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No No Girlsから 咲いた7人のHANA達

ちゃんみなさんをプロデューサーとして迎えたBMSG主催オーディション「No No Girls」
その最終審査が、先日Kアリーナ横浜にて行われました。

チケットは争奪戦で、オーディション番組の一企画とは思えない異例の事態となっていました。
当然のように私は抽選に外れ、最後の望みだったリセール抽選にも見離されてしまいました。
結果のメールを開いた瞬間、目に飛び込んできた「ご用意することができませんでした」の文字に、「ご用意してくれよぉおおぉおぉぉぉおお」と絶叫したわたくし。

ということで現地参戦は叶わず、次の日の最終審査YouTube配信を見守りました。
既に前日に結果は出ているものとはいえ、民度の高いファンの皆さんが全くSNSでのネタバレをしないでいてくれた為、審査結果発表まで私はずっと「このまま10人全員デビューできますように」と祈り続けていました。
最終的に7人でのデビューが決まったわけですが、私の中では10人のGirls、もっと言うと三次までの30人それぞれに思い入れがあるので、全員がNo No Girlsだったと思うし、皆私のこの先の人生観を変えてくれて本当にありがとうという気持ちで一杯です。

今夜改めて最終審査の模様が配信され、次週はその舞台裏、そしてHuluにてFinal完全版の配信も残っている状況ですが、未だ引きずっている候補者10人に向けたこの寄る辺ない感情を吐き出したくて、それぞれのパフォーマンスに向けて感想を書き連ねたいと思います。
あくまで私個人の感想であることをご留意いただき、一人ひとり長々と書いているので、お時間のある方はお読みいただけますと幸いです。
即座にファンクラブ入ったよ。




グループパフォーマンス審査「drop」

大会場、大人数の演者、そして音響

今回の課題曲である「drop」は、番組内でちゃんみなさんもおっしゃっていたように、低音部分を響かせることが重要になってくる非常に難易度の高い楽曲です。ゴリゴリのhip-hop。
低音を多用した楽曲にありがちなのが、「ライブになるとボーカルの声が聞き取りづらい問題」。特に生バンドを従えてのライブとなると、狭い空間で個人個人が楽しむことを想定して作り込まれた音源とは違い、広い空間でより迫力ある音作りが求められる為、ボーカルとのバランスを取るのにPAは相当苦労したのではないかと思います。
ましてやグループとなると、各人の声量もまちまちな上にダンスによってフォーメーションも変わります。この難易度の高さはソロアーティストの比ではなく、また通常のライブではないオーディションの審査という特殊なケースでのリアルタイムの音響操作は想像するだけでも緊張で吐き気を催すレベルかと思います。
パフォーマンスをした10人それぞれが素晴らしいのはもちろんですが、個人的には音響スタッフの皆様が今回のMVPではないかと思っています。本当に本当に凄い。

そしてこの音響問題は、グループ審査からソロ審査まで、最終候補者それぞれの課題も浮き彫りにしたのではないかと思います。

Bチーム(CHIKA・NAOKO・KOKONA ・MOMOKA・FUMINO)

どのような形で決まったのかはわかりませんが、グループ審査はBチームが先攻でした。
審査前日の配信にあった振り入れ合宿で披露されていた通り、高難度のダンスを難なくこなしていく5人。「踊れるようになる」その先の「魅せれるようになる」レベルにまで仕上げてきていることに、まずは感動をしてしまいました。ソロ審査の準備もある中、それぞれが並々ならぬ努力を積み重ねてきたのでしょう。天晴れです。
歌については、上記低音だと聴こえづらい問題がかなり大きく響いてしまっていた印象でした。オーディション中、ちゃんみなさんに化け物コース行きを確約されていたNAOKOさんですら、序盤の低音コーラスに苦戦しているように見えました。
そんな中で、MOMOKAさんはかなり声が立っていました。元々低音ラップの得意な彼女ですが、「声が立つ」「声量がある」という印象が正直そこまでなかったので、こちらはかなり意外でした。
後半のラストコーラス部分から本来のNAOKOさんが覚醒し、観客も盛り上がりを見せる中でパフォーマンスは終了となりました。

