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うつ病で障害年金2級受給で一人ベーシックインカム、労災認定で病院代無料は何故嘘なのか?
はじめに
ネット上では「うつ病で障害年金2級を受給すれば、一生働かなくても生活できる」「労災認定されれば病院代がすべて無料になる」といった情報が散見されます。しかし、これらは誤解を含む情報であり、現実とは大きく異なります。
本記事では、これらの誤解について詳しく解説し、障害年金や労災保険の実態を正しく理解することを目的とします。
1. 障害年金2級で「一人ベーシックインカム」は成り立たない理由
(1) そもそも障害年金とは?
障害年金は、公的年金制度の一環として、病気や障害によって生活や仕事に大きな支障をきたす人を対象に支給される給付金です。
障害基礎年金(国民年金加入者向け)
障害厚生年金(厚生年金加入者向け)
障害年金はあくまで「最低限の生活の支援」を目的としており、「働かなくても安定した生活を保障する」ものではありません。
(2) 受給額は生活費をまかなえるほどではない
障害年金2級の支給額(2024年時点):
障害基礎年金:月額約 7万9000円(年額約 94万8000円)
障害厚生年金:厚生年金の加入期間や報酬額により変動(目安は基礎年金+α)
一人暮らしを想定した生活費(東京都内の例):
家賃(1R・1K):6〜8万円
食費:3〜4万円
光熱費・通信費:1.5〜2万円
医療費・日用品・その他:1.5〜2万円
最低限の生活費でも月13〜16万円が必要と考えられ、障害基礎年金だけでは到底足りません。
(3) 関東圏以外ではさらに厳しい現実
障害年金2級・3級でなんとか生活できるのは、関東圏の都市部に限られる という現実があります。
地方では障害者向けの支援制度が少ない
仕事が少なく、就労支援を受けるのも困難
家賃は安いが、交通の便が悪く通院に苦労する
地方では、障害年金だけで生活するのはほぼ不可能であり、親族の支援や生活保護との併用が必要になるケースが多いのが実情です。
2. 労災認定されれば病院代が無料になるのは誤解
(1) 労災保険の基本的な仕組み
労災保険は、業務上または通勤中の災害や病気によって働けなくなった場合に適用される制度です。
療養補償給付:仕事が原因で発症した病気の治療費を負担。
休業補償給付:労働不能期間中の生活費補助。
(2) 「病院代無料」には条件がある
労災認定された場合、医療費が無料になるのは 「指定医療機関での治療」に限られます。
指定病院での診察・治療 → 無料
非指定病院での診察・治療 → 一時的に自己負担(後で労災申請し、認められれば還付)
また、以下の場合は労災保険の対象外です。
私的な事情での通院(例えば、他の持病の治療)
労災と関係のない病気の治療費
つまり、「労災認定=すべての病院代が無料になる」というわけではありません。
3. 誤った情報が広まる理由と注意点
(1) SNSやネット掲示板の情報の偏り
「障害年金だけで生活できる」という発信者は少数派。
「労災認定で一生病院代が無料」といった誇張表現。
実際の困難(審査の厳しさ、低額な支給額)が省かれる傾向。
(2) 本人の状況次第で大きく変わる
住んでいる地域、家族の支援の有無、家賃などで生活のしやすさは異なる。
労災認定が容易なケースとそうでないケースがある。
(3) 正しい情報を得るための方法
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