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ぼっち・ざ・ふぉーりんろっく

世の陽キャ高校生たちが青春パンクやヒップホップに夢中になっている頃、自分はひとりで放課後に昔のヴィジュアル系のCDを漁る、灰色で薔薇と虚飾に塗れたムーンライトセレナーデなアオハルを送っていたということは以前に書きました。

でも、ヴィジュアル系の音楽だけを聴いていたわけではありません。ていうか、ヴィジュアル系を好きと言うとなぜかヴィジュアル系しか聴かない奴だと勝手に判断されるあの謎の風潮はなんなのでしょうか。

まず自分がまだオカンの胎内にいた頃に子守唄をうたっていたのが松任谷由実さんであり、親の車に入っていたカセット『VOYAGER』を胎教音楽として聴かされ、幼少時は毎日のように父の弾き語る井上陽水さんと吉田拓郎さんの曲を強制的に聴かされる。

やがて自我が芽生え始めた頃、日本でいちばん売れているということは日本でいちばんかっこいいということなのでB'zに興味を持ち、B'zはエアロスミスとかミスター・ビッグとかいうアメリカの人たちを尊敬していると知ってからは洋楽も少しばかり嗜む。

高校生の頃には、ほぼAM神戸しかまともに受信できないしょぼいラジオで林原めぐみさんのラジオを聴いて声優さんの歌にも触れ、大学生の頃にオタクの友達にKOTOKOさんの『さくらんぼキッス〜爆発だも〜ん〜』を教えてもらって衝撃を受ける。

というのが自分の音楽ルーツであり、フォークもニューミュージックもハードロックもアニメソングも電波ソングも通っているので、決してヴィジュアル系だけではないのです。えっへん。ギターはすぐに挫折したが。

途中で洋楽も少しばかり嗜んだと書きましたが、やはり14歳くらいになると他人と違う音楽を聴いてイキってみようという感情が生まれるもので、最初はエアロスミスやミスター・ビッグからの流れでヴァン・ヘイレンを聴いてひとりでイキっていたのですが、どうもヴァン・ヘイレンはかなり有名らしいことを後に知ります。

当時はネットがなく、まだうちがケーブルテレビに加入する前だったので、海外のバンドのMVを視る機会などなかったので、世界的なロックバンドでありギター奏法の革命者であるエドワード・ヴァン・ヘイレン氏の率いるヴァン・ヘイレンをマイナーなバンドだと思っていたのです。無知って本当に恐ろしいし、すんげえ失礼だな。

なので、もっと違う方向で、なおかつ青春パンクで盛り上がっている奴らとはひと味違う洋楽を聴いてやるぜと、次に手を取ったのはピンク・フロイドの『狂気』というアルバムです。

これは決してマイナーではなくむしろ超メジャーで、世界で最も売れたCDアルバムといわれています。

Dragon Ashや175Rやロードオブメジャーよりも売れていたキングズロードな作品ですが、なにせ1973年の古いアルバムなので、きっとクラスの連中はろくに聴いたことがないであろう。

俺は1973年のオールディーズな洋楽を聴くぜ。親のお古のaiwaのラジカセでな。そのような中2感バリバリの選民思想を抱きながらCDを再生したのですが、まあ青くさいガキには理解できませんでした。なんか、その、ワーッと盛り上がる感じの曲がない(小2レベルの感想)。

結局、ダビングもせずに駅前TSUTAYAさんに返却しました。

神聖かまってちゃんの曲『ロックンロールは鳴り止まないっ』は、それこそ駅前のTSUTAYAでビートルズやセックス・ピストルズを借りて聴いたが最初は何もわからなかった、だけど部活の帰りになんとなく聴いたら、ビートルズやセックス・ピストルズの音楽が鳴り止まなくなった、という内容の歌詞です。

あれは去年のいつ頃だったか。陰キャな高校生活からもう10数年、今こそピンク・フロイドを聴いてみようと、本麒麟に含有される6%のアルコールが回った頭で唐突に思いつきました。文明は進化したので、CDをレンタルしに外に走らずとも、すぐに手元のスマホで聴ける。

ということで、『狂気』を聴きました。1973年の作品なのにインダストリアルっぽい音がやたら入っているのが凄い。あと、『MONEY』という曲はわりとポップで、シングルカットするならこれだな。実際にシングルカットされたらしい。どうやら自分もこのような中2レベルの感想はいえるくらいにはなったようだ。

酩酊しながら半世紀前のプログレッシブロックの音に揺られ、神聖かまってちゃんのの子さんが歌っていたのはこういうことなのかとひとり頷いたのでした。

そして、今の自分はぼっちではない。こういうことをインターネットに書ける。


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ぷらーな
サウナはたのしい。