全体的に、5人ともかなり緊張していたのではないかな?という印象を受けました。いつもファンサ多めのKOKONAさんの表情も、楽曲に合わせた鋭さというよりも少し硬く見えましたし、FUMINOさんの声も震え気味で、画面を見つめながら私まで緊張してきてしまって「あぁ、本当に最終の審査なのだな」と、改めて思い知らされるパフォーマンスでした。

Aチーム(KOHARU・MAHINA・KOKO・JISOO・YURI)

後攻のAチームは、やはりBチームの後ということもあり多少は力みの少ないパフォーマンスでした。
程よい緊張感を保ちつつも、メンバーそれぞれが伸び伸びと表現できていた印象です。
(ただこれに関しては、正直審査に影響はなかったのではと思います。先か後かで緊張度合いも変わってくることは、ちゃんみなさんも当然分かっていると思いますし)
Hulu完全版で観れるのですが、Aチームはダンスレッスン中に「纏まっているけど個性が引き立っていない」という主旨の指摘を受けています。その場ですぐに修正をして良くなっていたのですが、本番ではそれが更に生かされていました。全体的な纏まりはありつつも、しっかりと個性あるダンス・歌声を響かせていました。
特に不思議なのがJISOOさんの声です。比較的マイルドな響き方をする方なはずなのに、難しい低音のコーラス部分もマイクによく乗っていたのが謎でした。恐らくどの音域でも声帯を太く扱えている為、倍音が多めでマイクの集音がしやすい声質なのかなと思います。この辺り、どなたか有識者の見解を教えていただきたいです。本当に謎でした。
また、声質に関していうと、MAHINAさんの声が非常に素晴らしく生かされていました。コンプレッサーかけてる?と思うくらいかなり圧縮された濃密な中高音で、単発の煽りだけでもかなりのスパイスとなっていました。ラップ部分は言わずもがな。彼女にしかできない彼女の表現がそこにはありました。

どちらのチームも甲乙付け難く、それぞれの良さが全面に出ていました。
私はこの時点で「ねぇもう10人が多いんだったらこの2チームでそれぞれ別グループとしてデビューでも良くない?」と心の中のちゃんみなに問いかけていました。
会場の興奮冷めやらぬ中、何食わぬ顔で登場した義堂アナが司会進行役を卒なくこなし、ソロ審査へと突入していきます。



ソロパフォーマンス審査

MOMOKA「PAIN IS BEAUTY」

ソロ審査一番手を務めたのはMOMOKAさんでした。
「PRODUCE 101 JAPAN THE GIRLS(通称:日プ)」にて、最終候補まで残った経験のある彼女は、やはり会場の声援も大きく聞こえました。私は日プは追っていなかったのですが、ちゃんみなファンとして彼女が特別講師を務めた回のみ視聴をしていました。その際、ちゃんみなさんの前で「本当はラップをやりたい」と言って泣いていた金髪の女の子がMOMOKAさんだったと、このNo No Girls配信の中盤まで気づきませんでした(某大型オーディションで落ちて云々と何度もテロップにも出てきていたのに…)。
その当時の映像を改めて視聴してから今回のパフォーマンスを見ると、彼女がこの一年半で素晴らしく成長を遂げたのだなと実感できるので、まだ未視聴の方は是非ちゃんみなさん特別講師の回だけでもご覧いただければと思います。

逆光を浴びながらセンターステージに堂々と立った彼女の姿は、トップバッターとは思えないしっかりとした余裕を感じられました。高身長を生かしたスタイリングも相まって、ステージ映えは抜群でした。
元々上手かったラップや歌は更に磨きをかけ、課題とされていたダンスも中盤のダンスブレイクで克服した姿を見せてくれました。
純白の衣装に墨汁を塗り、かつて受けてきた傷それ自体が今現在の自身を美しくしているという表現は、大きな会場でのパフォーマンスとして視覚的にも見事でした。
ちゃんみなさんの楽曲にはヘイトに対する怒りや反抗を表したものが多くありますが、この「PAIN IS BEAUTY」はどちらかというと、そのヘイトに傷ついた過去の自分への癒しが主題となっています。弱さを強さに変えるだけではなく、弱さを抱えながら進むことで別の強さを持つことができるという、慈愛に満ちた楽曲です。

