色気のある線
「真横に進むことは、ないとは言いませんが
まずないと思ってください」
能の先生が教えてくださった。
能の仕舞で横に進んで行くときもね、
舞台の上で少し前に進みながら横に行くの。
前に行くことなしに、真横に進むことは ほぼないんだって。
人形の自主練中
そのことを試していたんだ。
真横に進むとね、味も素っ気もない。
なんかつまらない。
斜め前に進んで行くとね、なんか面白いんだ。
推進力を感じる。
前があるとね、なんか色気のある線になる。
仕舞で舞台上を移動していく線
私はシッチャカメッチャカだけど
この線は きっと計算しつくされた線なんだろう。
舞台が痩せないように、少し膨らむように
動線が設計されているのだろう。
教えてもらわなければ気づかなかった。
感情が高ぶっていると、膨らんでいるように錯覚するじゃない?
だから、平気で真横に歩いていたけどさ、
これだと萎んでいるんだわ。
ふと思ったんだけどさ
舞台上の動きって、2つの方向が必要なのかもしれないね。
上+前とか、前+横とか。
上だけ、とか前だけ、とか、一つの方向だけだと
味気無くなる。
そんな気がする。
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