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[処女は恥ずかしい?]処女の歴史⑦日本人の恋愛と結婚・1960~70年代女性解放と性革命
こんにちは。40代で「彼氏いない歴=年齢」&「おひとりさま」の占い師(占いカウンセラー)・可憐(かれん)です。
前々回は、昭和の高度成長期(1950~70年代)の恋愛や結婚のスタイルを見ることで、処女の歴史を振り返りました(→その記事はコチラ)。
今回はその続き、特に1960~70年代の社会のできごと、恋愛や結婚、処女の歴史をお送りします。
ウーマンリブと性革命(1960~70年代)
戦争が終わり、憲法が変わり、民主主義や国民主権の国となり、高度成長期を迎えて、自由恋愛の末、みんなが結婚して、家族を持つのが「当たり前」の世の中になりました。
はたして、女性はそれで幸せになっていたのでしょうか?
上野:私の母や田房さんの祖母世代(※団塊の世代の親たち=明治・大正時代の人のこと)の場合、まず「結婚しない」っていう選択肢は、ほぼ100%なかったと思う。「女が働くのは惨めなこと」っていう時代だから。
特に良家の子女は働かないものだったの。そういう時代の女はおのずと「男に選ばれる」「男の傍で生きる」「男次第で人生が左右される」生き方になってしまう。
団塊世代はそういう生き方の女性を見て育ち、そういう価値観の母に育てられた。だから婚姻率がめちゃくちゃ高い。
日本だけでなく世界的にも、女性の社会的な立場は低く、「妻・主婦・母親」といった家父長制的に与えられた伝統的な役割を果たすことが「当たり前」とされていました。
性・セックスに対しても保守的な価値観を押しつけられていました。
ウーマンリブ・女性解放運動
1950~60年代のアメリカで、マイノリティ(少数派)、特に黒人の権利保障を訴えた「公民権運動」が展開します。
その流れを受けて、1960年代後半から70年代初頭にかけて、アメリカで「ウーマンリブ」と呼ばれる女性解放運動が起こりました。
「女性解放」を目標に、女性に対する差別をなくし、抑圧からの解放を目指すものです。この動きはアメリカから世界に広がります。
当時の日本にも、市民や学生、大人や若者がデモを起こす動きはありました。
・1959~60年、日米安全保障条約の改定に反対する闘争が、全国規模で展開された。近代日本史上、最大の大衆運動と言われる。
・60年安保:特に60年には連日、学生など数万人がデモ行進し、国会を包囲したが、結局条約は改定された。
・70年安保:70年にも条約の延長をめぐって反対運動が行われた。
・学生運動:60年代、安保闘争などをめぐって加熱。70年代に大学の管理運営や学費値上げなどに対して、大学内での紛争が多発した。
例)1969年(昭和44年)1月、東京大学安田講堂事件
これらの動きを背景に、日本でも1970年に初めてウーマンリブの集会が開かれます。
1970年(昭和45年)10月21日の国際反戦デーに、田中美津たちによってデモ行進が行われ、「便所からの解放」というチラシがまかれました。
【婦人運動】広義で女性の権利・地位の向上、抑圧からの解放を目的として行われる運動のこと。「婦人」という言葉には「成人した女」という意味のほかに「嫁いだ女」という意味があることから、リブ以前の女性運動を指す言葉としてウーマンリブとは区別して使われることがある。リブは「婦人」「主婦」「母親」などの言葉に含まれる「女役割」とそれによる女の分断を拒否して、「まるごとの自分を『女』ということばで受け入れようとする」運動だった。
*
田房:男性や社会にとっての「よりよい女」になりましょうではなく、私たち女は「一人の人間」だと主張したんですね。
性革命(セクシュアル・レボリューション)
1960年や70年の安保闘争、学生運動とからみながら、「性革命」の動きも起こります。
【性革命】保守的な性の道徳や考え方の変化を求めた運動。婚前セックス、婚外セックス、オーラルセックス、自慰行為など道徳的にタブー視されていた行為の解放や性表現の自由を求めた。アメリカでは60年代から70年代にかけて進展した。
高度成長期の当時の日本には、「恋愛・結婚・出産」の3つがセットの「ロマンティック・ラブ・イデオロギー」に支えらえた恋愛結婚が増えていました。
しかし、まだ家父長制的な「結婚までは処女であれ」という処女性尊重の意識は残っています。
「世間体」という圧力
もっとも’70年代まで、「恋愛と性(出産)」の結びつきについては、「結婚を前提としない限り、あり得ない」「汚らわしい」などと見られていたようです。
当時のテレビドラマでも、結婚前のカップルが、欲望に流されてセックスする(または、した後と思しき)シーンは、ほとんど描かれませんでした。
(略)
