尊い一滴の光の中で
人間は、何か物が出来たり、発展を成し遂げた時、最初のうちは、それを『画期的』などと言い、持て囃すが、時が経つにつれて、それが『当然』に変わった時、次第に感謝の気持ちを忘れていく癖がある。
親という存在がある事。
この世に生まれ、今、生きている事。
『当然』だと思う事は無限にある。
しかし、それらに感謝の意を示し、今、生きている事を幸せな事だと噛み締めている人は、どれだけ居るのだろうか。
1979年7月。
一つの命が誕生した。
4ヶ月で流産しかけ、6ヶ月に流産しない様、子宮を縛る手術を行った上で誕生した命ーーーそれが私だった。
まさに『奇跡』とも言える出来事。
その時の事を「人生で一番嬉しい、そして、幸せな瞬間だった。」と、15歳になった私に母は言い、涙を流した。
『自分が生まれたのは当然だ』と思っている人がいるかもしれない。しかし、それは間違いだと言っても過言ではない。私達は、一つの奇跡から生まれたのである。その奇跡を無駄にして欲しくない。むしろ感謝して、これからを生きて欲しい。
絶え間なく流れてゆく時を、私はいつでも自分に正直に生きていく。
この世に生まれた事を喜びながら。
今を生きる事に感謝しながら。
そんな今が、一番素敵。
1995年3月
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