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チェス上達への備忘録(4)トップGMの読みのトレーニング

読みのトレーニング

2024年現在インドの若手の台頭が著しいです。ただ、母数の大きさが最大の理由でインドのジュニア誰しもが強いというわけではない、というのを耳にし、まぁそうかと思いました。
それでも、現在のトップにインドのティーン達がいるのはすごいことです。そして嬉しいことに、彼らがどうやってその強さを身に着けたのか、インタビューで明かしてくれているのです。

まずは基本

初級者から共通して行わなければならないトレーニングが Tactics(タクティクス)です。3手の短めのものから15手超のものまで、チェスのトレーニングの基本中の基本です。

「読みのトレーニングといえばタクティクス」
これはやはり全世界共通で基本のようです。
単純にブランダーの数を減らすためにも、読みうんぬん抜きにして必須です。

現代ではもはや王道か

ここからはいわゆるガチ勢向けのトレーニングに入りますが、Endgame Study(スタディ)です。難しすぎるのでやらない人も多いですし、一見、駒の少なさから実戦に役立ちそうには見えません。
ただ、読みを鍛えるための書籍やトップGMのインタビューでも明かされている通り、「本当の読みの強さ」を手に入れたいなら必須のようです。

何かの動画で、トップGM達がスタディの問題を出されて何分で解けるか、というのに挑戦しているのを観ました。
「この問題は見たことがある」という発言が何度かあり、衝撃を受けたのを覚えています。一体どれだけの数を解いてきたのでしょうか。

明かされたトレーニング

現在のインドの若手トップ達(今回は Gukesh, Prag) 、そのコーチ達がインタビューで語っていた方法が以下。

  1. 1つの課題局面を用意する

  2. 駒を動かさずひたすら分析を進める(PragとそのコーチであるRamesh談、局面によっては15手以上。目隠しでこれを行うトレーニングも Ramesh は言及していますが、トレーニングキャンプ用のメニューらしい。)

  3. 課題局面をひたすら分析(Gukeshのコーチ談、駒を動かすかどうかは言及されていないがおそらく動かさないはず。1つの局面で3、4時間)

トレーニングは単純明快

特にGukeshは、レーティングが2500後半になるまではエンジンを使わないとうのを自分に課していたことで有名です(ちなみにGukeshは、局面課題に取り組む際に読み以外にもある部分を意識的に鍛えようとしていたのですが、それはまた別の話です)。

読みを鍛える練習方法は単純で、「できるだけ多くの時間、自分の頭を使う」「難しい局面をひたすらに読む」に集約されているように思えます。

課題局面については、詳しい解説つきのゲーム集でも十分だと思います。気になった箇所や途中図があったらそこで手を止め、自分で読んでみる。
そして解説と見比べてみる。

あまりにも単純なことですが、頭を鍛えるのに近道はないようです。

***Gukesh(グケッシュ)は11月に開催される世界王者決定戦の最年少挑戦者になりました。

以下、カールセンのとあるインタビュー(記憶)
カールセン曰く、グケッシュは読みベースで大胆。Prag(プラッグ)も読みベースだが、直観も優れている。だからプラッグの方がブリッツは得意。

カールセンは試合後の検討は現在ほとんどしませんが、グケッシュに誘われた時は少し気になったからやってみたそうです。考え方が少し独特で面白かったと語っています。

***ちなみにですが、ロシアの有名なコーチ Dvoretsky は駒を動かしながらの分析もトレーニングの一つとして語っています。こちらは読みのトレーニングとは別だと記憶しています。

また、Dvoretsky は読んだ手を紙に書きだす練習方法を勧めていますが、Ramesh は実際の試合ではそれはできないから、ということで勧めていません。
個人的には Ramesh派ですが、ある程度ハードルを低くした練習としてこちらから始めるのも有効だと思っています。

***おそらく、この「上達への備忘録」はこれが最後かと思います。これ以上備忘しておくことはないはずです。あとはひたすらトレーニングするのみです。
よっぽど何かないかぎり、今後の更新はないかもしれません。


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