扇の上に小人がいる
扇の上に小人さんがいるの。
その小人さんがバランスを崩さないように、扇を運んであげるの。
運び方が雑だったり、意識が抜けてしまうと
小人さんが扇から墜落してしまうから。
小人さんが慌てふためかないように扇を運んでいると
満杯の水を湛えた柄杓の水を、こぼさずに運んでいるような心持ちになる。
小人さんが、扇の上で静かに立っている
小人さんが、扇の上で静かに座っている
その状態を保持し続けられると
自分の身体も静かになっていく。
仕舞の稽古終わりに気がついた。
この小人は自分だと。
扇を使って、自身の身体を整えているのだと。