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葉巻デビュー失敗

またタバコの話をするぜ。この大嫌煙時代によお。昔話だぜ。

まだマイルドセブンだった時代のタバコの話するってのに、メビウスに日和ってる奴いる?いねえよなあ?……別にうまいこといえていませんな。

あの愛美愛主メビウスはタバコからチーム名を名付けたのだろうか。だとしたらちょっとダサいな……いちばんメジャーなところが元ネタというのがダサい。亞阿苦露嫌流アークロイヤルとかにしておけば、稀咲きさきにハメられることもなかったろう。

さて、自分は結局タバコの味そのものが好きなわけではなく、プカプカと惰性で吹かすことだけが好きだったのだと気づいてから、お別れをしたのですが、別に現在進行形で喫煙なさっている方々に辞めろとはいっさい思わないし、立派な文化のひとつだと真面目に思っています。

自分はまだ世代的に「タバコを吸うってなんか悪そうでカッコイイ」という風潮があり、現在ほど忌み嫌われる存在ではなかったように思います。

小学生の頃はまだタバコのテレビCMが放送されていましたし、明石家さんまさんは番組内でゲストを前にふつうにタバコを吸っていらっしゃいました。

雑誌の広告なんかでL'Arc~en~Cielのhydeさんがタバコを吸っている写真を見れば憧れたし、黒夢の清春さんになったつもりで、2000円のやっすいmp3プレイヤーで『Like A Angel』を流しながら吸ってみたりとかもやりました。

ただ……そんなことを繰り返しているうちに、だんだん、なんかタバコ飽きたな、という感情が芽生えてきました。 

そして、2010年10月、タバコの価格の一斉値上げが発表。これは当時かなり大きなニュースになっていたので、なんとなく憶えていらっしゃる方も多いのではないかと思います。

それまでも何度か値上げはしていましたが、20~30円ほどのちまちましたもの。

でもこの時は、多くの銘柄が100円前後の値上げを遂行。それまで千円札1枚で3箱ぶん買えていたものが2箱しか買えなくなり、1カートン(タバコの箱買い)3000円だったものが4000円に。

事前に買い溜めしておこうと、世の喫煙者たちは戦々恐々。

コンビニにはカートンを買う人たちの行列ができ、タバコ屋さんでは大量に予約する人のために専用の紙が配られました。かくいう自分も、なんカートンだったか忘れたけど、それなりにたくさん買っておきました。

その頃に買い溜めした人のうち何百人かは、「これを吸い終えたらもう禁煙しよう」と決意されたと思いますが、その方々は今どうしておられるだろうか……。

自分もその時点ではもう、これを機にやめるのもありかもな……とはうっすら感じていました。でもそれと同時に、いかに経費を少なく喫煙を続けるか、その方法も模索していました。

そこで思いついたのが、葉巻に切り替えてみるというもの。

葉巻は一般的な紙巻きタバコより長いので、そのぶん燃焼時間が長い。

1本の葉巻で、ふつうのタバコの4~5本ぶんくらい長く楽しめます。だいたい20分くらいで吸い終えることができますが、中には1時間以上ずっと燃えつづけられる銘柄もあります。

それならもしかして、今まで吸っていたふつうのタバコよりも、コスパの良い吸い方ができるのではないか。

葉巻。

なんか、大人の階段を登るような気がする。
ただのイキりスモーカーには辿り着けない境地が、そこにあるような気がする。

タバコを吸ってもhydeさんにも清春さんにもなれなったし、ラグーン商会にも入れなかったけど、葉巻を吸えばきっとムーミンパパに少しだけ近づける気がする。

実際にムーミンパパが吸っているのはパイプタバコであり、葉巻とは違うのですけどね。彼は葉っぱを直で吸っています。

しかも、ムーミン谷には自身専用のタバコ畑があり、そこから採れた純度100%の葉っぱを味わっているという。愛煙家の極みである。

フィルターなしで採れたての葉っぱを摂取するって、どういう感じなんだろう。もはや○薬の自家栽培と同じだよな……。それはともかく、問題はフィルターなしということなのです。

