最近仕事を辞めた話(一万字の妄想)
すべてニートの妄想です。文中の人物、会社は存在しません。
仕事を始めてからの出来事や仕事を辞める決心までを妄想しました。
暇で仕方が無い人が読んでください。
私は頭が悪かった。誰でも入れるような高校に入り、卒業した。
勉強が嫌いであったため大学には最初から行く気が無かった。私と仲の良い友達は皆大学に進学していたが、自分にはそれが信じられなかった。高校の三年でも辛いものを更に四年続けるなんて考えたくもなかった。勉強するよりも仕事をしてとりあえず給料を貰い、自分の趣味に充てる金が欲しかった。なんでもよかった。
その仕事を選んだ理由も適当なものであり、家から近く、車通勤ができ、その上で給料が一番高い所を選んだ。何も考えていなかった。
本来もっと悩むべき所である。それはその仕事の将来性であったり、社風や人間関係、現場の雰囲気などもう少し気にすれば何かが違ったのかもしれなかった。
適当に申し込み、適当に面接を済ませ、適当に受かってしまった。いっそここで落とされていたら私の行く先はまだ違っていたかもしれない。そもそも受かると思っていなかったので、すぐに次の会社を探していた。しかし、受かってしまったのである。他の会社の面接にも行く予定を作っていたが、受かってしまったのではしようがない。取りやめだ。
自分でもなぜ受かってしまったのか分からない。これは謙遜などではなく、ただ単純に自分のような人間を受からせる意味が分からなかった。
私は面接に遅刻したのである。私ならこんな人間を取らない。でも受かっている事実は変わらない。こんな適当な人間でも欲しがる程まずい会社なのであると気づく事は、当時の私には出来なかった。遅刻したけど受かってラッキー。その程度のものだった。
普通は何社か面接を受け、何社か面接を受かり、その中から取捨選択するべきなのであろうが、私はそれをしなかった。ただ単純に私は面倒くさがりなのであった。今も後悔している。
私の就職した会社は所謂製造業であり、土曜日や祝日は休みである事の方が珍しかった。残業も多く夜勤もあったため1日の拘束時間は割と長いものとなっていた。しかし残業代はしっかりと出る為、残業が長引けば長引くほど給料が増える。
夜勤手当に残業手当を重ねると高卒1年目で同じく高卒で働き始めた同級生達の二倍以上の給料を貰えたのである。給料手取り=年齢×万円なんてものは余裕で超えていた。たったそれだけのちっぽけな優越感だけが、この仕事を私が続ける一つの大きな理由となっていた。
会社は二交代制だった。日勤と夜勤に別れて会社は常に動き続けている。通勤退勤の時間を除き、会社に12時間以上いるのは当たり前の事だった。でも私はこれだけの給料を貰っているのだ。頭の悪い私がこれ以上稼げる会社なんて無い。そう自分を言い聞かせて働き続けていた。まあ事実そうなのであろうが。
まあシンプルに言えばブラック企業であったと思う。個人のミスで残業が長引く事があればそのミスを犯した人間だけがタイムカードを切ってサービス残業する事を強制されていたのである。勿論一人だけでは仕事は進まないのでそのミスを取り返すために他の人間も道連れである。
道連れにされた人は残業代を稼げて良いと思う人もいた。あくまでもサービス残業をするのはミスを犯した人間だけだったからだ。道連れにされた人たちはサービス残業をするのが嫌だから日々の仕事にも気を配り、自分がミスをしないように気を付けるのである。私も気を付けていた。なんて素晴らしい職場だ。電通事件があってからサービス残業は減ったし、月に三桁の残業を超える事も減った。年6回まではセーフ。
しかし日勤と夜勤を繰り返しているとどうしても体調を崩してしまう。短いペースで何度も生活リズムを180度変えるのだから当然である。人間は夜に寝て昼に行動するように出来ている。昼に5時間寝るのも夜に5時間寝るのも同じかと思うかもしれないが、これだけはやってみないと分からない。夜はどうしても眠くなる。しかし眠いからと言ってミスを犯す訳にはいかない。サービス残業なんてしたくないからだ。
そんな生活を1年と少し続けた。私は順調に壊れ始めていた。もともと体力に自信があるわけでもなく、メンタルが強い訳でもなかった。体調を崩してしまう事もあり、会社の予定を遅らせてしまう。会社の予定を遅らせるのは罪である。私が仕事をしている時も、他の人の休みが出ると仕事が長引いたりしてしまうため、仕事を休んだ人への当たりは強かったように思う。まあそれはお互い様だろうと思っていた。休むのは罪なのである。
私はインドア系の人間であり、趣味と言ってもゲームだとかアニメだとか、所謂オタクである。外出なんて滅多にしないし、出先でも出費は少なかったし、同年代の人達が金を掛けるようなファッションや車なんて物には一切の興味が無かった。そんな人間がそんな仕事を続けていたら短期間で結構な金額の貯金が出来上がっていた。これ以上この仕事を続ける意味はあるんだろうか?
