感動を人へ
botanical lightとの出会い
今年の6月27日に開催した「カフェゼミ#61」。「サスティナブルな挑戦者のキャリア・ストーリーを聞く会」というテーマで開催した。その際にゲストスピーカーとしてお迎えしたのが株式会社グリーンディスプレイの大塚淳一さん。大塚さんは「botanical light」の開発に携わっている。botanical lightとは植物や微生物の力を借りて発電する、環境を破壊することなくエネルギーを回収できるライト。イルミネーションや施設の装飾ライトとしても活用がされているほか、ポータブル充電器、ファン(扇風機)などへの利用も可能だ。
「カフェゼミ#61」では、大塚さんがbotanical lightを開発するまでのキャリアや、大塚さんが大切にされている価値観などもお話していただいた。
私はカフェゼミの後、実際にbotanical lightを植える体験ができるワークショップの存在を知り、同じゼミ生の誘いもあって参加した。
実際に植えてみる
株式会社グリーンディスプレイ東京本社で開催された「botanical light ワークショップ」(今年7月12日開催)。ワークショップで私が実際に体験したbotanical light の植え込みについてお話したい。
まずは用意された備長炭とマグネシウムを交互に合わせて電極を作る。さらにその隙間を埋めるように土を流し、均等にならしていく。その後、植物を植えこみ、イルミネーションをつなげて、じょうろで水をあげる。
ようやく作業が終わり、少しドキドキしながら、イルミネーションを点灯してみる。最初はほんの少し明かりが灯っただけだったのに、さらに水をあげると、その明かりの強さがだんだんと大きくなり、ぱーっと周辺を優しい光で照らした。実はbotanical lightは植物が生成した有機物を取り入れてマイナスの電荷を放出する「微生物」の力を借りて電子を回収している。だから、水をあげると土の中に存在する微生物も植物も活性化し、光が大きくなるそうだ。
「本当に植物の力で光っている!」という感動と共に、目に見えない命がライトによって可視化され、「ああ、植物も微生物も生きているんだ…」と当たり前の大切なことに気づかされた。botanical lightの光は優しくその場を照らしてくれる。見ている人の心を温めてくれるような、そんなライトだった。
感動から、環境を考える
大塚さんはカフェゼミで、botanical lightの植え込みを小学校を対象に行った時の話をしてくれた。説明の時は寝ていた小学生の子が、botanical lightが実際に点灯した様子を見て目の色が変わったそうだ。そのときの話をする大塚さんはどこかうれしそうな表情だった。
私はbotanical lightを見た人の心を少しでも動かせたら、それだけでもbotanical lightの意義があるように感じる。botanical lightは一般的なライトよりも高価。私たちの家の中に取り込むことは先かもしれない。だけど、botanical lightを実際に植えたり、見たりすることで、私たちが何気なく消費する電気エネルギーについて疑問を感じたり、「植物」について考えるきっかけを作ることにも大きく貢献しているのではないか。
私がワークショップを通して気づいた「本当に植物の力で光っている!」「ああ、植物も微生物も生きているんだ…」という些細な感動や気づきは、自分の中では大きな変化。そういう自分の中の「感動したもの」、「いいと思ったもの」、「誰かに教えたくなるもの」を身の回りに広げてみる。それが、持続可能な未来に向けての一歩を踏み出す力になるのではないだろうか。
今年から長岡ゼミではカフェゼミの時間に「マグカップ」を貸す取り組みを始めた。今まで、カフェゼミで提供する飲み物には紙コップが使用され、紙ごみを増やしてしまう問題があったのだ。最初はこのシステムを来場者が利用してくれるのか不安だったが、「いい取り組みだね!」と言って貸し出しマグカップを使用してくれる人が沢山いた。
マグカップ貸し出しの取り組みは環境問題解決の小さな取り組み。だけど、私がbotanical lightに出会った感動を人に伝えたくなるように、今度は自分たちの活動によって、周りの人が環境に興味を持つ機会を与え、小さな範囲でも変えることができるかもしれない。
botanical lightの出会いを通して改めて自分達の活動、サスティナブルを見つめなおす。「マグカップ貸し出し」の取り組みにとどまらず、自分たちの「良いと思ったもの」を形にし、これからも色々な取り組みにチャレンジし続けたい。
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