進化前の欲望
小さな欲望なら誰しもにある。
僕の最近の欲望を並べてみる。
爽やかな詩を書きたくて。何気ない会話でも誰よりもウィットが利いた返しはしたくて。カラオケではうざくならない程度のビブラートを入れたくて。誰かが落としかけたスマホを間一髪で拾いあげたくて。
夢の中で行われる不可解なストーリーは小さな欲望に依るものらしい。
朝、絶対に種を教えてくれないマジシャンみたくモヤモヤだけを夢から引き連れてくることがある。
あれ、、何か大事な夢を見てた気がする。
あれ、なんだっけ。
布団に顔を埋めてみる。
「なぁなぁ、俺がさっき見てた夢覚えてない?」
布団「そんな、こっち来られても俺分かんないよ」
「なんで、覚えてないねん」
布団「いや、夢見てるのそっちやん」
「お前にも将来の夢くらいあるやろ」
布団「え。え、、それは、、」
「恥ずかしがらんでエエから」
布団「いやいや、恥ずかしいやん。そんなん。布団の夢言うたところでみんな、、」
「誰も笑わんて。人の夢笑う奴は悲しみ抱えてるやつだけや。頑張ってる人を応援したいのが人間やねん。」
布団「そ、そんなに言うなら、、」
「何?言うてみ?」
布団「えっと、綺麗なカーペットとかに一回はなりたいかなぁ、」
「なるほどなぁ。やっぱカーペットって下やけど上なんや」
布団「誰にも言わんといてな」
「言うかえ!気狂った思われるわ『うちの布団の夢、カーペットらしい』って言うかいな」
布団「ありがとう。」
「まぁ、ええけど」
あれ、何か大事な夢を見てする。
あぁそんなことより急がねば。