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違う景色へ

久しぶりの水族館。
ちょうどイルカショーが始まる頃に到着した。せっかくなので、イルカショーを観てから館内をゆっくり周ることにした。
イルカショーが行われるのは、水族館の奥の方。かわいい魚やアザラシに足止めされながらも、急いでイルカショーの会場に向かった。
会場は遠足の子ども達や、平日にも関わらず親子連れでほぼ満席だった。立ち見に良い場所を見つけた直後、ちょうど良いタイミングでショーは始まった。

オットセイの前座で会場は盛り上がり、いよいよイルカが出てきてジャンプ。更に盛り上がっていた。


実はこの1年半、ほとんど出かけていなかった。
こんな景色は、久しぶりだ。

目の前で繰り広げられるショー、それを観て歓喜の声をあげる人、子ども達の笑い声。
それを観ている自分。
よくわからないけど、不思議な気持ちになった。
目の前の楽しいショーを自分だけ別の世界からそっと覗いているような、そんな気持ちだった。
夢を見ているような、もしくは今までが夢のような、よくわからない感覚。

気がつけば、リズムに乗って拍手したり、手を振っていた。 
ショーはあっという間に終わった。
最初に奥のイルカプールまで来てしまったので、入り口付近まで戻り、順路通りにゆっくり鑑賞することにした。方向音痴なので、何度も同じところを通った。そして、お気に入りの大水槽の前に座ることにした。


青い大水槽を目の前に、どのくらい座っていたのか。気がつくと、左右には私と同じように座るおじいちゃんとサラリーマン風の男性が居た。
目があった訳でもなく、言葉を交わしたわけでもないけれど、このおじいちゃんと私、サラリーマン風の男性は同じ線上にいたのかもしれない、と勝手に思った。

水族館を出た後、少し歩いて神社にも行ってみた。

勾配のある階段をかなり登って境内に出た。茅の輪くぐりをして参拝した。おみくじをひくと〝大吉〟だ。振り返った景色もきれいだった。

後ろに並んだ人も同じタイミングで茅の輪くぐりをして、参拝して、おみくじをひいて、階段を降りていた。これまた不思議な気分だった。


1人のお出かけ。誰かとおしゃべりしたわけでは無い。少しだけ、いつもと違う景色を見た。体験した。

寒くなる前に自宅に向かった。

目を瞑り家の湯船で温泉気分。
お気に入りの豆を挽いてカフェ気分。
大音量でネトフリ、映画館気分。

気分じゃ追いつかない。

たまには出かけよう。
いつもとは、違う景色も見なくちゃ。

もっとたくさん、違う景色を見に行こう。

そんなことを思った、ある日のお出かけでした。



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