後悔したくない!投資型の保険契約
わたしは結婚してから、保険契約で2回も悩まされている。
はじめて悩まされたのが結婚してすぐのころ。将来、こどもの教育費やマイホームに、どれくらいお金がかかるのかを考えていたら、ただただ不安になってしまった。ひとり暮らしのときとは違う大きな金額に、どうやって家計を回せばいいのか、まっくら闇を進んでいくような気がしたからだ。解決の糸口がほしくなり、ファイナンシャルプランナー(以下FP)に相談することにした。
ファイナンシャルプランナーの無料相談
はじめての無料相談でパソコン画面に現れたのは、若いさわやかな男のFPだった。夫とともに不安に思っていることを相談した。毎週Zoomで、将来ほしいこどもの人数や、現在の収入などをライフプランニングシートに埋めながら、どのタイミングでたくさんのお金が必要になるのか確認していった。
「この不安を解決するにはまず、老後の不安からやっつけていきます。老後の不安が消えれば、こどもの教育費やマイホームのことなどが考えやすくなりますよ」
たしかに老後のことを考えなくてもよくなれば、お金による重荷が軽くなる気がする。教育費やマイホームのことを考える余裕ができそうだ。
FPの言葉に、老後のそなえを先にしておくメリットを感じて納得。そして、わたしたち夫婦は、預けた金額がおばあちゃんになるころには増えて返ってくるといわれる、ドル建て保険や、投資型の介護保険を契約することにした。
けれどわたしは、その保険をクーリングオフすることとなる。
ほんとうに保険契約してよかったの?
なぜ契約から一転して、解約してしまったのか。それは、FPに不信感を抱いてしまったのがはじまりだ。保険の契約をすると決まってから「また困ったことがあれば相談してください~」という感じでZoomでの面談が終了したのである。
「いや、わたしが相談したかったのは、今の収入で教育費やマイホームのためにどんな家計管理をしていったらいいか、だったのに、解決になってない!!これは保険契約をしたらおさらばという感じか!」
FPも仕事だから仕方ないけど、うまいようにしてやられたのでは、という感じがふつふつとこみあげてきて仕方がない。
ドル建て保険って本当に安全なのかな?と疑いはじめたわたしは、YouTubeで情報収集を開始。「絶対やめた方がいい」とか「やった方がいい」とかいろんな意見があって、頭の中が混乱してしまった。損をしているのでは、とぐるぐる頭で考えすぎて、布団に入っても目がさえて眠れなかった。
翌日、1人では解決できないとおもったわたしは、郵便局にいたFPさんにヘルプを求めた。そしたら「保険は保険、投資は投資、と別でやった方がいいとぼくはおもいます」と言われた。
「手数料かなにかで、いくらか保険会社がもっていっているとおもいます。同じ利回りで自分で運用していたら、本当はこれくらいになりますよ」と、計算した金額をみせてもらった。
なんと、保険契約で将来受け取れる金額の3倍以上だった。わたしは郵便局員さんとはなしながら、やめておいたらよかったと後悔が大きくなっていた。
投資のことは詳しくわからない。けれど、今はこどももいないし、保険だけの契約をして、投資はこれから学んでいけばいいのでは、とおもい始めた。このままだと後悔したまま保険料を払うことになってしまう。
夫に怒られそうとおもいながら(本当に怒られた。ふだん怒らないのに。)契約はやめようと言った。
それから1年後、夫の身体であやしいところがある、とクリニックで言われ、入院や手術になる前に保険を見直すことにした。1回目のことがあるので、もう必要な保険しか入らないぞ!!とわたしは固く決意していた。
でも、また投資型の生命保険を契約。そして眠れない夜を過ごしてしまった。
魔法にかけられてた
自分でも、2回も同じ失敗をするとはびっくりだった。もうこんなおもいはしたくない。なんで2回も同じことをやってしまったのか。FPとのやりとりをふり返って、わたしはFPによる魔法にかかっていたのでは、と考えた。
まず、わたしは魔法にかかりやすい。その理由は、いったん人の意見をすんなり受け入れてしまうところだ。だれか2人の意見を聞いたとして
「うん、まぁそういう考え方もあるよね」とどちらもいい意見だとおもうのだ。あまり反論意見がおもい浮かばない。
理不尽なことを言われても、腹が立つのはその人と別れてからだ。ああ言えばよかった、こう言えばよかったとおもいついたときには、もう相手がいない。そして自分だけ損した気分になる。
そういう性格だから魔法にかかりやすかった、とおもう。
わたしがかかったと考える魔法は3つ。
1:頭の魔法
2:目の魔法
3:心の魔法
頭の魔法
「老後にお金がたくさんあるイメージを描く」
1回目も2回目も、FP から投資型の保険の話を聞いていると、おばあちゃんおじいちゃんになっても安心して暮らしていける姿を想像した。お金の心配なんてまったくしていない。積み立てた金額より大きくなった資産で、ゆったり海外旅行に行くイメージができた。
「おばあさんになって、これだけのお金があれば、何をしたいですか?」と聞かれて、おもわずスイスのきれいな風景のなかにいる自分を想像した。そんな未来がいいなぁ。
もうこの時点で魔法にかかり始めています。
