う」
「アイス溶けちゃうよ〜」
「それもそうだね!」
ガッツリいった。
先ほどまでの逡巡は、どこへ。
友人はお土産をくれた。
小さな真珠が中に入っている、アクセサリーのような感じのお品だった。わたしも買っていったお土産と交換したはいいが、なんと、目的の食べ物屋さんが開店するまで3時間くらいはある。
「どっか行きたいとことか、やりたいことはある?」
友人はわたしなんかと違って、気が利くひとだ。
「せっかく東京に来たんだけど、カラオケかなあ」
「よし、行こう行こう!」
わたしは彼女が大好きで、歳はさほど変わらないが、頼り甲斐のある姉のように慕ってもいる。
カラオケでふたり歌いまくるさなか、トークライヴの時間も近づいてきたため、友人に訊かれた。
「どんな人が舞台に出るの?」
「神林先生と、先生の奥さまと、三柴理さん、それから吉田隆一さんっていう方で、この吉田さんだけがわたしの相互フォロワさん」
刹那、場の空気が凍った。
「ちょっと待って、相互さん?」
「うん、Twitterの。でもたまに話すくらいだよ」
「楽屋見舞いは⁉︎ 会ったことない人でも、なかったら失礼だよ‼︎」
初耳である。
「詳しいね、舞台関係のお仕事もしてたの?」
友人はいま、翻訳や通訳の仕事をおもにしている。
「わたし、元女優〜‼︎」
これまた初耳である。とにかく驚いた。歌っている場合ではないと、カラオケボックスを我々は出ることに決めた。
楽屋見舞いとは──
ライヴハウスを出て宿に到着してから検索をかけてみて、わたしは震え上がってしまった。
相手によりけりなのだそうだが、数千円ほどから……
とりあえず、友人のアドバイスで、わたしは高円寺に構える『ジロキチ』さんに到着する頃には、楽屋見舞いを手にしていた。
友人よ、ありがとう。
そんな友人は、スモーカーである。
ライヴ前に電子タバコをたしなみたい、というので、出入口でお喋りをする。すると、反対側から見たようなおじさまがいらっしゃるではないか。
しかも猫柄のシャツにキャップ……
はわー⁉︎ 神林先生ご本人‼︎ はわー‼︎
超不審者と化した、高円寺での夜は更けていく──