唐突に仕事を辞めたくなった。もう十分頑張っただろう。同級生より給料で優っているからなんなのか。もっと適当で簡単な仕事をして、もっと自分の時間を増やして、外での交流も増やしていくべきなんだろう。きっとこれが正しい。そう思った私はすぐに仕事を辞める旨を会社に切り出した。
しかしこれはタイトルにある本当の意味で会社を辞めるという選択にはならなかった。もうちょっとだけ続くんじゃ。
会社を辞める旨を伝えた所、予想外の返事が返ってきた。なんと引き留められたのである。もちろんこれは私が滅茶苦茶に優秀で、退職して欲しくないから、なんて事はない。ただ奴隷は一人でも多い方がいいからだ。
どうやら会社は規模を拡大するらしく、近所にもう一つ支部が出来るらしい。辞めるなんて言わずにこの新しい支部に行ってみてはどうか?そんな話を切り出されたのである。しかし新しい支部にいった所でこの業務体制は変わらないのであろう。私はあまり食指が動かなかったが、ある一つの言葉が私の心を揺さぶった。
結論から言うと私はこの支部で働き続ける事を選択した。その理由は単純で、その支部には夜勤が無かったのだ。勿論残業代は出る。夜勤が無いので夜勤手当が無くなり、今よりも給料は多少下がるがそれでも人間らしい生活が出来て、なおかつそれでいてそこそこの給料が貰える。なんて好待遇なんだろうと思った。既に洗脳は完了していた。
支部といっても会社の設備は最新の物で、複数ある会社の中でも仕事の効率はトップだった。短時間でより効率的に仕事を進める事が出来る。しかしそれにはそこそこのスキルが必要だった。元居た会社よりも個人のスキルが重要視される場所だったのだ。元居た場所では適当な私が適当に仕事をしてもなんとかなっていたので、今までとはまた違う辛さがそこにはあった。
同じ会社だとは思えなかった。やっている仕事は同じでも仕事への取り組み方が全然違うものだった。元居た会社ではすべての業務を一人でこなしていたが、支部では業務を三分割し、それぞれに人を割り振る。三種類の人間が力を合わせて一つの仕事を全うするわけである。
元々やっていた仕事を三分割している訳だから、自分の仕事量は三分の一になるんじゃないか?なんて考えは甘かった。仕事が進むスピードが段違いだった。
仕事の内容はABCの内容に分けられる。詳細は伏せるが。
A 最も重要な仕事。力仕事も含まれる為、基本的に男性が担当する。希望すれば女性も出来る。Bの仕事もできる。人によってはCの仕事もできる。給料が最も高い。
B 最も適当に済ませる事が出来る仕事。単純作業が続く。あらゆるミスの責任はA担当者の物となるため最も責任が軽い。誰でも出来る。小学生でも出来る。実際はしっかりとした知識と対応が必要だが、すべてAに責任を擦り付ける事が出来る為実質誰でも良い。日本語が通じなくてもok。とんでもなく馬鹿にしているように見えるかもしれないが事実である。AとCの仕事内容を覚える気が無い。給料が最も安い。
C 記録係。Bの次に責任が軽い。単純作業が続く。Bの仕事もできる。Aの仕事を覚える気が無い。Aの次に給料が高い。
責任の重さはA:B:Cで8:1:1 といった所。Aは1年足らずの新人、BとCは10年以上勤務しているベテランといったチームも存在する。というかAの退職率がヤバイので大体そんなバランスである。
大分私情が入った紹介かもしれないがこういう形でABCの人間が一つの仕事を進めていた。Aは稼ぎたい人向けでBとCは正直誰でも出来るので適当に稼ぎたい人向け。ポケモンの孵化作業とか好きな人にとっては天職だと思う。
私はAの仕事を担当していた。ここで出会うのがパワハラ上司である。以下パワハラ上司の事をPとする。ちなみにPはこの支部で最も偉い人物である。
