怖い話【 十三階段 】
※ 初めてのお読みの方は【はじめに】をお読みください。
みんなは死刑って知ってますよね。
日本の死刑のやり方は今でも首つりだ。
階段があって、その上に台があり、首を吊るためのロープがある。
台の部分はパカッと開くようになっていて、死刑囚の体が台の下に落ちるようになっている。
これで死刑完了。
その台に上るための階段は13段ある。
だからアパートやマンションの階段、特に1階から2階に上がる階段は14段にしてある。
13段だと不吉だからだ。
しかし昔に建てられたアパートには、13段ものが未だにある。
そのアパートの階段を上がった目の前の201号室は、幽霊の出る確率がとても高い。
これはある芸人さんのお話。
ある日その芸人さんのところに、電話がかかってきた。
とると、それは後輩からだった。
「どうした?」と聞くと、「俺、引っ越します。」と後輩は言う。
しかも引っ越し先は新宿。
後輩はまだ売れていないペーペー芸人。
いくらなんでも、家賃を払えるとは思えない。
しかし「すっごい格安物件みつけたんですよ。先輩、保証人として一緒に物件見てください。」と言うので、
「ああ、分かったよ。」ととりあえず引き受けた。
数日後、新宿のあるアパートに後輩と行った。
アパートの管理会社の人も一緒だ。
新宿駅から徒歩20分。古い建物とはいえ、新宿駅まで歩いて行ける好立地。
部屋の中もいたって普通。
しかし、あとから分かったことだが、2階までの階段が13段。
階段を上がってすぐの201号室。
「家賃はいくらですか?」と聞くと、「8000円です。」
あまりにも安すぎる。
「じゃ、となりの202号室は?」
「88000円です。」
「いやいや、絶対なにかありますよね。」と言うと、管理会社の人は「あります。」と説明してくれた。
今年に入ってから3人入居している。そのうち2人は3日で出て行った。
3人目の人は、引っ越してきて2週間後に玄関を出たところで死んでいた。
「いや、これはやめた方がいいよ。」と言ったが、後輩は「何かネタになるかもしれないので、俺ここに住みます!」
と言って、そこに決めてしまった。
それからすぐ引っ越しをして、その次の日だった。
後輩から電話がかかってきた。
「やっぱりあそこ、ヤバいですよ。」
夜中の2時ごろだった。寝ていると、外からなにやら子供がさわいでいるワーワーという声が聞こえた。
(こんな時間に、子どもの声?)
不思議に思いながら、窓を開けてみる。
家の外を見ても、何もない。
さっきまで聞こえていた、子どもの声も止んでいる。
(おかしいな。)と思いながら布団に入る。
すると、カツーン…という音がひとつだけ聞こえてきた。
後輩は「また何かあったら、電話します。」と言って、電話を切った。
1週間後、また後輩から電話があった。
「あの音の意味、分かりました。」
あれから毎晩子どもの声が聞こえてきた。
もちろん外を見ても何もない。
しかし、カツーンの音が最初はひとつ。2日目はカツーン、カツーン。
3日目はカツーン、カツーン、カツーン。
毎晩ひとつづつ増えている。
「あれ、階段を上って来てるんです。」
芸人は「やばいって、引っ越した方がいいよ。」と言ったが、
後輩は「今、仕事が忙しいので。」と電話を切ってしまった。
引っ越してから14日目の事。
また後輩から電話があった。
慌てた様子で「俺、今日引っ越します。」と言ってきた。
13日目だった昨晩のこと、カツーン、カツーンと階段を上がる音がして、とうとう2階まで上がってきた。
すると部屋のドアをドンドンドン!と叩く音がしたのだ。
3人目の人は2週間で死んだ状態で見つかった。
なぜ2週間後だったのか、これで分かった。
「このままだと、俺、今日死にます。」
「わかった。仕事が終わってから仲間と引っ越しの手伝いに行くわ。」
しかし仕事が長引いてしまい、仲間5人と集まれたのは夜の10時ごろ。
若干笑いのネタとして、みんなでひとつづつお守りを神社で買って行って、後輩に渡した。
そして引っ越しを始める。
それなりに荷物もあって、なんだかんだで夜中の12時を過ぎていた。
何も無くなった部屋に後輩と芸人5人が集まる。
なんとか荷物を車に積むことができて「よかった、よかった。」「間に合った。」と笑い合っていると、
突然バチン!と音がして電気が消えた。
真っ暗になった部屋に「うぅぅ…うぅぅ…。」という声が響く。
「ブレーカーだ、ブレーカー!」
そう言って、仲間が玄関付近にあるブレーカーを上げる。
するとパチパチッと電気がもどる。
後輩が床にうずくまっていて、「うぅぅ…」と声を出し、顔が青ざめている。
慌てて「救急車!」と言って、すぐに病院に搬送してもらった。
お医者さんに診てもらった後輩は、なんとか助かった。
しかしお医者さんは「なんでこんな事したんですか!」と言ってきた。
後輩ののどにある物がつめ込まれていたのだ。
それはとんでもない力で握りつぶされた、自分たちのお守りだった。
13階段のアパートは、今でもあります。
みんなが住んでいるお家は大丈夫ですか?
特に1階から2階に上がる階段を数えてみてください。
もし階段が13だったら、その先の201号室は要注意です。
おしまい。
【 元ネタ:島田秀平氏 より】
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