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加藤研に行ってみた。ペパーミントの視点

11月5日、私はSFC(慶應義塾大学 湘南藤沢キャンパス)の加藤文俊研究室にお邪魔した。なぜ、私が加藤研究室に訪れたのか。それは10月24日に開催したカフェゼミがきっかけだった。この日のゲストスピーカーは慶應義塾大学環境情報学部教授、加藤文俊先生。
「まちに還すコミュニケーション」というテーマでお話して頂いた。

カフェゼミの受付の様子

加藤文俊研究室では地域フィールドワーク先で密着した方々(まち)に、ポスターという形でお返しをする。「地域に還す為の方法」を実践されているのだった。ポスターは密着したその日に制作する為、作業は夜遅くまで続く。完成した作品は、密着した方と一緒に眺めてみる。
「ポスターを贈られた人はその作品を見て涙を浮かべる。その作品を作った学生もそれを見て泣いてしまう。」
このエピソードを聞いた時、私も人を感動させられるようなことをしてみたい!と思った。
カフェゼミ後の打ち上げの場で、私は加藤先生に「加藤研に行ってみたいです!」とお願いした。快諾してくれた加藤先生。後日、加藤研にお邪魔させて頂くことになった。

初のSFC。加藤先生からの「ちょっとわかりづらい場所ですが、なんとかたどり着いてください。」という文字と共に添付されたマップを頼りに、森の中を進む。
加藤研。私の想像していた「研究室」とは程遠い、素敵な空間が広がっていた。入ってすぐ左横にはキッチンがあり、テーブルの上には建築模型が見える。まさに「アトリエ」のような空間。

その日は4年生の「卒業プロジェクト」の中間発表と、2,3年生がグループで取り組む横浜市野毛地区のフィールドワークの中間発表が行われた。
野毛の食堂で提供される魚の流通経路を学生たちの足で追ってみたり、小さい頃の自分の記憶を友人との会話を介して辿り、自分の「残したいもの」を記録していくなど、内容は人それぞれだ。


発表を聞いていた私は、加藤研の学生が「曖昧さ」をも楽しんでいるように感じた。学生たちはプロジェクトのゴールが見えない曖昧さの中で、足を動かし、手を動かす。取り組む前から成果や効率といったものを追いかけていない気がしたのだ。
同居人との生活を日々記録している学生さんのお話を聞いて、私は率直に「四六時中のプロジェクト…大変そう…」と思ってしまった。
だけど、加藤研の学生さんたちは「一日中観察してみる」「通い詰めてみる」「毎日、記録を取り続けてみる」といった長期間にわたる行為を丁寧に行い、それ自体を楽しんでいるように感じた。

長岡研究室のnoteの記事(2020年)にこんな言葉があった。
「新しい世界」を歩む人々が集い、不安定さ、曖昧さを受け入れながら「新しい世界」を命名するために言葉を交わす。長い時間をかけて、丁寧に、そして決して「古いラベル」を使うことなく話し続けます。

この言葉に、長岡ゼミと加藤研に共通するものを見つけた気がする。それは「新たな可能性を追い求めることの面白さ」を味わうこと。短期的な成果や効率性を求めず、時間をかけてでも「やりたいこと」に素直に向き合っていく。それが新しい世界を開く鍵になること。
不確実な中、長い時間をかけて、丁寧に、「新しいもの」を切り開いていく工程。そんな工程が加藤研の学生達の発表に見えた。

加藤研に行って、私はどこか背中を押されたような気持ちになって帰ってきた。「これやっても意味ないか。」と思って仕舞込んでしまっていたもの。それらを試してみたい。

加藤研のポスターに影響されて作ってみたもの。自分の興味あるものと好きなものを「単語」にして今まで収めてきた写真と共にまとめ、「ポートフォリオポスター」にしてみた。
加藤先生がご自身の部屋(教授室)を案内してくれた。レコードや本、アートが置いてあってワクワクするような素敵な部屋だった。


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