『NoT-タイムパトローラーこういちたちの記憶-』脳内会議Vol.5
週末の進捗報告。そう、妄想が妄想に変わり妄想になっていく妄想、『NoT-タイムパトローラーこういちたちの記憶-(仮)』。
ユキノフさんによる原案→https://note.mu/yukirnoff/n/nff54cb181e19
ほとんど交換日記と化しているマガジン→https://note.mu/yukirnoff/m/mde493bf59336
-モグリトラベラーの登場-
こちらのテキストの藤木くんパートを加筆修正。どこまでもダメダメな藤木くんの前に、モグリトラベラーの舞洲 鶴見(まいしま つるみ)が現れます。
「舞洲」も「鶴見」も大阪市内の地名から。舞洲はサマーソニック大阪会場、鶴見は緑地公園とプールがあることで有名。
前回に出てきた千里ちゃんも地名からです。
寿司職人は残念ながらボツキャラとなりました(いずれどこかで流用する可能性は十分にあります)。
-藤木くんPart(加筆修正版)-
※一部アレな表現がありますが、まだ大丈夫な範囲内だと思います。もし不快に感じられたら申し訳ございません。うん……作者は、トイレでそれをしたことはありませんよ。
藤木は、ビルの屋上にいた。普段は誰も来ない14階建てビルの屋上。欄干にもたれかかり、景色を見下ろした。眼鏡越しに、人形よりも小さい人の列やミニカーよりも小さい車の列が見える。ここから飛び降りれば、簡単に死ねるだろう。しかし、年間の自殺者が3万人を超える日本で半ニートの男1人が死んだところで、大したニュースにもならないだろう。
「悔しいっ……!」
目に涙を溜めながら、藤木は歯を食いしばった。思い返せば、幼い頃からずっと集団の中でビリだった。体育祭の大縄跳びではいつも真っ先に引っかかってクラス全員の反感を買い、隣の席の女子の机の下に消しゴムが落ちたから拾っただけでキモいから近寄らないでと蔑まれ、修学旅行の班ではあぶれ者になりクラス内ヒエラルキー上位の奴らと無理やり組まされてずっと荷物持ちとしてこき使われ、68回めの面接でやっと合格したアルバイトでもこの有り様だ。
とぼとぼと、背を丸めて階段を降り、正面にあるトイレへと向かう。生きていても他人の邪魔になるだけだが、死ぬ勇気すらない。
個室のドアを閉め、フラフラとスマートフォンを取り出して、一旦トイレットペーパーケースの上に置く。おもむろにズボンを下げ、 イヤフォンを耳に差し込んで、身体は便器に腰掛ける。再びスマートフォンを手にして、画面の操作を始める。彼が辿り着いたURLの先は、いわゆる「いやらしい動画」だ。
こんなことぐらいしか、生きている楽しみがない。そこに虚しさを覚えながらも、息を殺して静かに興奮する。その興奮も数秒で消えてしまう。もう、情けないとすら感じない。
事を終え、ズボンを履き、深い溜め息をついてそっとスマートフォンの画面に目を移すと表れた内容を見て、藤木は一瞬だけぎょっとする。そこには、蛍光色を多用した派手な文字列がうるさく並んでいる。
(ご登録ありがとうございます!あなたのIPアドレス受信しましたので登録料として2日以内に下の下記の口座¥70000円お振込をください。お振込をされない場合は警察訴訟を起こします。)
もう一度、今度は軽く溜め息をつき、藤木はせせら笑う。
「ふん、こんなのよくある詐欺クリックサイトじゃないか。ボクが1日なん時間エロサイトを見てると思ってるんだ。今時こんなんで騙されるかよ。バカだなあ・・・」
「騙しではありませんよ?あなたのIPアドレスはxxx,xx,xxx,xx、ホスト名はxxxxxxxxxxx、更にメールアドレスまで拝見させていただきましたが、xxxxxxx@xxxx.jp、そこから電話番号を辿って080-XXXX-XXX、LINEも覗かせていただきましたが知り合いがほとんどお店のお得情報アカウントですねえ。お友達が少ないようですね……」
ドアの向こうから、男の声が聞こえる。
「だ、誰だよっ?」
恐る恐る、藤木はドアを開く。その向こうには、リボンの付いたテンガロンハットを斜めに被り、ニッコリと笑みを湛えた長髪の男の姿があった。
「きゃわああああああああっ!あっあっあっ……!お、オバケ!オバケ!幽霊っ!」
背筋を凍らせて仰け反る藤木の前に突如として現れた男は、帽子を取り、頭を緩やかに垂れてこう告げる。
「はじめまして。藤木 大河(ふじき たいが)さま。お世話になります。時空に関する貴方のお悩みをズバッと解決。個人事業でタイムトラベラーをさせていただいております、舞洲 鶴見(まいしま つるみ)と申します。依頼内容はいっさい口外いたしません。何なりとお申し付けください」
何のことだかさっぱりわからないが、とりあえず個人情報はこの舞洲という謎の男に抜かれているようだ。声を震わせて、藤木はひれ伏せる。
「も、も、申し訳ございません!うっかりクリックしてしまったんです間違いなんですどうか!どうか!僕はバイトの身なので到底、支払えません!」
床に顔をひれ伏せて藤木はただひたすらに謝る。舞洲は首を捻り、ふと数日前の記憶を手繰り寄せ、合点が行ったとポンと手を打つ。
「ああ……。アレかな。このまえ、酔っ払って時空のインターネットを弄って適当にいろんなところにウチのバナー広告を貼り付けて遊んでたんですよね。そうそう、エロサイトにもやったんだった。ちゃんと本物っぽく微妙に日本語がおかしい脅迫文もつくってね。あっはっはっ!いやあ、申し訳ない。アレは遊びで作ったダミーなんですが、驚かせてしまったようなので……そうですねえ、出会えたのも何かの縁です。特別に、無料でひとつだけ、あなたのご依頼を承りましょう」
(今週はここまで!)
-おまけ-
こういうよくわからない写真をLINEカメラで撮ってみました。ちょっと素材がバレバレですね。タイムマシンって四輪駆動だったんだね(違う
寄り道しかしない企画『PoNoT』(Project of NoT)。次はどうこねくり回されるのか?それは誰も知らない私も知らない。続報を待て!締め切りと設定したクリスマスらへんに間に合うのか?
サウナはたのしい。