目の魔法
「すごく増えているようにみえる」
投資型の保険は、はじめこそ小さく増えていくが、おばあちゃんの年齢になるころには、何倍にも増える仮定で一覧表がつくられている。
今、夫は30さいだから、50年後の80さいになるころには、360万円積み立てて、1040万円ほど返ってくる予想だ。しかも、5.5%の利回りで計算しているが、現在はもっといい利回りで運用できているというのだ。増えて返ってくるなんて単純にうれしいし、たのしみだ。
そしてこの一覧表、30さいから105さいまで1さい刻みでそのときに返ってくる金額が利回り別で載っている。だから、A4のページ3枚が数字のオンパレードなのだ。細かく見ていくのは面倒そう。とりあえず数字だけみれば単純に増えているからいい話なのだろう。
危ない魔法にかかってしまっています。
心の魔法
「やっぱりいい保険なのだとおもう」
老後も安心して暮らせて、お金も増えて返ってくる。ここまでFPから話をきいていると、紹介してもらった保険は魅力的なものにしかみえなくなっている。そこでもうひとふり魔法がかけられる。
「いい保険なので私もはいってますよ」だ。
これを聞いて、FPもはいっているならやっぱりいい保険なのだと、ゆるがない決意の上からセメントみたく固められた。これは1回目も2回目も言われた言葉だ。
けれど2回目のわたしはちがう。投資型の保険は手数料が高くとられている。1回目の契約で学んだわたしは、FPに「利益から手数料ひかれますか」と聞いた。「いえ、ひかれませんよ」といわれてホッとした。夫はその場で契約。
けれど利回りを計算すると、やっぱり積み立てた金額より低いのだ。
それで電話すると営業さんは話し上手なもので、結局もういいや、となってしまった。
「旦那さんが残そうとしているんだと思いますよ。僕ももしものことがあったときに、妻に残そうと思ってるんで」
そんな風にいわれると、そうか、夫もひそかにそういう考えがあって、いい保険と思ったのかもしれない、と夫の男気を感じた。そしてわたしは2回目の保険の話から引っ込むことにした。あんまり納得してなかったけど。
魔法に書からないために
もしわたしと同じようにすぐに意見が言えない、あとから後悔することがおおい、という人は、つぎの方法を試してほしい。
STEP1 とりあえずいったんあたためよう
わたしたち夫婦に足りなかったのはこれだ。優柔不断なわたしとちがって即決型の夫。メリットばかりの説明を聞いて、あとは自分で調べるのが面倒くさいからとりあえずいいと言われるのならそれを。って感じだ。取り扱い説明書を読まない性格からもそうなんだろう。
そして流れのままにとりあえず任せてしまうわたし。あとから色々考えて、不安になっていく。夫に相談すると、もう決めたことだから、と話すらまともに聞いてもらえない。2回目のときは呆れられたものだ。
いい保険だ、と思ってもすぐに契約せずに
「いったん考えます」
この一言がいえるとわたしとおなじ失敗は減らせると思う。どうして契約しちゃったんだろう、と後悔する気持ちがあとから湧いてくるのは、十分に考えずに契約してしまったと感じるからだ。すぐに何もいえなくてもこの一言だけいう。それを決めておく。月々払いが何十年もつづくのはかなり大きい買い物だから。
STEP2 利回りを計算してみよう
投資だけをしたときに比べて手数料がおおめにひかれるといわれても、よくわからないものだ。実際、どれくらい違うのか、ネットで利回りの計算がすぐできるからやってみてほしい。目の当たりにすると、一度よく考えなおそうとなるはず。
わたしは手数料をおおくとられたくない派だけど、夫はつみたてNISAを始めると言ってからもう何年もはじめていないから、これがいいきっかけだと思って、保険は契約したままにしている。
STEP3 知るぽるとを利用してみよう
金融庁のホームページにある「知るぽると」というサイトをご存じだろうか。
暮らしに役立つ身近なお金の知恵・知識情報サイト ─ 知るぽると:金融広報中央委員会 (shiruporuto.jp)
ネットにもyoutubeにもたくさんの方のいろんな意見があって、本当にどれを信じたらいいのか分からない。投資型保険をいいよという人もいれば、絶対やめた方がいいという人もいるのだ。
だからこそ、中立的な立場で情報を得られる知るぽるがおすすめ。いろんな意見に混乱したわたしは最終的に知るぽるとに行きついた。そこでみつけたのが
夫に怒られて落ち込んでいた私はこの一言で救われた。
「ほら!投資もよくわからないのにこんな複雑なやつ入らなくてよかったやん!!」わたしはきっと家計を守ったんだ。
自分を肯定してくれるような言葉でほんとうに救われた。
保険はひとそれぞれにあったものを選ぶものだから、意見なんてたくさんあって当たり前なのだ。中立的な立場で保険のことを学んで、一度自分にとっての保険とは?から考えてみるのもいい。
まとめ
わたしの保険契約の失敗談から、満足して保険契約をするには?を考えてみた。話を聞いているだけだと投資型の保険はいいことづくめ、とおもってしまうけれど、一度立ち止まってみるのが満足して契約するための第一歩。
保険契約の際は、魔法にかからないよう自分が必要な保険を考えてみてほしい。