MOMOKAさんのパフォーマンスには、その包み込むような優しさと強さがしっかりと込められていました。


MAHINA「花火」

上記グループ審査でも書きましたが、MAHINAさんの声は特殊です。個人的にとても好きな声質なのですが(勝訴ストリップの頃の椎名林檎さんに近い)、彼女の歌は番組中、不安定な印象が強くありました。グループ内でのラップであったり合いの手であったりというスパイス的な要素としては欠かすことのできない声だとは思いますが、果たしてソロになったときにどのような仕上がりになるのかが正直不安でした。
しかし、蓋を開けてみると、そんな不安を払拭してくれるパフォーマンスでした。
演劇的なダンサーとの絡みというのは、声が表情につられてしまう為、歌いながら行うのは本来難しいものです。ミュージカルでしたらそれで構わないのですが、通常のライブだとその要素は邪魔になってしまいます。演劇とは違い、歌詞は台詞の役目を担っていないのです。
MAHINAさんのパフォーマンスでは、それがほぼありませんでした。学生姿のダンサーと戯れながらの歌唱でも、表情は多彩に動かしながらも「歌」を歌っていました。これができたのは、歌唱の練習をしっかりと行ってきた上で、自分の表現を「演じる」のではなく、心からの気持ちを観客に伝えようとする意思をしっかりと持っていたからだと思います。
これをアリーナクラスの会場でやってのける15歳の胆力に脱帽しました。

ラップの印象が強かった分、ちゃんと歌が歌えるというところが見られて本当に良かったです。


KOKONA「To Haters」

KOKONAさんもMOMOKAさん同様、日プを受けた方でした。彼女もちゃんみなさんの大ファンとして、廊下で見かけた際に腰を抜かしている映像が配信されています。
今回はラップ要素のほぼない選曲だったので、ラップの得意な彼女がどのようなパフォーマンスをするのかが気になっていました。
ボリュームのある黒いファーのコートを羽織り、高い位置で髪を一つに束ねた彼女の後ろ姿を見て、私は第一声「安室ちゃん!!」と叫びました。ポールにしがみつき頭を後ろに反ったときのシルエットもほとんどかつての安室奈美恵さんで、私のボルテージは一気に上昇しました。
力強く歌い始めた後は、ポールダンスを披露しながらの歌唱でした。あの体制で歌を歌うには、どれ程の練習を重ねたのだろうかと思うと、目頭が熱くなる思いでした。
またヘッドセットでの歌唱は、これまでのオーディション内でやっていない部分ですので、こちらも難しかったのではないでしょうか。手持ちのマイクと違い、ヘッドセットマイクをボーカルで使用する場合は超単一指向性のものがほとんどだと思うので(このあたりも有識者求む…大体スーパーカーディオイドですよね?)、しっかりと声をマイクに乗せるのが難しくなります。顔の前で固定されているとはいえ、少し口がズレるだけで、マイクの集音範囲から外れることも多いのです。KOKONAさん自身も、パフォーマンスの途中、何度かマイクの角度や位置を気にされていたように思います。

ポールダンスと馴染みのないヘッドセットマイクの使用。非常に難しい挑戦をされていたと思います。そんな中での渾身のパフォーマンスは圧巻でした。


CHIKA「美人」

周囲からの期待も大きかったであろうCHIKAさんのパフォーマンスは、イントロの口上から全て完璧でした。
オーディション初期の頃の自信の無さが嘘のように、彼女の全身からパワーが漲っていました。ちゃんみなさんの楽曲中でも相当な力が必要な曲ですが、彼女はその第一声から自分のものにできていました。
誰もが度肝を抜かれたであろう間奏部分の叫び声ですが(恐らくI am beautifulと叫んでいるのかしら?)、彼女の場合は歌うときと同じような声帯の使い方をしているように聞こえました。
本来あそこまで叫んだらその後の歌唱はかなり難しいものです。実際ちゃんみなさんも美人を披露する際に叫んではいません。似たような叫び声をライブでは別曲でも出しています(AREA of DIAMONDより「ダイキライ」)が、その前後は楽器隊の演奏を主として歌唱はほとんど無く、その間喉を休ませているのがわかります。
CHIKAさんの場合、ダンスブレイクを挟んでいるとはいえ、その後も叫びながら歌に突入していきます。かなり喉を酷使するやり方ですが、よく聞いてみるとむやみやたらに声を張り上げているのではなく、ちゃんと高い音階の音を出して「叫び声のように」聴かせているのがわかります。あくまでその音を歌いつつノイズを混じらせているような声の出し方をしているので、ミックスボイスを出す時と似たような感覚で声帯をコントロールしているのではないでしょうか?
しかし、技術としては可能だと思いますが、それをレコーディングではなくライブで単発的に成功させられるのが信じられません。

