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中級者になりたい
スキー場には必ず初心者コース、中級者コース、上級者コースがある。
しかしスキーやスノーボードにそういったレベルごとにライセンスがあるわけではない。
言わば自己申告というか、自分のレベルはこれくらいかなぁという自己診断により滑るコースレベルを自分で選ぶわけだ。
もちろん初めはみな初心者コースから始めるわけだが、いつになったら中級者コースに行っていいのだろうか?
あっ、もし初心者コースで何不自由なく滑り降りることができるようになったら、次は中級者コースというクッソ真面目な言葉が頭に浮かんだのならば、きっとあなたと俺は仲良くなれない。
ここでお帰りいただきたい。
なぜなら俺は早く中級者コースを滑りたいタイプだからだ。
俺の経験上、クッソ真面目に石橋を叩いて渡るべく初心者コースを地道に滑ってるヤツは一生中級者コースを滑らない。
何を言いたいのかと言うと
中級者コースに行ってみなけれは、一生中級者にはなれないと言うことだ。
結局その環境があってこそ人間は成長するのだ。
そう、大切なのは好奇心であり冒険心だ!
で、
今はわからないが、20数年前の亀の飼育書には亀の種類ごとにご丁寧に飼育レベルが⭐︎の数で示してあった。
さながらスキー場のコースのレベル分けだ。
だから
あ〜ロシアリクガメは初めてでも飼いやすいんだな、なんて思ってムーミンをお迎えした。
言わば初心者向けリクガメだ。
その初心者向けリクガメを半年くらい育てられるようになると、もうちょっと⭐︎の数が多い種類を飼いたくなってくる。
中級者コースが気になりはじめるのだ。
そう、俺の心の中の好奇心が沸々と湧き上がり、大海原を航海する海賊の如く冒険心が抑えられなくなってくる。
そもそも特殊な人をのぞいては、ペットを何匹もお迎えできる人は限られる。
ましてや亀は寿命をまっとうすれば、30年以上余裕で生きる生き物だ。
100歩譲って石橋を叩くように初心者から経験を積み上げていたとしたら、中級者になった時には飼い主が先に寿命を迎える可能性が広がる一方である。
爬虫類全般に言えるが、爬虫類は比較的寿命が長い。
その中でも特に亀は寿命が長い。
俺たち爬虫類飼育者には時間がないのだ。
いち早く中級者にチャレンジするほかないのだ!
いつまでも初心者コースを滑ってないで、たとえ板が外れて転がりながらでも覚悟を決めて中級者コースを滑りはじめるしかないのだ。
以上が俺のプレゼンとなる。
というわけで俺はインドホシガメのマリオをお迎えした。
だって欲しかったんだもん。
亀好きはわかってくれると思うが、亀は甲羅がドーム状になっているものほど可愛く見える。
その点リクガメはそういったドーム状のこんもりした甲羅をした奴らが多い。
ミドリガメやクサガメといった扁平な甲羅の亀しかイメージできなかった初心者たちは、初めて見るリクガメに、皆目がハートになる。
俺も例外ではなかった。
俗に言うピンポン球サイズのマリオを見て、ハートになるどころかハートが目からぼろぼろ落ちていた。
可愛すぎるのだ。
インドホシガメは当時、地中海リクガメ族に比べると難しいと言われていた。
中級者向けということだろうか。
しかし、あのまんまるな漆黒の甲羅に無数に広がる星模様。
惹かれない訳がない。
何匹ものピンポン球サイズのベビーが一ワチャワチャと一心不乱に餌を食べる姿を見てるだけで心躍った。
しかし俺は初心者、ただでさえホシガメは中級者向けの種類なのに、ピンポン球サイズのベビーとなればさらにハードルが上がる。
その証に爬虫類飼育書には、初心者は少し育ったサイズが安心だろうという文言がよく使われている。
実際、ショップでも少し育ったサイズのほうが値段も高い。
これは、ベビーより死ぬリスクが減ったことによるところも大きいだろう。
ショップさんも、こちらの子たちは少し育ってるのでピンポン球サイズの子たちより死ににくいですよと言ってるのである(知らんけど)
逆に言えば、ピンポン球サイズのベビーはこんなに可愛いのに安い!
爬虫類飼育をしていて思うのだが、やはり小さかったベビーが大きく育っていく様を見届けるのは俺にとって大きな楽しみのひとつである。
たとえ死にやすいリスクをとってでも、ベビーから飼育したい。
少しばかり高いお金を払って、死んでしまうリスクを回避する代わりに、ベビーから育てる楽しみを捨てるなんてまっぴらごめんだ。
ごめんなすってだ(意味不明)
リスクを恐れて楽しみを捨てるなんてできないのだ。
なぜなら俺は海賊だからだ(違う)
安心サイズだと?
クソ喰らえだ
というわけで安くお迎えできるピンポン球サイズにした。
安いといっても、たくさんショップをまわって最安値のお店で¥29800!
ロシアリクガメのムーミンの10倍の価格である。
少しめまいがする金額だ。
まぁ今のインドホシガメの値段はよく知らないが、それでもきっとめちゃくちゃ安いんだろうとは思う。
当時は、定期的にピンポン球サイズのホシガメも入荷していた。
ホントかウソかは知らないが密輸も結構あったと言う話だ。
俺がお迎えしたショップでは、先週大量にいたホシガメベビーが1週間後1匹もいなくなっていたことがあった。
こんなに売れんの?と驚いていたら
夜間に不法侵入されケージに穴あけてホシガメベビーごっそり盗まれたと店員さんが教えてくれた。
お迎えしようと思ってたのに…
結局次の入荷のタイミングでマリオをお迎えした。
当時は、通販でも爬虫類売れた時代なので転売目的だったのかもしれない。
まぁそれくらい今も昔もホシガメは人気であった。
中級者向けとは言うものの、俺の印象としては環境(温度湿度)さえしっかり整えれば、特に難しいことはないと思った。
ようは手探りで爬虫類飼育をしていた時代、爬虫類飼育の先輩達が飼育用品もない中、試行錯誤していた時に用意できる環境では難しかったということだと思う。
その頃は、日本の環境でも生き抜く種類だけが長期飼育例があり、それ以外の種類は環境の構築ができた人だけが長期飼育できたのだろう。
運の良いことに、俺がお迎えした20数年前は爬虫類飼育用品もある程度充実していて。
ちゃんとお金を払えば、最低限の環境を作ることはできた。
そのおかげで俺はなんとか中級者に片足突っ込むことができたのである。
その後10数年経過しマリオは亡くなった。
これは完全に飼い主の俺の気の緩みであり、飼育することが惰性的にになっていたのが原因だ。
中級者になったつもりなどなかったが、なんとなく飼えてしまったことで日々の観察や世話が疎かになっていたのだ。
中級者になりたいと思っていたし、中級者になればなんとなくうまく飼育できると思っていた。
しかし、中級者になるどころか、たまたま初期の飼育がうまくいったことにより慢心が生まれて、結局はマリオに可哀想なことをしてしまった。
もはや初心者以下の飼育者だ。
爬虫類に少しでも長生きしてもらうためには、初心者の心が1番大切だと今は思っている。
初めてお迎えした時のようにしっかり観察し、世話をする。
初心者の気持ちを持って、より些細な変化を感じとれるようになる。
大丈夫だろうと鷹を括らない。
マリオを飼育させてもらい、気付かされた。
だから俺はこれからも一生爬虫類飼育初心者なのだ。
それでいいと思っている。
もちろん中級者コースへのチャレンジはこれからも忘れない。