忘れ物から始まっていく
全国各地で、「鉄道忘れ物市」なる催しが定期的に行われているそうです。
電車の中に置き忘れられ、いつまでも落とし主が現れなかった品物を、まずオークションにかけます。そこで値段がついたものが、中古品として格安値で店頭に並べられるという仕組み。
大阪では船場センタービル内にコーナーがあるほか、生野区にもテナントがあります(ただし、こちらは現在も使われているのか不明)。
電車内で最も多い忘れ物は、やはり傘なのだそうです。100円ショップで買った安物ならともかく、中にはブランド品の数千円の傘もあるのだとか。
後で気づいて失望するも、駅ならともかく電車の中だともう探すのは無理だと諦めたのか、あるいは数千円の傘なんか使い捨てだと割り切るブルジョアジーな人が持ち主だったのかはわかりませんが、自分だったらブランド物の傘をなくしたら発狂するなあ。
次に多いのがワイヤレスイヤホンなのだそう。昔から多くの人が利用している傘と比べて、ワイヤレスイヤホンなんてここ数年で普及したばかりのものなのに、電車内での忘れ物の件数、堂々2位。
確かに自分も何度かなくしかけているし、そもそもなくすのが怖いがために両耳がケーブルで繋がっているタイプを使っています。Air Podsをカバンの上とかに無造作に置いている人を見るだけでヒヤヒヤする。
あとは、文庫本やモバイルバッテリーなんかが多いそうです。このへんは小物なので理解できるのですが、中には洋服を一式だとか、コスプレ用のウィッグだとか、ベビーカーをまるごとだとかの、なかなかに大きな忘れ物もあるそうです。そういった中古品は掘り出し物なのだそうな。
自分は、電車の中ではありませんが、駅のトイレに傘を忘れたことが何度かあります。
昼過ぎには雨が降っていたのに、途中で止んで使わなくても大丈夫になったので、油断したのです。気づいた頃にはもう夜で、遥か先の駅まで移動していました。
あれも忘れ物市に紛れ込んでいるのかもなあ。平凡なコンビニの傘なので、再会したとしてもわからないだろうけど。
とりあえず、傘はトイレ室内のフックに掛けないほうがいい。それだけで忘れる確率が20%上がる。ただ単に不注意なだけだが。
まあ、どこかの誰かに再び使われるほうが傘も幸せでしょうし、なくしたことをいつまでも悔やんでもしかたがない。
しかし、値がつかない忘れ物なんかは、やはりそのまま捨てられてしまうんですかね。
イヤホンは忘れ物であっても商品として成り立ちますが、これがイヤーパッドの片方だけだったらどうなのでしょう。そもそもがイヤホンの付属品の一部でしかないし、両耳のぶんが揃っているならともかく、片方だけだと成立しない。
市販の新品の交換用のイヤーパッドが6個入りで100円前後で売られてるのを参考にすると、1個しかなくてさらに片方で中古品となるとその価値は、……10円くらいか?5円?
激安ではあるけど、急にイヤーパッドが必要になった場合でない限り、他人の耳の穴に刺さったものを使うのは抵抗があるな……。
自分は基本的に中古品でも気にしないので、古着や古本なんかも余裕で買えますが、靴とパンツとイヤーパッドだけは、他人が使ったもののお古はイヤ。
とはいえ、使えさえすれば別に気にしないという人もいるでしょうし、何か別の用途に使う人もいるかもしれません。
イヤーパッドのイヤーパッド以外の用途での使い方を今のところ自分は思いつきませんが、ダイヤブロックはもともと売れ残りの鉛筆のキャップを改良して作られたという逸話だってあります。
もしかしたら、忘れ物のイヤーパッドを期に、新しい発明が生まれる可能性も……。
自分がどこかになくしていったイヤーパッドたちが、未来の子供たちの笑顔を作っていくのかもしれません。
なので、確実に2桁台であろう、今までに失ったイヤーパッドの数をかぞえても決して泣きません。イヤホンをなくしたら大泣きするけど。