子供たちのHIKAKIN
生ける人間国宝として称賛されている、20億円の豪邸に住む豪傑のHIKAKIN大先生が大監修されたというカップラーメン「みそきん」およびカップ飯「みそきんめし」を入手しました。
前回の発売時から、HIKAKIN大先生がカップラーメンの歴史を塗り替えるとおっしゃっているとかいないとかいう情報は知っていたのですが、どこのコンビニに行っても売り切れ、気がつけば予想どおりにアマ○ンやメル○リで法外な値段が付けられ、ヤフーニュースになっていました。昔はそうでもなかったと思いますが、現代社会においてヤフーニュースに載るということはすなわちゴシップ記事として価値があると判断されたということです。
そんな転売ヤー対策のためか、地元のコンビニではひとり2個までと制限がかけられていました。箱買いしようとコツコツお小遣いを貯めていたちびっこだって中にはいるだろうに、汚い大人のせいでこんな住みづらい社会になっちまった。最近はポケモンカードもひとり何枚までしか買えないという制限があるらしい。
今や、子供たちの夢を踏みにじる大人たちの存在なんてものは、コロコロコミックを読まなくても現実世界で出会えるものとなってしまった。
たとえば、ミニ四駆なんて、昔はほとんど子供たちしか遊ばないようなもので、大人にとっては接着剤もろくに使えないクソガキがクソ生意気にニッパーなんぞを使って戯れているおもちゃとしか思われていなかった。いくら四駆郎や豪がミニ四駆はおもちゃじゃねえと言い張っても、大人たちはただただ嘲笑を浮かべるのみであった。
かつての小学生男子たちは、平成中期の当時でもすでに数少なくなっていた街の模型店にまでわざわざ赴き、3周100円とかの今にして考えたらボロすぎる商売になけなしのコインを注ぎ込み、めちゃくちゃ高価なので自分では買えないサーキットコースを貸してもらっていたものだが、今はどうだ。
大きめの家電量販店に行けば、立派なサーキットがセッティングされている。店舗によっては作業用の机まであったりする。しかしながら、あそこにいる人たちのほとんどが30代以上のおっさんたちで、小学生が戯れているのを見たことがありません。
これはポケモンや遊戯王についても似たようなことを思っていて、親子でポケモンを集めるのも、カードゲームをやるのも、それはそれで、もちろん素晴らしいことだとは思うのです。
しかし、ポケモンが151匹しかおらず、ポケモンショックとはなんぞや?と眉をひそめる親に介入されることなく、きっと大人になったら通信ケーブルやセレクトBBなんて忘れているんだろうなと信じて疑わなかったあの頃の幸福は、今の子供たちにはもしかしてあんまりないのでは?と考えると、少し不憫なように思う。
14歳だというのに、不覚にもおっさんくさい話をしてしまいましたが、せっかく入手できた「みそきん」&「みそきんめし」、まだ開封しておりません。なんだか、もったいないのです。あと、なんだか後ろめたい。
HIKAKINさんは現代の子供たちのヒーローであり、カリスマであり、先生である。我々の幼かった頃にはユーチューバーなどという職業は存在しなかった。
特に、HIKAKINさんのような、基本的にキッズに向けた動画を制作されているユーチューバーは、子供たちの世界での英雄である。令和のミニ4ファイターとか中村名人みたいなものだ。
そこに大人が介入しすぎるべきではない。たまに、「HIKAKINの動画の何が面白いかわからん」と言っている大人がいらっしゃいますが、あれはあれで、ある意味で正しい反応だと思うのですよね。HIKAKINはあくまで子供たちのHIKAKIN。
それを大人が軽はずみな気持ちで、普段そこまで動画を視ているわけでもないのにコンビニに走り、話題性のためだけに利用するのは、愚かとまではいわないものの、あまり美しいとはいえない。
まずは子供たちに「みそきん」「みそきんめし」を食べて楽しんでもらって、やがてHIKAKINさんご自身もカップ麺のことなど忘れて再びハンドスピナーを回し始めるくらいの時期になってから、そのタイミングであえて「みそきん」「みそきんめし」を食したい。3年後、いや5年後であろうか。
しかし、ラベルの賞味期限を見たところ、2024年1月20日とある。あと半年もない。カップ麺の賞味期限って意外と短いのな。ふつうに数年は保つものと思っていた。私は胃腸の強さにあまり自信がないため、賞味期限が切れてから2年半後とか4年半後とかのものを食すのはさすがにちょっと……。
というわけで、とりあえず正月まで置いておこう。良い子のみんなは、おぢさんより先に食べてくれよな。転売ヤーは果てろ。