元居た所でも私は特に仕事が出来る人間では無かった。三分割されているとはいえ私にとっては作業のスピードに付いていくのがやっとだった。色々と誤魔化しながら仕事をしていては、絶対にどこかで綻びが生じる。結果仕事の遅れや仕事のミスが後日発覚し、Pに怒鳴られる。上記されている通りBやCの人間のミスであろうとA担当の私の責任であるから当然だ。私は頑張った。多少理不尽な事でもやり切った。初めての感覚だった。
怒鳴られるという感覚が新鮮であり、嬉しかったのである。これは私がマゾであるとかそういう意味ではなく、自分の為を思って誰かが私の事を叱ってくれるという事実に少し惹かれていたのだった。
私は正直言って世間から見てかなり甘やかされて育ってきたように思う。
別に私が出来の良い子供だった訳ではない。勉強が出来るとは言い難いし、スポーツが得意な訳でも無ければ、何か他の才能が有るわけでも無かった。単に物静かな子供だった。好物も安物ばかりで、外で遊ぶ事も好まなかった私は金の掛からないガキだとよく親戚に言われていた。少し歳の離れた兄弟が大分ヤンチャをしていた為、警察のお世話にならないというだけで何をしても、というよりは何もしなくても褒められて育ってきたのである。
そんな私が仕出かしたミスに対し怒鳴りつけてくるP。勿論それはBやCのミスが原因で発生した物で有ったりもしたが、大体はAの作業に慣れていない自分が悪かったので、特につらいだとかいう感覚は無かった。私を怒鳴りつけてくるP以外の全員はとてもいい人達で、私以外にもPに怒鳴りつけられている人は何人も居た。勿論他に怒鳴られているのは他のA担当者もしくは私の上司である。P以外の人はPの事を「そういう人」だと割り切っていたのだ。その時の私にはそこまで考える余裕は無かったが。
少し私はおかしくなっていたのだと思う。最初はPの罵詈雑言は私を成長させる為の飴だったのだと思っていた。思い込んでいた。しばらく仕事を続けていればさすがの私でもAの仕事を完璧にこなせる様になっていた。毎日毎日怒鳴られながら。なぜ怒られているんだろう?私がそれを理解するにはもう少し時間が掛かった。
私が支部に移ってから半年程。Aの作業は同年代の誰よりも早く完璧にこなせるようになっていた。しかしPの罵詈雑言は止まらない。それもそのはずである。BとCのミスも私のせいになるのだから。
それはおかしいんじゃないか?私は就職して数年のペーペーであり、BとCの人間は年齢も勤務歴も二回り上である。しかし責められるのは私。これはBやCと比べて少し高い給料を貰っている代償なのだろうか?なぜこんな体系が許されているんだろうか?Aの退職率が高い理由が少し分かった気がした。
作業が三つに分業されているのには理由がある。それはそれぞれの仕事が難しく専門的なスキルが必要である、なんて事は無い。私がこなせるのだからそんな事はありえない。単純に作業量が多くそれぞれ一つの仕事を進めるのが精いっぱいなのである。Bの人間はBの仕事を全うし、Bの仕事を完璧にこなせば評価される。Cも同じである。しかしAの人間はAの仕事を完璧にこなしていてもBとCがミスをすれば怒られるのである。そこで私は思いついた。簡単な事だった。
他の人には思いつかなかったのか、あるいは思いついても行動に移せなかったのかは分からないが、私がたどり着いた答えは至極単純であった。私がAの仕事を完璧にこなしながらBとCの仕事もこなせばいいのだ。怒られたくなければ誰だってそーする。おれだってそーする。
しかしそれには代償が必要だった。ただでさえ少ない休憩時間を完全に0にしなくては成しえない事だった。成した。
Pから理不尽に怒鳴られる事が減った。0にはならなかった。機嫌の悪い日には八つ当たりをされるのである。しかし頻度も減ったのであまり気にならないようになっていた。
支部に移ってから二年。私は役職が付いた。会社の歴史上最年少の役職持ちである。
