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ポケモン・バイオレットの感想

プロローグ

ポケモンワールドチャンピオン シップスでサトシが優勝した。久々にポケモンのアニメ画面を見た私は涙で頬を濡らした。まだ大人になった今でも懐しい日々があったことを、ポケモンに熱中し、夕方、日が沈む公園で友達と遊びふけった日々のことを思い出していた。ジャングルジムのてっぺんは寒くても心は燃えるように温かかった。あんな日がそうか私にもあったんだな。記憶の引き出しは仕舞われているだけで消えたわけじゃなくて、こうやって思い出されるんだな……。そう、優勝カップを持ったサトシを見て思ったのだ。


ことの始まりは後輩くんからの連絡であった。
「ポケモン買う人でしたっけ?」
その一言に、ここいくつか買った任天堂のソフトが浮かんだ。
ポケットモンスター・レジェンドアルセウス。
あつまれどうぶつの森。
星のカービィスターアライズ。
太古、幼い頃からポケモンをプレイし、カービィをプレイし、マリオパーティをしてきた私にとってしかしここ一年で買ったSwitchのソフトは皆、チュートリアルを終えるかどうかで飽きてしまい、ホコリを被っていたのである。
そんな中、後輩に言われた一言に私は渋っていた。
やりたい気もする。が、しかし、チュートリアルで終えていた数々の作品が脳裏をちらつく。
買ったところでちゃんとクリアできるのだろうか。
最後まで主人公の旅を見届けられるだろうか。
とても不安になった。頑張って仕事で稼いだ私のお金がまた無駄になってしまうのではないかと危惧していた。だとすれば買ったところで……。
もしかしたら、あの純粋に夢中になれた任天堂の世界を大人になった今では楽しめなくなってしまったのかもしれない。そう、思うと少し寂しくも感じた。同時に、年を食ったなとも思った。
「ポケモンはまた最後まで終わらなそうなので様子見る人です🤭 ニャオハ立て」
そう、少し茶化すように返した私。
スマホを閉じた瞬間、ちらついたのは数日前に見たサトシの優勝シーンだった。ポケモンに夢中になれた幼い頃の自分と、今の自分はもう違う。違うんだよ。そうだろ? そんな面白みもないことを考えたのが発売からちょうど三日前の夜だった。

翌朝、目が覚めると、なんと夢を見た。
昨晩、少しだけ気になって見たYou TubeのポケモンCMのせいだろうか。

広大なオープンワールドで駆け回る自分と道端に歩くポケモン達の夢。ぐぬぬ。少しだけ気になってきたではないか。
見守る人と言った矢先、今更ゲーム発売初日からやっぱプレイしようかななんて言いづらい状況。
「やばい。ポケモンやる夢見た」
そっと後輩くんにそれとなく興味が出た旨を伝える。
後輩くんは頭がいいので、空気を読んで先輩の言葉に答えてくれるだろう。そう思いながら。
「ポケモンの話題多いんで夢まで侵食してきましたね!」
返しが優しい。ポケモンに対して門前払いのような勢いで、まるで興味もないような素振りを見せていたというのに。夢にまで見るのはまぁ当たり前ですよみたいな言いっぷり。
これはもう、甘んじて正直に屈するしかあるまい。
「調べてたらすごいやりたくなってきた」

──こうしてめでたく私のバイオレットは始まったのであった。

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冒険から二日目


この世界はとにかく自由だ。
ざっくりストーリーを説明すると、主人公はアカデミーに入学し、そこでの座学を終えた後、宝探しという課外授業を始めることとなる。


ニャオハを選択して満足げなうちの子



ここから先がとても面白いシステムなのだが、この宝探し、どこから手を付けても良い。
今までのポケモンといえば、ジムリーダーを難易度順に倒していくというのがセオリーだった。ジムリーダーを一人倒していくと、その先の新たな街に行け、時にはサブストーリーのようなものがあったり、ロケット団やらギンガ団やらその他諸々とどんぱちするのが常だったと思う。
しかし、今回はそれが全て自分次第なのだ。
どこから始めてもいい。何をしてもいい。
しかし任天堂様は迷子になりがちの私のようなユーザーにもわかるように、丁寧に世界地図に目印をしておいてくれる。
ここに行けば何かあるかもよという目印がいくつも置かれていて、その順番は主人公に委ねられている。やるもよし、やらずもよし。
だけど目的を見失うわけではない。
すごく優しく、自由を感じさせてくれるシステムだ。
しかもこの世界はオープンワールドなので、同時に四人の仲間達と旅をすることもできる。
実に現代風の縛られない世界。
どうしよう。ちゃんと楽しいではないか。
これはもしかしたら、私も主人公の宝探しを最後まで見届けられるかもしれない。
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やばい。大泉洋出てきた。

ガーディの寝顔と、見たことのないプリケツを見つめることに飽きた私は、不意に地図を開いた。

ガーディ寝顔 Photo by Pupu
プリケツ Photo by Pupu


じっくり眺めているとスター団あく組という何やら悪い集団のアジトを見つけた。
ざっくり説明文を読むと気になる内容が書かれていた。
「かつてはアカデミーの生徒会長にもなるような男がスター団のあく組を率いている。その座から引きずり下ろせ」
……ざっくりこういった内容だった。楽しみすぎてNote用にメモをしていなかった私が謝ろう。
とにかく、少し事情がありそうな男が、不良グループのチームを率いているから倒してこいという内容だ。
いざ、カチコミに行こうじゃないか。

ヤッテヤルワヨ

脳裏に浮かぶのは3Dポリゴン時代のポケモン。立っているだけで連続バトルを強いられたあの熱い戦いの日々。そして私は今日再び、悪の組織の門を蹴破った。
バトルシステムが──新天地だった。
何人も立ちふさがるあく組の手下達。倒しても倒しても休憩する暇さえなかった奴らの根城は、しかし今はとても優しい世界となっていた。
──戦いに疲れたポケモンと主人公を労う自動販売機。
──10分というタイムリミットはあれど好きなタイミング戦える余裕をくれる敵陣営。
優しい。敵ながらあっぱれの悪の組織の懐。

なんということでしょう。すごく楽しい。
ポケモンってこんな優しいゲームだったんだ……好き。
心がそう叫んでた。
そして奴は現れた。

大泉洋。じゃなく、スター団あく組を率いるトップ。ピーニャであった。
似てる。ものすごく似てる。何だお前、どうしたってんだ。何がお前をそうさせたんだよ。生徒会とアカデミーで何があったんだ。
既にここに来る前から地図を見て、思い馳せていた敵の顔を見た私は彼の本音を聞き出すべく戦いに挑んだのであった。

続く(かもしれない)。

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