抄録
【目的】本研究の目的は末期変形性膝関節症患者の生活空間に影響を及ぼす因子をあきらかにすることである。
【方法】末期変形性膝関節症を有する106名を対象とし,生活空間(Life Space Assessment;以下,LSA),外出に対する自信,自宅周囲の環境要因(International Physical Activity Questionnaire Environmental Module;以下,IPAQ-E)の評価と,膝関節可動域,膝関節伸展筋力,10m歩行時間,歩行時痛,Timed Up & Go test(以下,TUG)を計測した。LSAに影響を及ぼす因子を決定するためにLSAを従属変数,年齢,外出に対する自信,IPAQ-E,膝関節伸展筋力,10m歩行時間,歩行時痛,TUG,性別,就労の有無を独立変数に投入したステップワイズ重回帰分析を行った。
【結果】TUG,外出に対する自信,近隣の歩道の整備状況がLSAに影響を与える有意な因子として抽出された。
【結論】末期変形性膝関節症患者の生活空間には移動能力や外出に対する自信,近隣の歩道の整備状況が影響しており,生活空間を拡大していくうえでこれらの因子が重要であることが示唆された。