歌詞の改変部分、ダンス、歌唱と、総合的に見て全ての実力がプロフェッショナルでした。


FUMINO「In The Flames」

CHIKAさんの圧巻のステージで会場内の熱がかなり上がった中で、観客の視線を自分のパフォーマンスに集中させるのは相当難しかったのではないでしょうか。
しかし、FUMINOさんは歌い始めの第一声だけで、その難しいシチュエーションを無かったものとしていました。
このオーディション中、彼女は歌もダンスも劇的に成長していました。しかしこの最終審査では、原点回帰とも言うべき「聴かせるバラード」で以って、その美声を存分に観客に披露したのです。
もちろん成長過程で手にした新しい発声であったり、スロウなテンポでもひとつひとつの動きを丁寧かつ繊細に魅せるダンスであったりと、手にした技術もしっかりと自分の武器にしていました。
パフォーマンス後のインタビューでもおっしゃっていましたが、今回の楽曲では彼女の隠していた弱さが曝け出されていました。特に付け足された間奏部分では、彼女の胸の内が赤裸々に独白されています。詩としてしっかりと韻も踏まれつつ、10代の悩める少年少女の心細く不安な気持ちが吐露されていて、私も20年近く前の自分のあの頃を思い重ねてしまい、後半の彼女のパフォーマンスがぼやけて見えなくなるくらい画面の前で号泣しました。
この楽曲はちゃんみなさんの「諦め」が主題となっています。少し自暴自棄になってしまっていた心境を綴っているこの楽曲に、FUMINOさんの日々揺れ動く不安な心がプラスされ、弱気で挫けそうな自分というものを包み隠してしまう人間に寄り添う楽曲へと昇華させていたように思います。

個人的には今回のソロ審査で、最も心を動かされたパフォーマンスでした。


KOHARU「ディスタンス」

ソロ審査で唯一バックダンサー無しでのパフォーマンスでした。
元々ダンスの技術も高く、番組の審査中でもコレオグラフィを積極的に行ってきた彼女ですが、たった一人のステージというのは相当な覚悟を持って挑んだのではないでしょうか。三拍子の楽曲に合わせた舞踏会のような派手な衣装にも関わらず、披露するコンテンポラリーダンスの為に敢えて裸足で挑んでいたところにも、その覚悟が窺えました。
縮緬のような独特のビブラートがかかる歌声と、正確に音ハメされるダンスが非常に心地良かったです。今回どの候補者の方も、皆さん緊張しているせいかダンスパートで所々早取りしてしまっている場面が見られましたが、KOHARUさんとKOKOさんはほぼ完璧に演奏と合わせていたように思います(ダンス初心者の見立てですので、経験者からすると違う意見かもしれません…こちらも有識者…)。
歌い終わった後、花火が噴き上がる中で躍動する彼女からは、陽のパワーが溢れ出ていました。しかしそこにはほんの少しだけ陰も見えたような気がして、直前に歌い上げていた「暖かい 甘い 光の中 さぁ、踊りましょう」という歌詞は、かつて否定し続けてしまっていた過去の自分に向けて手を差し伸べている姿なのだなと理解できました。

