【短編小説】彼女なりの生き方
今回は短いですけど物語を書いてみました。
「先生、図面の指示は現場に反映したつもりだぞ。あと、図面にないとこの収まりは俺の方で最適と思われる納めで作ってみた。気に入らなければ言ってくれ。俺と先生でいいやり方を考えよう」
大工の棟梁・長瀬はちょっと微笑んで"先生"と呼んだ女性にそう言葉を発した。"先生"とは建築の世界では設計者を指す。"先生"は濃い目の茶褐色の髪を少し揺らして振り返った。アジア人ではない白い肌に、一欠の感情もないような整った目鼻立ちのくっきりした顔立ち。無表情