私は荒んでいた。自分の評価のためにABCすべての仕事をこなし、他の者をすべて蹴落としながら仕事を全うしてきた。ここまで頑張っている私が居る中で、何も成長せずにたらたらとBとCの仕事を続けているゴミ共や私より仕事が出来ないA担当者の事を内心馬鹿にしていた。勿論その感情を表に出すことは無かったので、Pを除く他の上司には気に入られていた。
役職が付いて仕事内容が大きく変わった。私は複数居るA担当者の管理監督育成を任されたのである。この支部には何十ものABCチームが存在し、私は今までその中の一つのAであっただけだったが、これからは何十ものA達を相手にする事になった訳である。
私はコミュニケーション全般、及び会話があまり得意ではなかった。私一人がABCの仕事をこなす上では正直あまり言葉を発する必要が無い。しかしこれからはそうはいかない。他のA達も私と同等の力量まで育ってもらわなくては困る。会話無しではこなせない業務が始まった。
Pからの罵詈雑言が増えた。怒鳴るタネが増えたのだから当然である。何もミスをおかしていない私よりは、育成が上手くいっていない私を怒鳴りつけるのはあまりにも正当で当然で自然な行為だ。
会話が出来ない訳ではない。VCを繋いでのゲーム等一般オタクレベルの会話能力は備わっているように思う。説明が下手なのだろうか?実際にやってみせて学ばせようか。事が起きてから行動するのではなく事前にあらゆる事柄に対する対処法を考えておく事を意識させようか?何が足りないのか、私には分からなかった。聞こえが悪いかも知れないが、仕事が出来ない人の気持ちが理解できなかったのである。
あまり必死に仕事をやっている人間がいないように思えた。他のA達は常に転職や退職やPの愚痴を話していた。もしかして自分の在り方がマイノリティなのか?いつでも辞める事を念頭に置いて仕事している人間に物事を教えるのは苦痛だった。それでも今の私の仕事はAの育成なのだからやる他無いのである。
最初は楽だと思っていた。業務内容の難易度は上がったが、作業量は減ったからだ。休憩時間も取れるようになった。しかしそれ以上にPからの怒号が気になってしょうがなかった。今まではAの仕事を全うし、BとCの仕事もこなしていれば怒られる事は無かった。しかし今はそうはいかないのである。なぜなら何十もいるチームのAが一人でもミスを犯せば私の育成不足という言い分で私を怒鳴りつける事ができるのだから。
Aの退職は止まらない。ただでさえAは人手不足なのに、Pからのパワハラでどんどん人が減っていく。やっと成長してきたAもPに辞めさせられ、新たにAが補充される。勿論そのAは以前のAよりも仕事が出来ないのでPに怒鳴られ、ついでに教育がなっていないと私も怒鳴られるのである。悪循環だ。
いつの間にか同期は居なくなっていた。会社を辞めた理由も他の夢を追いかける為だとか、転職する為だとかそんな理由ならいいのだが、勿論そんな事はない。Aの退職理由の10割はPが原因である。Aの退職が止まらずに人手不足になり、私が元居たAのポジションで仕事を進める事もあった。勿論育成と兼務である。少し心が折れかけていたが、辞めなかった。正直なんで辞めなかったのか自分でも分からない。ちっぽけなプライドがこのPを黙らせたかったのかもしれない。
そこから一年程。育成の成果と言いたいが、メンタルの強い者だけが残ったと言った方が正しいかもしれない。大体すべてのチームが安定して仕事をこなせるようになってきたのである。Pからの怒号が減った。0にはならなかった。
正直この辺り私は大分楽をしていた。なぜならすべてのチームが安定しているなら仕事で私の出番は無いのである。もちろん常にAの人数はギリギリなので少しでも休みの者が出れば私もAの仕事をこなすのだが、1日現場をふらふらしてミスが無いか確認して回るだけの日もあった。こんな時間がずっと続けば良いと思っていた。続かなかった。
Pからの八つ当たりが増えたような気がした。随分暇そうだなと嫌味を言ってくる。ちなみにPからの罵詈雑言はすべて無線で私以外の従業員にも聞こえている。