踊る人形の電池が切れたかのように倒れ込んだ彼女が、その後弾けるような笑顔を見せてくれて、私は救われたような気持ちになりました。


KOKO「ダリア」

「この人、まさかCOCOちゃんかなぁ…?」と、ずっと思っていたのですが、Hulu完全版にて東京ゲゲゲイの「✳︎」をインタビュー中に映していたのを見てようやく繋がりました。
東京ゲゲゲイはダンサー・振付師のMikeyさん率いるダンスパフォーマー集団です(現在はソロプロジェクト)。そのダンス公演やMVによく出演していたキッズダンサーの一人が彼女でした。YouTubeにもいくつか映像があるので、ご興味ある方は是非検索してみてください。かつてのダンサーネームがCOCOだったので、もしかしたら別人かもしれないと思っていました。
今回のソロ審査のコレオや演出が100% Mikeyさんのマインドを受け継いでいるものになっていました。ロボットのように正確な各部位のアイソレーションや、どこを切り取っても美しいヴォーギングは、彼女が長年研鑽してきた技術の全てを詰め込んだ、まさに彼女の人生そのものが表されていました。確かにMikeyさんから受け継いだものであるとわかるのに、それでいて真似事ではなく自分のものとしてしっかりと表現がされている。その絶妙なバランス感覚は最早プロフェッショナルと言って差し支えないと思います。冒頭のダンスブレイクだけで、彼女がこれまでどれ程の努力を積み重ねてきたのかが痛いほど伝わりました。
そしてその後のパフォーマンスは、それ以上に彼女の痛みや苦しみが伝わってきました。ダリアは、私がちゃんみなさんの楽曲で一番と言っていい程好きな曲だったので、どのような仕上がりになるのかをとても楽しみにしていました。魅力的なハスキーボイスと共に紡がれるダリアの物語は、彼女の心の内に棲み着く魔物を我々観客の眼前に引きずり出していくかのようでした。
改変された歌詞もまた、彼女の陰の部分が全て曝け出されていて、私はこれが配信で良かったとさえ思いました。恐らく現地で観ていたら、私はダイレクトに喰らってしまってその場に立っていられなくなったかもしれません。

それほどまでに彼女のパフォーマンスは鬼気迫るものがあり、また同時に気高く美しくもありました。


JISOO「I'm Not OK」

その完璧主義な性格故に「日本に来てから一度も楽しいと思って歌えたことがなかった」と答えていた彼女が、全身で楽しんでいる姿を見せてくれました。
私はもうそれだけで嬉しくて、ギターを掻き鳴らしながら客席に声を届けようと懸命に歌う彼女を見て泣き腫らしました。
グループ審査でも書いた通り、彼女の声質は本当に不思議で、このようなロックアレンジの楽曲とは本来相性が良くないはずなのです。しかし生バンドの演奏に負けないくらい会場全体をその声で一杯にできるほどの力が確かにあるのです。それが元々身に付いていたものではないことは、このオーディション番組を見てきた人ならわかると思います。ダンスも含め、日々行われるレッスンの中で貪欲なまでに教わったこと全てを吸収し、自分の武器としてコントロールできるようにしようとしてきた彼女の努力の賜物です。
ここまでストイックに自身を追い込んできた彼女が、その技術を公衆の面前で臆すること無く発揮できるようになったのもまた、「I'm Not OKでもOK」というマインドを手に入れたからこそなのでしょう。今までの自分の努力は無駄ではなかったし、もし無駄になったとしても私は大丈夫なんだという、一人の人間の自己肯定感が高まった瞬間を目撃することができて、私はとても幸せな気持ちになりました。

すっきりとした笑顔でステージを後にした彼女は、候補者の中で一番楽しんでいたように見えました。


NAOKO「^_^」(読み:ハッピー)

二次審査でのちゃんみなさんの名言「これが実力の暴力です」を引き出した彼女。登場した後ろ姿だけで、すでに何度も大舞台を経験してきたであろう貫禄すら感じられました。
グループ審査時とは比べものにならないくらい、伸び伸びと自分らしくパフォーマンスができているという印象で、恐らく彼女の中でステージの完成形が選曲段階でほとんど見えていたのではないでしょうか? それくらい、彼女からは自信が溢れて見えました。
アカペラ部分では自身を解放しつつ、それでもパフォーマンスとしての完成度はしっかりと保っていました。そこに私は「完璧すぎて逆に自分を曝け出せていないのではないだろうか」と思ってしまったのです。ちゃんみなさんの言葉を借りるのならば、綺麗にパッケージングされ過ぎているというか。もっと言うと、NAOKOさん自身はちゃんと楽しめているのだろうかと心配になってしまったのです。
これから先、プロになれば「楽しませる側」になるわけです。インタビューでもNAOKOさん自身がそれを望んでいましたが(曰く「私のダンスでみんなを笑顔にしたい」と)、演者自身も楽しんでくれた方が私は安心する派なのです。特にこういったオーディション番組というのは、プロになる前段階というその特性上、最終審査が「自分が心から楽しめる最後のステージ」なのではないかと思うのです。
完璧なパフォーマンスはもちろん目指すべきですが、この段階で完璧過ぎても不安になる。勝手な視聴者の意見ですが、私の率直な気持ちでした。
しかし、花道を堂々と歩く彼女がサビの歌い終わり、「la la la」と伸ばすところでキーが上がり切らずに音を外してしまう瞬間がありました。それを観て、私の中の不安が一気に消え去りました。単純なミスではなく、明らかに彼女はステージ上での高揚感と喜びで声が上ずってしまっていたのです。この瞬間、私はNAOKOさんが心からこのステージを楽しんでいてくれたのだと実感することができました。

