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サヨナライツカ

中山美穂さんが亡くなった衝撃はテレビでもSNSでも大きく取り上げられていて、画面越しにしかその方を知らないけれど、作品を見ていた女優さんたちの悲報には様々な思いが駆け巡る。

タイトルにもある通り、彼女が出演していた映画。「サヨナライツカ」何気ないタイトルではあるものの、なぜか頭に残り意味深に思えるこのタイトル。ポスターの中山美穂さんの物憂げな表情につられ見始めた。


なぜか内容が刺さり、切なくて、悲しくて、過去に5回ほど見直した映画。
号泣するほど胸が締め付けられる訳ではないが、見終わった後に物悲しく感じた。

物語のあらすじ

1975年、灼熱のバンコク。お金・美貌・愛に不自由なく暮らし、ただ、”愛されること”を求めて生きてきた沓子は、ある日、夢に向かって真っすぐ生きるエリートビジネスマン豊と出逢う。たちまち魅かれ合い、熱帯の夜に溺れていくふたり。しかし、豊は日本に光子という婚約者がおり、結婚を目前に控えていた。愛することこそが本当の愛だと気づいた沓子は、かなわぬ恋とわかっていながら、それでも、豊を愛し続けると決める。そしてふたりは25年後のバンコクで、運命の再会をするがーー。(DVDケース裏面より)

舞台 タイ・バンコク

作品中の思い出を刻む中で欠かせない舞台となる、バンコクのマンダリンオリエンタル。アジアならではの異国的な雰囲気と、リゾートホテルの美しさを兼ね備えた、どこを切り取っても映える!映えまくる!ホテルでございます。沓子の現実離れしたビジュアルと、華やかな衣装、どこか儚げで脆いミステリアスな人物像にぴったりな客室。最高すぎます。沓子の心を揺さぶる出来事はいつもここで起こります。沓子は謎の大富豪の愛人?という設定なんですかね?

お金にも美貌にも何不自由なく暮らしているはずなのに、どこか満たされない沓子の心。自分は大勢の中の1人でしかない現実を見せつけられ荒れる場面、報われない恋と知りながらも追い続けボロボロになる場面。そんな彼女の心の波を映し出すタイの風景。幸せの絶頂のようなひと時を味わえば、どん底に突き落とされるような瞬間も訪れる。知らない方が幸せな事実、知っても受け入れられない事実、そんな2人の押し引きが休むことなく波のように訪れる日々でした。そんな毎日を過ごしたタイにすっかり魅せられましたね。

登場人物

美しすぎる沓子こと中山美穂さまーーーー♡ハマり役すぎて本当の中山美穂ってこんな人なのかもという錯覚にまで陥りました(単純)ミステリアスなのに、少女のように純粋で脆い一面もあり、目を離したら消えてなくなってしまうんじゃないかと思えるような危うさがぴったりでした。いますよねー?こういう女性。そして例にならって全員モテる!守ってあげたいけど、実際に一緒に生活を共にするとなると安心感がないのかな…?愛人タイプというかなんというか、金はかかるが連れて歩きたいタイプ。沓子さまはまさに「華」でした。華やかな見た目、華やかな衣装、華やかなヘアスタイルにメイク。もう素敵すぎました♡

打って変わって、婚約者の石田ゆり子演じる光子。こちらもタイプの違った美人さんですよね~。THE・本妻タイプのような我慢強く芯の通った女性。沓子とは真逆で現実を一緒に生きていけそうな、良い意味で生活感漂う女性。こんなママだったら自慢だよね~っていう王道のルックス。

どちらかというと私は沓子へ感情移入してしまったので、沓子へのコメントが多めになってしまいました。そして!!忘れちゃいけない西島秀俊演じる豊。いるわ~こういう男~って目を細めたくなるような、出世欲モンスター級のモテ男。令和の時代に男って!!と時代錯誤な発言してしまいそうな王道のモテ男なんです。爽やかでスポーツ万能で、仕事もデキて、ほぼ色気で出来ている。情熱的で熱い一面もあれば、自分の世界に立ち入らせない冷たさの両面を合わせ持つ役どころ。そりゃ~カッコ悪い訳ないわ~!

そんな3人を中心に巻き起こる物語。私はこの映画から愛について教えられました。胸が熱くなるように燃えて自分らしささえも見失いそうになってしまう愛。少しずつ少しずつ現実世界を一緒に乗り越えられる確信を持って信頼を築き上げる愛。どちらも素敵です。真っ直ぐ全身で相手だけへ向ける気持ちはとっても大切だけれど、出来るなら自分の子供たちへは痛い想いや苦しい想いに涙することなく幸せになってほしいなと思いますね。

あなたならどうする

いつも人はさよならを用意して生きなければならない
孤独は最も裏切ることのない友人の一人だと思う方が良い
愛に怯える前に傘を買っておく必要がある
どんなに愛されても幸福を信じてはならない
どんなに愛しても決して愛しすぎてはならない
愛なんか季節のようなもの
ただ巡って人生を彩り 飽きさせないだけのもの
愛なんて口にした瞬間 消えてしまう氷のかけら
サヨナライツカ
永遠の幸福なんてないように 永遠の不幸もない
いつかさよならがやってきて いつかこんにちはがやってくる
人間は死ぬとき愛されたことを思い出す人と
愛したことを思い出す人に分かれる
私はきっと愛したことを思い出す

これは作品の中で出てくる詩です。深いですね~。ある程度歳を重ねた今だからこそエモい気持ちになれる。そんな気がします。そして25年の時が経ち再会を果たすとき、もし自分なら…と考えました。人生で1番愛した人と時を経て再会する時が来たら…あなたならどんな服を着て、どんな言葉を交わし、何を思いますか?

中山美穂さんのご冥福を心からお祈り申し上げます。

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