精神科に行こう⑫「にゅういん、その②」
どうも、夏と躁の終わりの気配に怯える僕です。
最近短い一生を燃やし尽くして地面に落ちているセミ兄貴たちが、近づいた瞬間に「ジジッ!」と飛び立つトラップをよく見かける。何年か前にセミファイナルと名付けられてネットでバズったアレ、なんなんだ。マジで心臓に悪いから止めて欲しい。
先日の大雨からまだお天気がグズグズしていて、今ひとつ調子がアガらない。ギンギン照りでの測量もキツいが、こんなにジメジメしてたら元気が出ないので、もうちょっと太陽頑張ってよ!と思う。
今年の夏はまだまだコロナの終息も先が見えず、予定していたイベントも全滅、楽しみにしていたあれやこれやもあったがなかなか実現出来ず、消化不良だ。
夜に外に出れば秋の虫の声も聞こえだして焦ってしまう。コロナと自然災害の無い世界線で、もう一回今年の夏をやらせてくれませんか。次はもう少しうまくやってみせますから。
このところ大っぴらに集まって飲むのも難しいし、どこかにお出かけするのも難しいから、ヒマな時にはもっぱら家でネトフリ見てるかゲームしてるかスマホ触ってるんだけど、このままじゃモヤシっ子になってしまう。
やっぱり夏は近所の子どもを引き連れて、水辺の生態系に影響が出るぐらいザリガニとかナマズとかハエとか釣りたいし食べたいが、今年の夏はこんなささやかな願いを叶えることも難しそうだ。
今週は雑記のネタになりそうなこともなかなか起こらないし、除湿機の水を1日三回捨てに行くぐらい色んな意味で湿気た一週間だ。
そうそう、最近見たネトフリの映画で「プラットフォーム」っていうのが胸糞悪くて面白かったので、「キューブ」系の作品が好きな人は見てください。一時間半ぐらいの映画だからサクッと見れるし、グロい描写もあんまりありませんのでオススメです。格差とは何かについてスゴい角度で描いた作品。
ついでにオススメしておくと、僕は胸糞・後味が悪い&グロい映画大好き人間なので、「ソウ」シリーズとか「残穢」とか「ホステル」とかが良きです。最近見た中では「ヘレディタリー・継承」が最狂+最凶です。耐性ある人はこちらもオススメ。
でも僕の人生で一番好きな映画は「フォレスト・ガンプ」だったりするから、不安定な僕の人格の嗜好が現れてますね。好きな映画を聞けばその人となりが分かるから、映画って面白いですね。それでは今週はこの辺で、サヨナラ、サヨナラ。(by淀川 長治)
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病室でまずは荷ほどきをする。持ちこめた物は着替え、洗面用具、タオル、コップ、大量の文庫本。
各自のベッドにはテレビもないから、この文庫本たちが僕の入院中の暇つぶしの生命線だ。頼むぞ、居眠り磐音!(全51巻)
とりあえずはここのルールを把握しなければならない。しかし入院患者さんたちの中には既にグループが出来上がっていて、みんな集まってなんやかや話をしている。気さくに話しかけていって「なんやコイツ」みたいになるのだけは避けたい。
僕の入院手続きの直前にお昼の時間だったので、僕は遅れた昼食を独りで食べた。内容は思い出せないが、何十年かぶりに給食を食べている様な気になった。味は普通。ただ、大型生物である僕には明らかに量が少ない。それが悲しかった。かわいそうなぞう。
お昼を食べたら自由時間のようだ。何をしたらいいか考えていても仕方ない。ロビーにテレビはあるが、そこにいたら誰かに話しかけられそうだ。そうだ。本を読もう。僕は本さえ読んでいればいつまでも過ごせるタイプの人間だ。文字がある文化圏の精神病患者で良かった。
普段の僕を知っている人は意外に思うかもしれないが、僕は意外と人見知りをする。しかし一度出来た人付き合いからはなかなか抜けない。三週間しかいないここでなまじ人間関係を作ってしまうと後々何かあるかもしれない。慎重にいこう。
ベッドの上で無心に読書をしている間に最初のそれはやってきた。