地獄製造機
「監獄レストラン ザ・ロックアップ」の新宿店が7月いっぱいで閉業されるとのこと。
かつては全国に店舗が存在した人気チェーンでしたが、例のアレの余波などもあって集客が苦しくなり、この新宿店の閉業により、完全に撤退するのだそうです。
自分は大学生の頃に、京都の河原町にあった店舗に訪れたことがあります。
入り口のおどろおどろしい階段から、もうすでにガチな造り。どこかの洞窟に迷い込んだかのような不気味な演出。人形かと思いきや、いきなり動き出す人間。
さらに座敷に上がれば、今度は唐突に死神みたいな人が出てきたり、料理を運んでくる人もこれまたゾンビだったり。
もちろん、すべて計算し尽くされたエンターテインメントなので、お客さんの安全は保証されているのですが、なかなかにホラーとしてのクオリティが高く、けっこう本気で怖かったです。
通うほどではありませんでしたが、その後も2〜3回は訪れたので、リピートしようと思わせてくれる魅力は確かにありました。
ところで、話は全く変わるのですが、『キテレツ大百科』の地獄の話をご存知でしょうか。
タイトルそのまんまの、キテレツが地獄を作る話です。キテレツくんの先祖のキテレツ斎さまは、地獄すらも発明なさっていたのです。
それに感銘を受けたキテレツくんは、さっそくオリジナルの地獄を製作。といっても、本物の地獄ではありません。あくまで表面的にビビらせるだけ。
ネタバレになってしまうのですが、本当に死ぬような仕掛けがあるわけではなく、大怪我をするわけでもない。結局、地獄をヌルく設定しすぎたせいで、友達の遊び場にされてしまうというオチ。
で、ここからは本題であり、自分のダークモードを世に晒すことになるのですが、陰キャなら一度は「自分が嫌いな奴が地獄に堕ちる妄想」をしたことがあると思うのです。
キテレツはまだ、発明という特技があり、逆上がりができないというコンプレックスはあるものの、基本的には友達から一目おかれているので、自己肯定感がそれなりに高くて余裕があります。
のび太と違って道具を悪用することもほとんどなく、生活を便利にするためだったり、周囲の困り事を解決するために発明をする。
その反面、のび太は闇が深そうなのですよね……。
常にジャイアンの暴力とスネ夫の陰湿さの監視下に置かれ、勉強もスポーツも不得意。好きな女の子はいるものの、その恋のライバルがイケメンで優しいできすぎ系な男子。
ドラえもんの作中でも、「どくさいスイッチ」や「悪の道をすすめ!」など、のび太のダークサイドが垣間見えるエピソードはあるのですが、キテレツみたいに地獄をつくっている回はありません。
しかし、オリジナルの人間をつくる「人間製造機」をのび太が弄る回ならあります。
なぜにそんな危険すぎるものをドラえもんが部屋に放置していたのかは謎。いちおう「絶対に触るなよ」とのび太に忠告はしていたものの、それが完全にフリになってしまっている。
そもそも通販でこれが送られてきたということは、ドラくんは購入したんだよな……?人間製造機をポチッたということだよな……?一体なんの目的で?というのは気にかかりますが、それはともかくとして。
キテレツの航時機はドラえもんのタイムマシンにあたる機械だし、ドラえもんのガリバートンネルを想起させる門をキテレツが発明する話もあるし、両作品に出てくる道具には、よく似たものがたまにあります。
ということは、キテレツ大百科に地獄がラインナップされていたように、ドラえもんの行きつけの未来デパート(人間製造機を送ってきたのは新世界デパートだが)の商品カタログには、地獄製造機も掲載されている可能性がある……。
あるいは、既存のひみつ道具を駆使すれば、頑張ればできるかも……。天国に近いものならつくったことあるし。
もしのび太が地獄をつくったら、日頃のジャイアンへの恨みつらみを反映させ、とてつもなくエグい内容のものができあがってしまうのはなかろうか。
うらみはらさでおくべきか。これだとA先生のほうの作風になってしまうな。でもF先生も大人向けの短編は闇が深いからなあ……。