【1日1文献】地域で生活する統合失調症者の自己効力感の研究#統合失調症#自己効力感#生活行動

参考文献:地域で生活する統合失調症者の自己効力感の研究
筆者:伊東 由賀山村 礎
発行日:2006年
掲載元:日本保健科学学会誌 9 巻 (2006) 2 号
検索方法:インターネット
キーワード:統合失調症自己効力感QOL生活行動生活支援

【抄録】
・本研究の目的は,地域で生活する統合失調症者の自己効力感への働きかけの効果の検討である。
・対象は授産施設,小規模通所授産施設,共同作業所に通所する統合失調症者34名で,自己効力感尺度(SECL),精神科リハビリテーション行動評価尺度(REHAB),WHO/QOL-26を用いて調査した。
・SECLの『自分にあった方法でストレスを発散する』とREHABの『(ことばの)明瞭さ』が有意な正の相関(p<0.01),SECLの『病気の状態が悪くなりかけたら,病院にいく』とREHABの『病棟外交流』に有意な正の相関(p<0.05)がみられた。
・SECLの「治療に関する行動」とWHO/QOL-26の「社会的関係」「全般的QOL」以外は有意な正の相関がみられた。
・SECL, WHO/QOL-26とREHABは一部負の相関を示した。以上より,自己効力感を高めることで対人交流が改善する効果が示唆された。

メモ
・統合失調症者の社会復帰を妨げる要因には , 病 気 , 生活障害 , 社会資源の不足等のほかに 地域生活に対する自信 の 不 足 が あ る 2 )といわれている。

・大川 らの 開発 した 「地 域 生 活 に対 す る 自己 効力 感尺 度 (SECL : Self−EficacyforCemmunity Life scale )11・12)」 は ,行 動 特 異 的 自己効 力感 尺度である。
・統 合 失調症者の地域生活に対する精神 障害 者 の 主観 的内容 を測定 す る 。 
・地 域生 活 で必要とされる 18 の行動 についてどの程度自信 が あ る か を 「0 (ま っ た く自信が な い )」か ら 「10 (非常 に 自 信 が あ る 〉」 の 11段 階で 問 う尺度 の 自記式 質 問紙 で あ る 。
・尺 度 計 算 は リ ッ カ ー ト法 を 用 い (0 〜 180点 )得 点 が高 い ほ ど 自己効 力感 が 高 い こ と を 示 す 。 
・18項 目は 「日常 生活 (5 項 目)」 「治療 に 関 す る 行 動 (4項 目)」 「症 状 対 処 行 動 (4 項 目 )」 「社会生 活 (3項 目)」 「対 人 関係 (2 項 目)」 の 5 つ の 下位尺 度か ら成 る 。

・SECL の 『必 要 な と きに 公 的 な援助 サ ー ビ ス を 利 用す る 』、『日中 , 職 場 ・デ イケ ア ・作 業所 ・仲間との あつまりの場所に出かける 』 は REHAB の 『病棟 内交 流 』、『助 言 ・援 助 』、『こ とばの 量 』、『施 設 ・機 関 の 利 用 』 と有 意 な正 の 相 関 (p < 0.01> が みられることか ら,公 的 な サ ービ ス を利用 した り,仲 間の あつ ま る場 に 出かけるという社 会生活 に関す る 自己効 力感 を高めることで , 生 活 行 動が 改 善す る と推 測 され る 。 
・社 会 生活へ の 支援 は, 障 害 者 の ソ ーシ ャ ル ・ネ ッ トワ ーク を広げることにもつながる 。 
・宇佐 美 9 ) は ,「地 域 で 長 く生 活 す る 障害者 た ち は ,ソ ーシ ャ ル ・ネ ッ トワ ーク が 友 人 , 専 門家 で 占め られ ,それに対して ,生 活期聞が短いものたちの ソ ーシ ャ ル ・ネ ッ トワ ーク は , 専門家の 数 が 多 い 」 と述べてい る 。

・以下のことが明らかになった 。 
①自己効 力感 と社 会的活動 性 , 特 に 対 人交 流 に 正 の 相 関 が み られ た 。 
②対人交流の場に出かけること及び 十分 な睡眠をとりリズムの整った生活をすることに関する自己 効力感 と QOLに正の相 関がみられた
③自己 効力感 と生 活行 動 , QOL は 一部負の相関 を示 す の で ,働きかけには慎重な配慮が必要な側面がある 。

参考URL:
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jhsaiih/9/2/9_KJ00004378007/_pdf/-char/ja 


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