私の業務が増えた。予定管理である。何十もの予定を平行して見定め、色々と調整する仕事である。ちなみにこれは本来Pの仕事である。まあ今ならその仕事を請け負っても大丈夫だろうと思っていた。急にAの退職者が出たりしなければ。出た。
最初は有難がられていた。私が予定を見直す事でより効率的に物事が進み、既に提示された予定ではうまくいかない事も私の調整で逆に余裕が出来たりもした。しかし問題はここからである。常にギリギリのAから退職者が出てしまってはまた私がAの仕事をこなす必要があり、またその穴を埋めるための新たなAを育成する手間が発生するのである。もちろん予定管理も兼務。
最初に提示される予定が大分杜撰な物になってきた。私が修正する事前提で提示されるのである。勿論Aの仕事をこなし新たなAの育成も兼務している私は、予定管理が適当になっていた。タネを作ってしまったのだ。
Aの退職者がまた増え始め、中途の年齢が自分の二倍の人に業務を教える事も増えていた。最初は遠慮していたがもう気にならなくなっていた。育成がなっていないと怒鳴られ、予定管理がなっていないと怒鳴られ、適当な八つ当たりで怒鳴られる。予定管理はもともとおめーの仕事だろぶっ〇すぞ
幾多の問題を抱えながらも私は仕事を辞めなかった。家を買ったので辞めるに辞められなかったのである。もう終盤です。
またも安定期が訪れた。怒鳴られる事が減った。0にはならなかった。私に新たな仕事が舞い降りた。社長から名指しで私にやってほしいという仕事を向けられたのである。勿論今はAの業務に毎日携わっている訳ではないが、現役の誰よりもAの仕事は完璧にこなせる私である。それを評価されいまのポジションにいる私なのだ。何が来ても大丈夫だ。
その仕事は仕事をこなす場所と仕事をこなす順番が重要だった。もちろんその「名指しされた重要な仕事」はPの手によって適当な場所と適当な順番でこなす事になるのだが、私はその仕事のやり方についてPと口論を重ねた。ここでやるべきではない。この順番でやるべきではない。ほかの仕事と配置を変えてでもこの位置でやるべきだ。似たような仕事でこんな事故が過去に発生している。このままでは同じ事が起きる。そんな事を主張した。届かなかったが。
俺が全責任をもつからここでこの順番でやれ。このPの言葉ですべてを押し切られ完璧ではないプランで仕事が始まった。事故った。
まあ全責任を持ってくれるそうなので気楽だった。Pとの口論は他の上司も交えて行っていたのでPが悪いのは明白だった。しかし。
俺はそんな事は言っていないしOKも出していない。これがPの主張である。偉くなるという事は、後出しじゃんけんが許されるという事。
この時の八つ当たりは非常に激しかった。これだけ一冊文庫本が出来るくらい怒鳴られた。誰もが耳を塞ぎたくなるような声量で罵ってくれた。これが美人な女上司であればご褒美かもしれないがこいつはおっさんである。でも耐えられた。いつものようにP以外の全員が私に同情してくれたからだ。さすがに今回のPはおかしいだろう。○○(私)は悪くないと誰もが言ってくれた。そんな事より名指しの仕事をうまくこなせなかったのが悔しかった。
怒りを通り越して悲しかった。コイツは本当に同じ人間なのか?同じ血が通っているのだろうか?最初は飴と鞭だと思っていたが蓋を開けたら感情を制御できない裸の王様である。哀れだ。
似たような事故がもう一度発生した。勿論私のせいだ。
私はPに呼び出された。どうやら二人で話し合いがしたいらしい。
お前(私)も言いたい事があるだろう。腹を割って話そう。
このゴミにも良心が残っていたか。さすがに罪悪感を覚えたのだろう。他の者に背を押されながら私は邁進していた。ちょっくらこのボケに顔出してやるか。ボケは私だった。
