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『T・Pぼん』のリームと別れたくない

藤子・F・不二雄先生のSF漫画『T・Pぼん』を読んでいます。

実は子供の頃にほんのちらっとだけ読んだことはあるのですが、歴史上の伝説が絡んだ設定が当時の自分には難しく、他の著名な藤子F作品と比べると、なんだか内容が重そうな感じもあって、なんとなく遠ざかっていたのですが、少し前にNetflixでアニメ化したという話を聞いて、久々にそのタイトルを思い出した次第。

といっても、私はNetflixに加入していないので、アニメ版は視ていないのですが。Amazonプライムから乗り換えようかなあ……。アマプラはアニメタイトルが少ないんだよなあ。

でもって、原作を買って読んでいるのですが、この『T・Pぼん』、並平 凡(なみひら ぼん)という少年が、成り行きでタイムパトロール(T・P)の隊員となり、悲しい運命によって命を落とした人々を救う、という話です。

タイムパトロールとしての行動を遂行する際には、相棒となるヒロインもいるのですが、このヒロインが、途中で入れ替わるのですね。

初期のヒロインは、タイムパトロールの先輩役でぼんに指導するリーム・ストリーム。後期のヒロインは、逆にタイムパトロールの後輩役で、ぼんに指導を受けるユミ子。

子供の頃に読んだのは初期のほうの巻で、ドラえもんの映画にも一瞬だけゲスト出演したリーム・ストリームについてはうっすら覚えていたのですが、ユミ子って誰だ。全く知らなんだ。

ちなみに今現在、藤子・F・不二雄大全集の第1巻を読了したところですが、この第1巻まるごとが、リーム・ストリーム編です。

リームに出会ってタイムパトロールに入隊するところから始まり、リームと別れるところで終わります。つまり、まだ私はユミ子なる人物をよく知りません。ぼんの相棒といえば、リーム・ストリームだけです。

読了後の最初の率直な感想。もっと、リームを見たかった。

というのも、メインヒロインにも拘らず、彼女のパーソナルな部分については、最後までほとんど明かされないからです。

2016年(連載開始当時の1978年からすると近未来)の世界に住む、ミドルスクールの3年生。髪が赤茶であることと、母国語が英語であることから、おそらく外国人らしい。それくらいの情報しかない。

ミドルスクールの3年生ということは、アメリカの教育制度に照らし合わせると、現在13〜14歳。

つまり、中学生のぼんとは、だいたい同い年ということになりますが、リームがアメリカ人かどうかは不明なので、なんとも曖昧。

作中のリームの言動や行動はあまりにも悟りすぎていて、少なくとも高校生以上に見えてしまうのですが……。

そもそも彼女もぼんと同じく、元々はふつうの学生だったと思うのですが、どういう経緯でタイムパトロールに入ったのかも不明。ちなみに、パパとママには、自分がタイムパトロールであることを隠しているらしい。

生命の危機をも伴う任務だし、ミスをすれば人類の歴史を変えてしまうような大仕事なので、隊員に選ばれるには、かなり厳正な審査がなされると思われるのですが、中高生にやらせて大丈夫なのか。

それ以前に、日本の中学生はアルバイト禁止では?いや、そもそもこのタイムパトロール、世界にとってめちゃくちゃ重大な役割だが、全くの無報酬なのだろうか……?

かつて読んだ子供の頃と違って、今やもう嫌な大人になっちまったので、そんな染みったれたことばかり考えてしまうのですが、さらには、主人公のぼんの、あまりものリームへの興味のなさが目に付いてしまう。

タイムパトロールのミッションを重ねるごとに、明らかに先輩と後輩という関係以上にリームと親しくなっているものの、その自覚が、ぼん側には、おそらくほとんどない。

目の前でリームが唐突にビキニ姿になっても、隣で寝息を立てても、ぼんは全くの無反応。

逆にいえばリームがそこまで無防備なのは、ぼんへの信頼度がそれだけ高いとも言えそうですが、いいかげん、ぼんもちょっとは恥じらえよ……。という気持ちになる。本当に思春期の男子なのかおまえは?

他の藤子F作品の男子キャラクターを見てみても、同じく異性に対する関心が薄そうな『エスパー魔美』の高畑くんは、魔美のヌードデッサン画を見たときにドギマギしていたし、のび太に至っては、何度となくしずかちゃんの入浴を覗いているドスケベ野郎である。キテレツは理性的だけど、自分がみよちゃんを好きであることを自覚している。

しかし、ぼんに至っては、もはやリームに対してどう思っているのか、さっぱりわからない。この、第三者からすれば悶々としてしまう関係性こそが、初期の魅力なのかもしれませんが、うーん、しかしなあ……。

すでに第2巻も購入しているので、そろそろ読むべきなのですが、ユミ子ってどこの女なのよ?知らないわよ!という気持ちが錯綜して、もう2ヶ月くらい放置しています。

やはり、ネトフリに加入してアニメ版を視るべきなのだろうか。

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ぷらーな
サウナはたのしい。