ぷらぷらり日記 2024.12.16 奈良県北葛城郡王寺町~奈良公園周辺
そうだ、奈良に行こう。
と思い立ったのは、JR大阪駅に着いてからのこと。
大阪環状線は、基本的には大阪市内をグルグルと廻る路線ですが、たまに、大阪市からだいぶ遠いところまでぶっ飛ばされる、関西国際空港ゆき、日根野ゆき、東岸和田ゆき、などという、トラップみたいな快速電車も停まります。
酔っ払った夜などに、うっかり終電で間違えてこれらに乗ってしまうと、海のほとりまで連れていかれたり、ほぼ大阪と和歌山の中間地点まで吹っ飛ばされてしまいます。
幸い、関西国際空港は宿泊もできるし、日根野駅周辺にはホテルもあるようなので、遭難することはありませんが、なかなかのすっ飛ばされっぷりを経験できること請け合い。
東岸和田ゆきは夜の一部の時間帯にしか走っていないレア車両なので、乗ってしまったらある意味でラッキーかもしれない。ただ、その時間帯だと、終点の東岸和田駅前のイオンは閉まっている。
トラップ快速は他にも存在し、和歌山まで連れていってくれちゃう電車も、奈良の加茂まで連れていってくれちゃう電車もあるというのだから、大阪環状線は計り知れない。
でもって、よく考えたら、大阪環状線の加茂ゆきの快速には、いまだかつて乗ったことがないような気がする。じゃあ乗ってみよう。
といっても、今日は終点の加茂駅までは行かない。大阪から約40分、奈良県北葛城市の王寺駅で下車。
聖徳太子さんの愛犬だったという雪丸をめっちゃ推しているらしく、駅周辺には雪丸の像やイラストが点在している。
真っ白い雪丸は、犬でありながら人語を理解でき、聖徳太子さんと人語で対話しており、更にはお経を読むことができたという。才犬である。
聖徳太子さんは一度に10人の話を聴き分けられたという話は有名ですが、10匹の犬の話を聴き分けることはできたのだろうか。
雪丸の石像が祀られている達磨寺。雪丸の死後はこのお寺に埋葬されたそうで、雪丸自身が、自分が死んだらこのお寺に埋めるように、と遺言をのこしたのだそうです。人語で。
いわゆる「ダルマさんが転んだ」の由来になったお寺でもあり、雪丸はこのダルマさんの墓を守るべく、自分を近くに埋めるようにと指示したようだ。
ダルマさんというのは、聖徳太子さんが通りすがりに出会って助けようとしたが亡くなってしまい、このお寺に埋葬した人のことで、実はこの人はインドの仏教僧である達磨大師(菩提達磨)の化身であった、という伝説があります。
なぜ化身だということになったのかというと、埋葬したはずの遺体が数日後には消えてなくなっていたかららしい。
王寺駅からは徒歩10分前後で、道中の葛下川に沿った道は犬の散歩コースに指定されています。王寺町は犬好きのための町。
雪丸の石像。誰が造ったのかは不明ですが、江戸時代の後期にはすでに存在していたことが確認されており、長い歴史がある。
達磨寺の裏手は細い道が複雑に入り組んでいますが、その中にひっそりと残る古井戸。「薬井の井戸」と呼ばれ、弘法大師が掘り当てた水が汲まれており、眼を洗うために使われたのだという。
聖徳太子とか弘法大師とか、歴史上の著名人が当たり前に出てくるのがいかにも奈良県という感じがしますが、人語を理解できたという雪丸にしても、偶然に薬水を掘り当てた弘法大師にしても、話の内容がなんともファンタジックである。
雪丸をモデルにしたファンタジー漫画とか創作できそうな気もする。しかし、ググった限りでは見当たらない。ライトノベルで学ぶ聖徳太子と雪丸の歴史、みたいな書籍は1冊だけ見つけたが。
王寺駅を後にして、せっかく奈良に来たのだから、ということで、奈良公園へ。というか、王寺町には銭湯施設がないから、というのもありますが。
近鉄奈良駅からは近いですが、JR奈良駅からはそこそこ遠く、長い商店街を抜ける必要があります。
太古の昔に在籍していた会社の研修で、丸々2週間くらい奈良の山奥のホテルに缶詰になったことがあり、2週間のうちの唯一の休日に訪れたのがこの周辺。
駅前のゲーセンに入って、クイズマジックアカデミー(当時かなり流行っていたアーケードゲーム)をやったことを覚えている。
というか、それ以外に何も覚えていない。つまり、当時はここまで来て、ほぼゲーセンで遊んだだけなのですが、それでもとてつもない開放感がありました。
なにせ、研修先のホテルは周りに何もない山の中。ホテル内の自販機を除いて、個人的な買い出しはいっさい禁止。という過酷な環境下だったので。外のコンビニでアイスを買うだけでも自由を感じた。
ゲーセンもいいが、やはり奈良駅に下りたら鹿を見るべきですよ。鹿たちは全くもって警戒心がない。これがみんな野生なのが信じられん。
スマホを向けると決めポーズするやつとかもいる。自分が可愛くて映えることを自覚しているんだろうな。
奈良公園から169号線を20分ほど歩くと、南京終町へと出ます。町名は「みなみきょうばて」と読みます。
平城京の南側にあり、平城京(京)の果て(終)ということからこの地名が付いたそうで、昔ながらの細い路地が入り組む住宅地。
この付近には、至近距離に3軒の銭湯あり。昔はもっとたくさんあったらしく、奈良駅からいちばん近い大西湯は、つい先日に残念ながら閉業されたらしい。
3軒あるうちの朝日温泉に入湯。手前はかなり広い駐車場。16台までの収容が可能。
建物の外観は立派なビルで、フロントも機能的。クリニックの待合室みたいな雰囲気がある。
石川県小松市を訪れたときに入湯したさくら湯に似ているように思うのだけど、こちらも21世紀に入ったばかりの頃の改装なのではなかろうか。
浴槽は炭酸泉を謳っており、なかなかに濃度が高い。泡が終始ブクブクとざわついております。炭酸泉の効能ってあんまりよくわからないのですが、なんとなく血流が良くなるような感じはします。
サウナは珍しいミストサウナ。炭酸泉が頭上から霧吹きのようにシャーシャーと降り注ぐ仕様。ズブ濡れになるので、タオルは持ち込まないほうがいいかもしれない。
おまけ。人間に慣れていて大人しいとはいえ、奈良公園の鹿たちは野生の動物です。殺傷能力もそれなりに高いようです。「突く」がいちばん攻撃力が高そう。
おまけ2。齊輝堂という宝石買取店?の広告。明らかに昭和の産物だが、いつ頃のものなのかは不明。大和高田のかつらぎデパートはおそらくもう現存しないと思われる。
あと、関係ないしプライベートゾーンなので写真も撮っていませんが、この近くにめっちゃ綺麗ないすゞ117クーペ(後期型)が停まっていた。
おまけ3。JR京終駅。
2019年に改装されたところなので、かなり綺麗。改装後も平屋の木造駅舎のままで、姿は明治時代の開業当時と変わらない。
で、関係ないし、やはり写真もありませんが、京終駅前の公民館の駐車場にマツダファミリアアスティナらしき車が……。ちなみに道中でハチロクのトレノもレビンも見かけた。どうも奈良は旧車の宝庫でもあるっぽい。