これはタバコを吸ったことのない方には馴染みがないかもしれませんが、タバコの吸い口から1〜2センチくらいの部分は、薄い紙で巻かれています。

この部分をフィルターと呼び、詰められている葉っぱをいったんここで燃やすことによって、吸入しやすい仕組みになっています。

ところが葉巻にはそれがありません。なので、吸いかたにコツが要ります。というか正確には、煙を吸うというより吐くというべきかもしれない。

口から入ってきたニコチンを肺には送り込まず、じんわりゆっくりと蒸す。口腔喫煙(口で吸って吐いてを繰り返すだけで肺には入れない)が基本です。

タバコの煙を燻らせる、という表現がありますが、この「燻らせる」というのは、ふつうのタバコではなく、葉巻にこそ似合う言い回しだと思います。口にくわえることを愉しむというよりも、その前後の煙が漂う感覚を愉しむ。

……などという侘び寂びを、葉巻童貞野郎の自分が知るわけもなく、何も考えずに近所のタバコ屋さんにて、キングエドワードなる未知なる銘柄を購入。たぶんパッケージがなんかかっけーからとかそういう単純な理由だったはず。

さっそく火を点けてみるも、ふつうのタバコみたいにわかりやすくメラメラと燃えない。違和感を覚えつつも、そっと咥えてみる。すぐに噎せ返ってゲホゲホ。あくまでそっと咥えたつもりなのに、ガツンと来やがる葉っぱたち。

フィルターがあるとないとでは、こんなにも違うものなのか(※キングエドワードにはフィルター付きのものも存在するようですが、自分がその時に買ったのは、キングエドワードスペシャルとかいうフィルターなしのやつ)。フィルターさん、いつも僕たちの日常のために働いてくれてありがとう。

で、燃焼時間が長いわけですが、その間ずっと葉巻を見張っていないといけません。灰皿に置いたまま、机の横にあるベッドに移って、うっかりウトウトして眠ってしまったりしたら、火事を引き起こすかもしれない。

かといって、20〜30分ずっと自室の机に座っているというのもなかなかの苦痛だ。

自分はスマホを弄る時もパソコンに触る時も読書する時も映画やアニメを視る時も、ずっと同じ姿勢でいるということが苦手です。電車内や映画館など、それが強いられる場面であれば別ですが、動こうと思えば動けるのに動かないのが耐えられない。

よって、本当は20分くらい愉しめるはずのキングエドワードの喫煙を、10分くらいで終えてしまいました。

どうも自分は、タバコを吹かす行為が好きだったとともに、咥える→吸う→捨てるが5分以内でできてしまうクイックさを気に入っていた喫煙者だったのだと思います。

その頃につるんでいた友達は吸わない人ばかりだったので、自分だけちょっとだけ抜けて喫煙所に行かせてもらうということも多かったのですが、ひと通りの喫煙を済ませて戻ると「え?もう吸い終わったの?」と驚かれたことが何度かあります。

当時は自覚がなかったのですが、どうやら自分は、他人よりも吸うペースが早かった、というか、吸い殻を捨てるペースが早かったらしい。

火を点けたら最後、なかなか捨てられない葉巻は、どうにも落ち着かなくてイライラしてしまって、結局はその一度の体験だけで終えてしまいました。若かったんですかな。まあ今も14歳なので若いのですが。14歳なのに合法的にタバコに吸っていた過去があるのですが。

そして、従来のタバコみたいに吸えながら、いちおう葉巻あつかいなのでちょっと安かった、リトルシガーと呼ばれるタイプのタバコ、キーススリムの、さらにローズミント味に出会うことになるのですが、

それはまたいずれ……。3000文字オーバーしちまった。

もう二度と喫煙をすることはないけど、タバコの話をするのって楽しいんだよなあ。

ちなみに、自分が主に吸っていた銘柄の変遷は、

マイルドセブン3ミリ→色々と模索→クールライト→マイナーなものも試す→クールエース→キーススリムローズミント

です。


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ぷらーな
サウナはたのしい。