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ヤクザの十字架

ここ最近はお酒を制限しておりまして、以前は毎日のように角ハイボールを2本は呑んでいたところを、週に5本くらいにまで減らし、非常にロハスで健康的な日々を送っています。

なので、酔っ払って、パチンコや競艇で借金まみれになってしまった人々の末路をググるという、実に趣味の悪いネットの使い方をすることもなくなりました。

とはいえ、就寝前のスマホ弄りに至っては、どうにもこうにもやめられず、ついつい、三谷三四郎さんの『街録ch』や、丸山ゴンザレスさんの『裏社会ジャーニー』などの、アンダーグラウンドな雰囲気のYouTubeチャンネルを視てしまう始末。

『街録ch』というのは、基本的には過去にスキャンダルを起こした有名人に街頭インタビューを行うという体のチャンネルで、インタビュアーの三谷さんは、元は『笑っていいとも!』などに携わっていたテレビディレクター。

だからなのか、ほとんどの動画は約50~60分という長尺であるのも拘わらず、さしてファンであったわけでもない人や、そもそも知らなかった人のインタビューでも、惹き込まれて、気づけば最後のほうまで視てしまう。

丸山ゴンザレスさんの『裏社会ジャーニー』は、裏社会ジャーナリストの肩書きを持つ丸山ゴンザレスさんが、危険だったり困難な状況で生きる人々にインタビューを行う内容です。こちらもまた、丸山さんのゲストへのトークの踏み込み方が絶妙で、視はじめたらやめられなくなる。

そして、どちらに関しても、いちばんよく視てしまうのが、反社、いわゆるヤクザの方々へのインタビュー動画です。まあ、結局は趣味がよろしくないですね。

なぜだか、ヤクザの世界が気になってしまう。

もちろんというか、なんといいますが、憧れはいっさいありません。当然のごとく、なりたいとは微塵も思わないし、そもそも根性の無い自分が、極道の世界なんぞでやっていける気もしない。

それどころか、存在そのものを世の中から根絶すべき、とまで思っていますが、どういうわけだか、ヤクザの内情がどういうものなのかに関しては、けっこう前から興味がある。知ったところで、なんの得にもならんのですが。

地域にもよりますが、公衆の銭湯に行くと、いわゆる彫り物、刺青を施されたお客さんを見かけるということがあります。

片腕だけなどのワンポイントならばファッションの可能性もありますが、中には、背中にとても荘厳なドラゴンをお誂えになっておられたり、あるいは、太腿から爪先まで美麗な蛇の刺繍を纏っておられたりもします。

そのような方々の風貌はというと、さぞ、縦にも横にも身体が大きく、いかにも腕っ節が強そうなおじさんを想像しがちですが、銭湯でお見かけする限りでは、意外にもそうでもありません。

もちろん、和製ジェイソン・ステイサム氏みたいな方や、和製マット・デイモン氏みたいな方もいらっしゃいますが、驚くほどに普通の外見の人も、それなりの頻度でお見かけします。

服を来て眼鏡を掛けたら、どこにでもいそうな柔和なおじさんにしか見えない。外で見かけたら、背中にドラゴンを背負っていらっしゃることなど、全くわからないと思う。

昨年の末の『裏社会ジャーニー』では、反社系Vtuber(?)の懲役太郎さんが顔出し(といってもまあグラサンでマスクだが)で出演されていましたが、その風貌だけだと(グラサンでマスクだが)、普通の人にしか見えない。

そう考えると、知らないだけで、実際は街中で何人ものヤクザに擦れ違っているのかもしれない。だって、大阪市内の銭湯だけでも何十人も見たのだから。

深く考え出すと、なんとも複雑な気分になってきますが、関わらなければ何事も起こらないはず。銭湯でお見かけしても、お互いになんの干渉もし合わないのがお互いにとって最良であろう。

そして、多くの元ヤクザさんたちが異口同音に仰ることは、ヤクザになどならないほうが絶対に良い、ということです。

入るのもそうだけども、辞めるのはもっと難しいといわれるヤクザの世界。盃を交わす、といわれるように、実の親族とは縁を切ってでも、その世界の家族として生きていくことになり、そこから脱退するということは、家族の縁を切るということ。

このあたりの話は相当エグくて文字に起こしたくないので、知りたいのであれば三谷さんや丸山さんのチャンネルを視聴して頂きたいですが、まあ、生半可な憧れやイキりだけでなるものではないようです。

ヤクザを辞めるために、警察署に協力を仰ぐという事例も数多くあるらしい。もはやそれは、誰が敵で誰が味方なのだかよくわからない状況ですが、すべてをかなぐり捨てないと、なるのも辞めるのもとんでもないことのようだ。

辞めたあとも、反社排除の5年条項というのが法律で決まっているらしく、ヤクザから足を洗ってからも、5年間は銀行口座の開設やクレジットカードの作成ができないという話も。

LINEや電子決済も、アプリの利用規約に反社は使ってはいけないという説明があるのでダメらしく、そこからルートを辿って警察に見つかるそうな。スマホゲームも漏れなくそうなので、ソシャゲをちょっとやっただけでも、逮捕案件として成立する。

そんな十字架を背負っている方々の背中を、今日も銭湯で遠目に見ては……、目を逸らします。やっぱリアルには接したくない。

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ぷらーな
サウナはたのしい。