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犬の行動治療も「First, Do No Harm」まずは害のないことから!

(昨日の記事の続きです。)

「専門家に聞いてほしい。」

そんな言葉から今回の話は始まった。
その商品はアメリカの一部で話題になったことは知っていたが、私自身は効果と使い方には懐疑的で全く興味が持てなかった。
実際、アメリカのトップの専門家たちからも聞いたことがないし、私から尋ねてみるという発想にまですら至らなかった。

どんな物や技術でもお客様に紹介する前に、私自身が使い納得する必要がある。
そしてまず試してみようと私の気持ちを動かすだけの動機が必要だ。

私には過去に見たり聞いたりした技術や物を全く興味がわかず使用しなかったケースが幾つもある。
大金を払ったセミナーやワークショップで聞いた情報や技術だとしても残念ながら私の心に響かなかったのだから仕方がない。

常に自分の中の経験と直感に基づいてフルイにかけるのだが、最も大切にしているポイントがある。

大事な教え

30年前にテリー・ライアン先生から何度も教えられた言葉だ。

First, Do No Harm!(まずは害を与えるべからず!)

最初は一番害が少ないと思われる方法から始めること、と言われ続けた。
それは今も尚一番大切にしている教えだ。

行動治療は動物の健康面のチェックから始まる。
そして与えられるべきことを与えること。
充分な運動や刺激などそうしたことを犬にしっかり提供するだけで行動は劇的に変化する。

それからトレーニングという行動矯正に着手するのだ。
トレーニング技術もアプローチの仕方はたくさんあり、経験豊かなトレーナーからは多方面からのアドバイスが出るだろう。
またトレーニングをサポートする補助的なモノも山とある。

次から次へと開発され登場する新商品や新技術を前に、それらを自分のモノするかどうかの判断は常に求められる。
良さそうだから仕事で使ってみよう、とは進めないのが私のやり方だ。
実験は自身で行わなければならない。
そこに業者が提供する症例があったとしても実際に自身で使わずして仕事で使うことなどあり得ない。

そしてフルイにかけてみた

営業マンの熱い話を聞きながら少しずつ作用と効果を理解し、自身の犬猫への使用とお客様への紹介をイメージしていた。
腕を組み、時折天井を見上げながら考えた。
頭の中で私のフルイがガラガラとものすごいスピードで動いている。

「害はないの?」という疑惑だけが強く残る。
ある程度プレゼンが落ち着いたと判断したところで尋ねてみた。

もちろんどんな技術も商品も害がゼロなんてあり得ないことは承知している。
100%安全な物など存在しない。
全ては使い方次第である。

それでも我々プロは多くの一般飼い主が間違いを起こしやすい使い方をした際に犬の身体的、または精神的に大きなダメージを与える可能性があると判断したものは使わない。
またはしっかりその飼い主が使いこなせると判断するまでは紹介しないのだ。

営業マンたちは害がないことへの説明も的確で私からの更なるツッコんだ質問にも迅速に応えてくれた。

まずは使ってみるか。

幸か不幸か自身で試せる状態の犬も猫も我が家にはたくさんいる。
そして他の専門家とデータを共有し意見を交換できる状況にもある。

私のフルイから落ちなかったこの商品は第一段階の”私自身がまず使用してみる”の門を突破した。

私はここからが意外と長い。
お客様へ紹介する前の自身で試す時間が長いのである。
そして使用した結果、やはりしっくり来なかったことでお蔵入りすることも多々ある。

使用開始は来週以降から。

さて次のフルイはどうなるか。
焦らずじっくりしっかり見極めて行こう。





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