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なあなあの新入社員
以前の「負Log」で汚い話をすると宣言したせいで、腹黒い最悪の偏見の物語を書き綴ってみた。奥歯を噛みしめること間違いなし。歯茎に自信ある人だけ最後まで読んでみてほしい。
演劇の稽古を30分後に控えたカフェでぼんやりと外を眺めてみる。黒いスーツに身を包んだ若い男女が「私たちの未来は明るい」と決め切った笑顔でどこかに向かっている。ここは浜松町のオフィス街。あぁ、あいつらなあなあで生きているんだろうな。
新入社員A:「さっきのお昼ご飯美味しかったよね」
新入社員B:「魚がジューシーで美味しかったよね」
新入社員C:「さっきのお昼ご飯美味しかったよね」
こんななんてことない会話を無感情でパスし合っているのだろう。3年後その3人でどうせ仲良くすることはないよ。見た感じ東京出身でもなさそうだし。地方から来たのだろう。「知らぬ間に大学4年生になってしまった。どうしよう大学名も有名でもない。これはどうにかこうにか周りと差を付けたい。地元就職よりも都会で就職したい。」そんな何となくの理由で東京の会社を就職活動で受けてみたんだろう。地元就職を決めた友人には勝ち誇った顔で
「来年4月から東京で働くことになってさ」
なんて海賊版の優越感を楽しんだのだろう。東京には労働が余っているから人の出入りは大きい。その荒波にあなたは最後まで食らいつけるのだろうか。自分のキャパシティを超える仕事量に驚きおののき数年後には実家から通える仕事に再就職しているのではなかろうか。黒いスーツに身を包めば鏡の中の自分が「出来る人間」に見えてくる。その幻の力で今日もここまで出社したのだろう。慣れてないワックスのはねとぶかぶかのパンプスが奏でるリズムがカウントダウンに聞こえてくる。まぁ、なあなあに日本経済を回してくれ。
まぁカフェでゆっくりしている関西フリーターが絶対に言うことじゃないが。