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タランチュラの出どころを突き止めた俺は、次の休みにそのアジト(総合ペットショップ)へ早速突撃した。

そのペットショップは、なかなか大きくて

電車の線路下に3つのエリアがあって「犬猫館」「熱帯魚館」「小動物・昆虫・爬虫・両生類館」とに分かれていた。

いつも近くで遊んでいたが、こんな大きなペットショップがあるなんてまったく知らなかった。

きっと人間とは興味のない情報は気づかないで生きていけるように、脳ミソができてるに違いない。

俺の中でペットショップの思い出と言ったら

子供のころ行ったデパートの屋上の一角にあったペットショップくらいだ。

そして

実家が賃貸マンションだったこともあり、俺の生き物飼育歴はお祭りの金魚すくいの金魚と、友人のところで生まれたパンダマウスくらいなものだ。

ペット不可の賃貸なので
犬猫なんて飼育できる環境ではなかったのは子供ながらに理解していた。

それにしてもパンダマウスのあの増え方は今でもトラウマである。
つがいで譲り受けて、あれよあれよとめちゃくちゃ増えたのを思い出した。

まあねずみの話はこの辺にしとこう。

こんなペット遍歴の俺なので、こんな大きなガチなペットショップは初体験である。

まさに

ペットショップバージンである。

いや

ペットショップヴァージンである!


そして勇気を振り絞って
タランチュラが待つであろう「小動物・昆虫・爬虫・両生類館」にえ~いっと入館した。

俺は胸をドキドキさせ、頬を少し赤らめていただろう。

なぜなら

ペットショップヴァージンだからだ!

店内には初めて見る生き物のオンパレード。

カメ、トカゲ、ワニ、オオクワガタ、サル、キツネ、ミニブタなどなど

さながら動物園だ。

なんなら動物園より近くで見られて楽しいくらいだ。

もちろんタランチュラもにも初めてお目にかかれた。

タランチュラヴァージン喪失である!


展示されている生き物も個性豊かだが、店内にいる他のお客さんも個性豊かだった・・・

おとなしそ~な女の子がイカつくてデカいヘビを食い入るように見てたり

ちょっと強面の作業着を着た仕事帰りの土方のお兄様がオオクワガタを片手に嬉しそうにレジに持っていったり

でもなにより驚いたのは

爬虫類担当のスタッフの個性の強さである

犬猫や小動物の担当はかわいらしいおねえさんで固められているに

爬虫類担当はめっちゃヒゲの坊主のだったり

もう穴開けるとこありませんくらいにめっちゃピアス開いてて、セットにどんだけ時間かかんねんみたいなバンドマンヘアの奴なのだ

ここはカオスですか?

「すいませ~ん」なんて声かけたら

舌出して、中指立てられそうな圧があるのだ・・・

そんな人間観察も楽しみながら店内をひと通り見終わった頃には

ここに来る前にはなかった気持ちが芽生え始めていた。



『なんか俺も飼いたい・・・』


続く





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