事務所の応接室。1:1 で私はボコボコにされた。(物理的な意味ではない)こちらの言う事には一切耳を傾けず、ひたすらにPの持論を展開され私はどうやってこの男を〇そうかと考えていた。ただただひたすらに罵倒され、夏休み前の校長先生の話くらいどうでも良い話が続いていたように思う。私の耳にも、何も届いていなかった。こいつは人間じゃない。
社長にこの話がどう伝わっていたのかは分からないが、がっつり事故ったその仕事に対しての責任を問われる事は無かった。二件やらかしたのに。
正直、精神的にまいっていた。何が正しいのか分からなかった。本当はPが正しいのか?いやしかし・・・
何を考えて居ようと日は進む。いつしかそんな事も忘れ普通に仕事を続けていた。なんで辞めてないんだコイツ
そんな事件の記憶も薄れつつある時、また名指しの仕事がやってきた。Pから。
これと同じ仕様でこの仕事を請け負ってほしい。スマブラ64におけるマリオとルイージくらいの違いだ。まあそんな感じだ。そんなに難しい仕事じゃない。いつも通りPの適当な予定でその仕事をやるタイミングがやってきた。そこで事件が発生する。
事前に伝えられていた仕様と全然違う・・・
ForベヨネッタとSPベヨネッタくらい別物だ。
これはいけない。急だが予定を変える他ない。Pと話を・・・出来なかった。Pとは会話が成り立たないのである。Pが全責任を持つらしいので、このまま仕事を続ける事になった。事故った。私の責任だ。
切れそうだった。こいつ〇しても罪に問われないだろ普通に。そう思っていた矢先現場は次のステージへと移行する。機嫌が良かったのか悪かったのか暇だったのかわからないが、Pが現場に来て私の目の前まで直接文句を言いにきたのである。
まずいまずいまずいまずまずいまずいまずいまずいまずまずいまずいまずいまずいまずまずいまずいまずいまずいまずまずいまずいまずいまずいまずまずいまずいまずいまずいまずまずいまずいまずいまずいまずまずいまずいまずいまずいまずまずいまずいまずいまずいまずまずいまずいまずいまずいまずまずい
揃いすぎている。ここにはコイツを〇すための道具が揃いすぎている。感情を抑えろッ・・・
唇を噛みしめ全力で拳を握り口と手の平には血が滲み銀歯が外れた。アニメ的表現かと思っていたが実在した。
怒りのピークは6秒らしい。暴言の嵐から時間を読み取る事は出来なかったが、数分は唾を巻き散らしながら私の事を怒鳴りつけていたように感じた。危うく前科一犯になる所だった。
一応私も社会人である。怒りに身をまかせその場で行動にでるようなことはしない。その日の業務をこなし帰路に就いた。久しぶりに涙を流した。
その日以降私は会社に行けなかった。こんな感情は初めてだった。次その顔を見たら確実に〇してしまう。会社には何の連絡も入れず休み続けた。社会人失格である。P以外の人間から身を案じるLINEで通知が一杯になった。
ある日の夜上司数人が家まで出向いてきた。なんで新しい住所知ってるんだ。当然Pの姿は無い。今回の件についてもPが悪い。社長からも謝らせる。会社には〇〇(私)が必要だ。P以外の全員は〇〇(私)の味方だ。つらいならしばらく休んでもいい。
なんだコレは?不登校の子に登校を促す先生かお前らは
パーティを追放されたなろう主人公にでもなったかのような気分だった。
本社の事業部とメールでやり取りして、退職する旨を伝えた。
有給もかなり残っているし、使い切った上で会社都合で会社を辞める事になった。会社都合でやめる理由にパワハラは弱いようだったが、サービス残業とPからの罵詈雑言は現場のカメラですべて映像証拠として残っている。もっと話を大きくしてやろうか?
って感じで退職しました。
残業代と役職手当が大きく基本給はあんまりだったので失業手当は正直雀の涙だが、今は大分落ち着いてきたので文章に残す事にした。会社を辞める時に私は円満退職ですというサインを書かされました。全部妄想ですけど。会社に行かなくなった途端に肌荒れと腹痛と痔が治った。やったぜ。誰か雇って。