化け物コース行きを命じられた彼女は、確かに一人の未完成の人間として、その人生を感情を、我々の前で表現してくれていました。


YURI「ハレンチ」

CHIKAさんの「美人」に次いで、この楽曲も知名度・難易度共にやりにくかったのではないかと思います。
一体どのように演出するのだろうと思っていましたが、晩餐会のようなセットと優雅なコスチュームに身を纏ったYURIさんが歌い始めると、一気にその世界観に引き込まれていきました。
表情の乏しさ故に自信の無さが見え隠れするとちゃんみなさんから指摘されてきた彼女ですが、最早そのような姿は過去のものとなっていました。そこにいたのは、自分の魅せ方を熟知した知性と気品溢れる一人のパフォーマーでした。
ラップ部分は大胆にも全ての歌詞を改変しており、今まで隠していた心の奥底の記憶や思いを乗せていました。「お父さん聴いてる?褒めてよ」というフレーズでは、早く大人にならなければいけなかった過去の自分の気持ちを代弁しているかのようで、思わず涙が溢れてしまいました。余談ですが、この本心を隠しがちな性格はFUMINOさんと通じるものがあり、オーディション期間中、彼女達がとても仲が良かったのも納得がいきます。きっとお互いに波長が合ったのでしょう。
ダンスブレイクでは、ステージを楽しんでいる心をこれでもかと見せつけるように躍動していて(彼女の肩周りの可動範囲の広さは、恐らく最終候補者で一番だと思います)、そのポテンシャルの高さを改めて再認識しました。

彼女の魅力が存分に発揮された、トリに相応しい素晴らしいパフォーマンスでした。




審査結果と個人的総評

最終結果については、配信その他各メディアで知っている方も多いと思いますが、CHIKA・NAOKO・JISOO・YURI・MOMOKA・KOHARU・MAHINA(名前を呼ばれた順です)の7名が合格となりました。
選ばれなかったKOKONA・FUMINO・KOKOに対するフィードバックについては、次週24日に舞台裏映像と共に配信されるようです。

個人的にはある程度納得のいく結果ではあるかなと思いました。
当初、こちらでその理由を書こうと思ったのですが、ちゃんみなさんの考えや思い、そして選ばれた7名と選ばれなかった3名それぞれの気持ちについて、私は何一つ知らない状態で勝手なことを書くのはあまり良くないのでは?と思い直し、書くことをやめました。
X(旧Twitter)では、当日翌日のお気持ちのままに既に色々と書いてしまったのですが、素人の個人的な批評など彼女達が目にする可能性のあるところでわざわざ書き記す必要性はなかったと反省しています。
なるべく批判的なことは書かないようにと留意したつもりですが、もしX及びこちらのnote記事を読んで下さって不快な思いをされた方がいらっしゃいましたら、本当に申し訳ありません。


本当に長々と書いてしまいましたが、とにかく最終候補者10人への私の愛がほんの少しでも伝わってくれればと思います。
この一年、本当に本当に皆さんお疲れ様でした。毎週の配信が本当に楽しみで、一人ひとりの貴重な人生の一部を覗かせてもらえたことに心から感謝しています。
また、妊娠・出産という命を賭けた一世一代の大切な期間を、彼女達と共に駆け抜けたちゃんみなさんを、改めて尊敬します。


これからのHANAの活躍が楽しみです!!!!!
No No Girls全員大好き!!!!!!!

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夏八木 秋成
食費になります。うれぴい。