褥瘡について
褥瘡メカニズム
直接的要因
・身体に加わった外力は骨と皮膚表層の間の軟部組織の血流を低下、あるいは停止させる。この状況が一定時間持続されると組織は不可逆的な阻血性障害に陥り褥瘡となる。特に骨突起部分は体圧が集中しやすい。
間接的要因
・低栄養:低アルブミン血症による浮腫や皮膚弾力性に低下など
・やせ:低栄養が進むと皮下組織や筋肉組織が減少し骨突出に繋がる
・加齢・基礎疾患;骨粗鬆症、糖尿病など
・薬剤投与:抗がん剤、ステロイド剤などによる易感染症、創傷治癒遅延など
・浮腫;うっ血性心不全、肝機能・腎機能障害、甲状腺機能低下症など
局所的要因
・加齢による皮膚の変化
・摩擦、ずれ
・失禁・湿潤:皮膚障害
・局所の皮膚疾患:皮膚感染症、炎症性皮膚疾患
社会的要因
・介護力不足
・福祉制度、サービスに関する情報不足
・経済力不足
発生しやすい状況
・寝たきり高齢者
体位変換困難、低栄養、廃用性萎縮、スキンケア困難など
・疾患急性期
発熱、疼痛、自立度低下、知覚低下、意識障害など
・周術期、特殊疾患状態、終末期
https://www.maruho.co.jp/medical/jokusoujiten_fm/outline/outline3/page1/page1.html
褥瘡のケア
①褥瘡をみつけたらまずどうしたらいいのでしょうか?
まずは「褥瘡ができてしまった原因」を把握しましょう! 褥瘡ができてしまった環境が必ずあります。 原因となった環境を見直してみると行うべきことがみえてきます。 環境を整えて改善することが治療の第一歩でした。
②褥瘡のケアのもっとも重要なことは何でしょうか?
「除圧」することがもっとも重要でした。 褥瘡は皮膚が圧迫され虚血することによって生じます。 ケアがうまくいくかは除圧ができるかどうかにかかっています。 実践的な除圧の方法についても学びました。
③栄養状態を改善するために何を心がければいいのでしょうか?
たんぱく質を積極的にとりましょう! たんぱく質が不足することが褥瘡の大きなリスクになることを学びました。 栄養状態を改善して痩せることを防ぐことも重要です。
https://kujira-zaitaku.clinic/blog/690.html
文献:褥瘡発生要因の観点からチーム看護による褥瘡予防対策効果の検証
著者:古市 由紀, 難波 志穂子, 寺澤 紘子, 二丹 愛里, 福田 妙子, 尺田 峰
掲載:日本集中治療医学会雑誌 21 巻 (2014) 1 号
抄録:
【目的】
・救急集中治療領域では褥瘡発生のハイリスク状態にある患者が多い。我々は看護師によるチームでの褥瘡予防対策を行ってきた。今回,患者の褥瘡発生に関わる要因を検討することで褥瘡予防対策の効果を検証した。
【方法】
・岡山大学病院高度救命救急センターに入室した379人の患者を対象とした。看護師によるチームでの褥瘡予防対策を行った患者203人を介入群とし,それ以前の患者176人を対照群とした。介入群と対照群の褥瘡発生率を比較し,ならびにリスク要因についても検討した。
【結果】
・褥瘡発生者数は,対照群20名(11%),介入群は9名(4%)と,褥瘡発生率は減少していた。ロジスティック解析によりアルブミン値と骨突出が褥瘡発生のリスク要因であり,看護師によるチームでの褥瘡予防対策は褥瘡発生リスクを減少させることが明らかとなった。
【結論】
① 看護師によるチームでの褥瘡予防対策は褥瘡発 生率を減少させることが可能であった。
② 褥瘡発生要因はアルブミン値,骨突出,湿潤,看護師によるチームでの褥瘡予防対策であり,看護 師によるチームでの褥瘡予防対策の有用性が明らかとなった。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsicm/21/1/21_17/_pdf/-char/ja
アルブミンについて
血清中のタンパク質はアルブミンと、グロブリンの2種類に分けられる。
アルブミンは主に肝臓で作られる。
グロブリンは骨髄などでも作られる。
アルブミンの数値が低い場合は、肝臓の異常、腎臓や腸管からアルブミンが漏れ出していることが示される。
アルブミン値(A/G比)から肝硬変、ネフローゼ症候群がわかる。
肝硬変
肝細胞が壊れて肝臓が硬化し、肝機能が正常に働かなくなった状態のこと。
肝機能が低下すると起きる症状
・食欲がなく疲れやすい
・体重が減る
・出血が止まりにくくなる
・身体から有害物を排除する機能が落ちて意識障害をきたす場合もある
・静脈瘤
→食道静脈瘤は破裂すると、吐血や下血などをもたらし、重篤な状態になる。黄だんや腹水なども起こるほか、シャントを通った血液がそのまま脳に到達し、意識障害が発生する脳肝性症が起きることもある。
○肝炎ウイルスによる急性肝炎を放置すると慢性化することがあり、とりわけC型肝炎ウイルスによる肝炎は慢性化しやすいことが知られています。慢性肝炎を放置すると肝硬変に進んでしまう
ネフローゼ症候群
・血液中にあるはずのたんぱく質が尿中に流れ出てしまい、血液中のアルブミン濃度が低くなった状態のこと。糸球体の機能が何らかの原因によって正常に働かなくなっていることを示している。
https://www.sonysonpo.co.jp/md/i_hch007.html