Λuciferと大人っぽい彼女
ねとらぼというサイトのねとらぼ調査隊というコーナーでは、常になんらかのアンケートを行っています。
ジャンルは様々で、好きな火曜ドラマ、好きな鍋、好きな1990年代の国産スポーツカー、乗り換えが難しい首都圏の駅、おいしい麻婆豆腐の素、歯医者が多い都道府県など、実に多岐に渡るのですが、今週は好きな1990年代のヴィジュアル系バンド、なのだそうです。
紹介されている3つのバンドに関しては、特に興味のない方でもご存知かと思います。まあ代表的なところを説明するとそうだよなあと投票欄をスクロールしたところ、55組も候補がいて驚いた。
いつものねとらぼ調査隊の投票候補は20個前後だというのに、なにゆえ今回に限ってこんなに細かいのか。
作成者は素人ではない。ヴィジュアル系がお化粧系と呼ばれていた時代からの歴史をひととおり勉強した人のものだ。一朝一夕ではこの投票欄は作れん。Lが付くあの大御所が投票欄にいないのもなんかこう……よくわかっている。
しかしながら、この55組の中に入っていないヴィジュアル系バンドが存在します。決してマイナーではなく、曲もヒットしていました。自分と同世代かちょっと上くらいに限定されるかもしれませんが、なんとなく記憶に残っている人もいるでしょう。
Λuciferです。リュシフェルと読みます。
もともとは『快感♡フレーズ』という少女マンガの作中のヴィジュアル系バンドでしたが、同作がアニメ化されたタイミングで、現実に5人の男性でΛuciferを結成し、現実に曲を作ってCDを発売し、現実に武道館公演を行いました。早すぎた2.5次元といえるかもしれない。
ボーカルのMAKOTOさんは、少女マンガから出てきたかのような(本当に少女マンガから出てきたんだけど)イケメンでした。
後に俳優としても活動されていますが、メイクをしなくてもイケメンです。当時のΛuciferのスタッフの人は、よくもまあこんなかっこいい人を探し当てたなあと。
こんなにかっこいい人なので、hydeさんや稲葉さん(当時はB'zオタだったので)と同じく、中学生の自分にとっては憧れというのも憚られるというか、どこか現実味がなくて、マンガみたいな存在(もともとマンガだった存在なんだけど)だったのです。
それだけに、教室のどこかから「わたし小さい頃MAKOTOと遊んだことある」という女子の発言が聞こえたときは、誰にも気づかれないようにガタガタと震えたものです。
Λuciferのファンであることを公言していたその女子は、クラスの中でもかなり大人っぽくて、中学生ヒエラルキーの頂点のさらに代表選手のような存在でした。実はタバコを吸っているのを見たことかある。
後にも先にも、ひとことも喋ったことがなかったのですが、ある時に彼女のノートの中をちょっとだけ見てしまったことがあって、そこにはたくさんの詩のようなものが書かれていました。
その中に「星になれたらいいな」というフレーズがありました。大人っぽいしタバコを吸うわりに、可愛らしい詩を書くんだな……。
とちょっとドキッとしなくもなかったのですが、それはミスチルの曲の歌詞であることを知ったのは数年後のことです。つまり自分は桜井さんにドキッとしたということか。ていうかΛuciferの歌詞じゃないのかよ。
その後、高校に進学した彼女は例の大学生の彼氏と結婚したと風の噂で聞きましたが本当か嘘か知りません。
大事なモノが何だかジーザスだってわからない。殺られる前に愛に飛び込め。