現実には、当時も婚前交渉は行われていたはずです。それでも社会にはまだ「欲望に流される性は、はしたない」「あくまで性は結婚後、生殖目的で行われるべきだ」との概念が残っていたのでしょう。
ようやく自由恋愛を叶える環境が整い、恋愛結婚も主流になり始め、若者たちは結婚前から、性的衝動を抑えにくくなった、しかしながら社会にはまだ「婚前交渉ははしたない」との概念が根強く、その衝動を「家族形成(結婚)に繋がるもの」とする必要が生じたのだと思われます。
そして、「家父長制的な処女性尊重」とは、次のような考え方もあります。
家父長制社会では女は男(家長)に所有されるものであり、父から夫へ贈与されるものという意識から、女性は新品の女=処女であることを求められてきた。
「初夜」という言葉があります。これは結婚後、新婚の夫婦が初めて寝床をともにする夜のことです。結婚前は女性は処女という前提なので、女性にとっては初めてのセックスをする夜ともなります。
結婚より先にセックスすることは「婚前交渉」といわれ、特に「婚約者同士・結婚しようとする男女が結婚前にセックスする」ことを意味しました。
しかし世間では、結婚を約束した相手とであっても、結婚の前に「婚前交渉」をすることに賛否両論がありました。
「結婚をする前に一度でもセックスをしたら、または処女を奪ったら、責任を取って結婚して」と男性に迫る女性もいました。
そのような、「結婚までは処女」「処女を失ったら嫁にいけない」「世間体が悪い、恥ずかしい、はしたない」といった家父長制的な処女性尊重。
それに対する反動のように、性・セックスにも自由が求められます。
フリーセックス
そこで行われたのが「フリーセックス」。
フリーセックスとは、婚前交渉に対して、結婚を前提としない相手とセックスすること。つまり、セックスしたからといって必ずしもその相手と結婚するわけではない、という意味です。
「フリー(自由な)セックス」という字面から、「相手にかまわず不特定の大勢の男女がいつでもする」という乱交のようなイメージをされそうですが、そうではなく。
恋愛関係でつき合っている彼氏彼女が結婚前にセックスをするのはおかしなことではない。
そのまま結婚せずに別れてもおかしなことではない。なんなら男女ともにセフレがいるのもおかしくはない。
このような、現代で「当たり前」になっていることを意味します。
「セックスしたら即結婚」「1度でもしたら責任を取って結婚しなくてはならない」という価値観に、自由を求めたということです。
結婚前提の相手との、婚前交渉。前提としない相手との、フリーセックス。……ということで、結婚前のセックスにも2つのステップがあったようですが、昭和47年(1972)頃の大学生の姿を描いた、桐野夏生『抱く女』は、そういった意味においてはフリーセックスを躊躇しない女子大生が主人公となっています。
当時、ウーマンリブのスローガンとして「抱かれる女から抱く女へ」という言葉があったことからきている、このタイトル。受け身ではなく自分の意思でセックスをするべき、といった意味が、そのスローガンには込められていたと思われます。
その背景にあったものは、こちら。
上野:ウーマンリブは世界同時的に登場したけど、共通の大きな課題は中絶の自由だった。ヨーロッパとアメリカはホントに保守的な社会で、キリスト教の影響もあって、中絶の権利が女になかったのよ。そのために彼女たちは暗澹たる思いをしてきた。
だから欧米の女たちは中絶の権利を求めて闘ったけど、日本のウーマンリブは中絶の自由を求める必要がなかったの。なぜなら日本には優生保護法があり、「中絶天国」って言われるほど中絶が簡単にできる国だったから。
(略)
当時、ようやくピルが登場したのよね。欧米ではとくに、性革命とピルは切っても切れない関係にある。だって妊娠の心配を抱えながらセックスなんて楽しめないもの。フリーセックスなんて言ってらんないよね。女性主体でできる安全で確実な避妊が、性の自立にとって決定的な条件だったの。
なお、現在もアメリカの人工妊娠中絶の問題には、政治と宗教が関わっています。
(1973年、連邦最高裁判所の判決により人工妊娠中絶の権利が全米で認められた。
しかし2019年、トランプ政権下で中絶を禁止する法律が成立。
さらに2022年6月、最高裁がそれまで「中絶は憲法で認められた女性の権利」としていた判断を覆した。
中絶をめぐって主に議論になっているのは「誰の権利を優先させるか(妊娠した女性か、おなかの胎児か)?」。キリスト教の倫理観により、中絶は(胎児の)殺人であるとする考えがあるため。
来月2024年11月のトランプ対ハリスの大統領選では、この中絶問題も争点になっている)
1970年代に、世界的にさまざまな動きが見られたことにより、
日本でも、特に女性に対して「結婚までは処女」という家父長制的な処女性尊重の意識に変化が起こりました。
これ以降、女性が結婚する前に、結婚をする気がない相手ともセックスをすることが、特別めずらしいことでも、世間体の悪いことでもなくなる時代がやってくるのです。
他のマイノリティ・同性愛者の解放
なお、1970年代のウーマンリブは、他の抑圧されたマイノリティ――同性愛者などの解放とも呼応しました。
同性愛についての説明は、以下がくわしくてわかりやすいので引用します。
レズビアン・ゲイ解放運動
家父長制社会は異性愛の強制によって維持される。たとえば社会が〈日本には同性愛者は存在しない〉と装うとき、あるいはメディアのなかで特殊な同性愛イメージを氾濫させるとき、現実の同性愛者は自分のセクシュアリティについて沈黙を強いられ、心理的・社会的・身体的な閉鎖空間(クロゼット)に閉じこめられがちである。レズビアン・ゲイ解放運動は、同性愛者が公的な空間において自分のセクシュアリティ(セックス)を明らかにすることでその存在を社会に知らしめ(カムアウト)、日常的な他人とのコミュニケーションから法にいたるまでの、あらゆる場面の闘争に政治的に関わり、そこで自分なりの新しい生き方をつくっていく運動である。同性愛差別に対するそれまでの先駆的な努力と、1960年代の公民権運動、ウーマン・リブなどを背景に、1969年のストーンウォール暴動をきっかけとして各国に波及した。その結果米国では1973年に同性愛が医学的に異常、倒錯とはみなされなくなり、サンフランシスコでは1977年ハーベイ・ミルクがゲイとしてはじめての行政執政官に選出された。
(以下略)
メンズリブ
なお、女性側のウーマンリブがあるなら、男性側のメンズリブもあります。
メンズ・リブ
「ウーマン・リブの影響を受けて1970年代に誕生した運動。米国に始まって先進諸国に普及し、セラピスト、弁護士、牧師、研究者などを中心に組織づくりが進む。フェミニズムの性差別批判にたいする男性側からの対応であり、男性の感情表現を取り戻す運動や父親業について考える団体、シングル・ファーザーのサポート・グループといった多様な形をとる。日本では1980年代に男性の育児時間取得を要求するグループが生まれ、1990年代に入り、これまでの男とはかくあるべしという考えや男らしさを問い、男性と女性のあり方・関係を見直す運動として各地に広がっている。
引用の中にある「男性の感情表現を取り戻す」とは、「男は泣いてはいけない、感情を出すのはみっともない、弱音を吐いてはいけない、我慢しろ、強くあれ」といったことからの解放です。
「男とはかくあるべしという考え」とは、「男は働いて稼がなければならない」「男は一家の大黒柱となって、家族を支え、養うものである」といったこと。
メンズリブや男性学は、弱さや痛みをさらけだすことができない「男らしさの呪縛」から、男性を解放しようとするものです。
おわりに
60~70年代の学生運動や安保闘争といった「政治の季節」の社会の動きに合わせて、
女性は、家父長制的に与えられた「妻・主婦・母親」といった役割にあてはめられるのではなく、
男性や社会にとっての「都合のいい女」や「産む機械」でもなく、「1人の人間」だと主張した婦人運動、ウーマンリブの動きがありました。
性革命は、「結婚までは処女」「婚前交渉は世間体が悪い、はしたない」といった家父長制的な処女性尊重への反動のように起こった動き。
女性が受け身ではなく自分の意思でセックスをする、性の自立が目指すところでした。
男性も男らしさの呪縛から解放され、
レズビアンやゲイなどのマイノリティも、それぞれの抑圧から解放され、
それぞれが大切な「1人の人間」だと主張を始めた、1970年代のこの流れ。
この後、80年代に入り、どうなっていくのでしょうか?
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さて、長くなりましたので、今回はここまで。
1960~70年代を振り返りました。
次も、1960~70年代の「恋愛、結婚、処女の歴史」をお送りします。
つづきはコチラ
●参考文献:
酒井順子『処女の道程』新潮社 2021年
牛窪恵『恋愛結婚の終焉』光文社新書 2023年
田房永子・上野千鶴子『上野先生、フェミニズムについて ゼロから教えてください!』大和書房 2020年
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龍泉寺可憐|40代で「彼氏いない歴=年齢」&「おひとりさま」の占い師(占いカウンセラー)
新卒で出版社に勤務
親の介護&コロナで働けなくなってから派遣で図書館に勤務
ライターとしても活動
電話占い師として1年で老若男女のべ750人鑑定
現在、占いカウンセラーとして「彼氏いない歴=年齢」・「おひとりさま」の女性のお悩み相談に乗ってます
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