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青少年とニッセンのカタログ

みうらじゅんさんは、雑誌やスポーツ新聞のエロいページを切り抜いてノートに貼った「エロスクラップ」なるものを作り続けており、2022年春頃の時点で42周年、第716巻にまで達しているのだそうです。

そこまですれば、もはや人生そのものを反映している。自分も10代の頃からやっておくべきだった……、とは別に思いませんが、自分が18歳を迎えて無事にその手のものに触れられるようになった頃にはもう、インターネットがそれなりに発達しており、近所だけでもTSUTAYAが3軒もあったため、雑誌よりも画像や動画でお世話になる機会のほうが多かったので、形あるもので残っていないというのには一抹の寂しさを覚えます。

というか、いま冷静に振り返ると、いわゆるエロ本というのは買ったことがない。インターネットがまだ手元になかった中高生の頃も、公園でそのカケラを拾ったことならあるけど、まるまる1冊を入手したことはない。

『BOMB』や『スコラ』みたいなアイドル雑誌を買ったことはありますが、いずれも全年齢対象の健全な内容。

その昔『BOMB』のおまけについていた、紙を擦るとグラビアアイドルの方のおっぱいが浮き出ているように見えるページは非常に楽しかったです。まあ、一体わたしゃ写真に向かって何をしとるんだ……?という気分のほうが勝ってしまってリビドーは満たされんかったが……。

VRの技術が発達した現在となってはもはやギャグでしかないのですが、ああいうバカバカしさが今となっては懐かしい。

『スコラ』は、初期の『クレヨンしんちゃん』の作中で、しんちゃんが本屋で立ち読みしようとするのを、みさえさんに「子供がそんなもの読んじゃいけません」と取り上げられている場面があって、それを読んだ小学生の頃、そうか……子供が読んじゃいけない内容なのか、ゴクリ……と感じていました。

いざ高校生になった折に買って開いてみると、水着のグラビアは確かにたくさんあるものの、その水着の向こうにあるものは見えずにがっかりした覚えがあります。

自分としては、ヌード写真が載っているのだと勘違いしていたわけですね。かつては実際にそういった際どい内容も掲載していたそうですが、自分が手に取った頃はもう、普通のグラビア雑誌のひとつでした。

だもので、意外にも(?)、18歳未満のボクは見ちゃダメよ、という類の雑誌を、うら若き10代の頃に読んだことがない。『プレイボーイ』を初めて読んだのはもっと大人になってからだしなあ。

さて、新年早々おまえは何をエロエピソードを暴露しとるのだ?せっかく1800フォロワーを超えたのにまた減るぞ?……というツッコミはすでに自分の心の奥から聞こえてきてはいるのですが、でもそんなの関係ねぇと脳内の小島よしおさんが暴れ回っているので、勢いで白状します。

エロ本がない、まだインターネット環境もない、そんな状況で、10代の悶々とした煩悩を抱えた性少年……、いや、青少年ぷらーなは、そういったものを何で発散させていたのかといえば……。

あの、その……。

ニッセンのカタログ……です……。

ニッセンというのは、まだインターネットが一般に普及する前から通信販売を行っている会社です。

1975年から、季節ごとにカタログを発行しており、全国の書店やコンビニ等で無料で配布されていました。駅構内などにタウンワークとかホットペッパーが置かれている棚がありますが、昔はあそこにニッセンのカタログもあったのです。

主に衣類を扱っていて、夏物コーデや防寒着の特集が組まれているのですが、真ん中あたりからは女性用下着のコーナーになりまして、当然ながらモデルさんが下着を着用なされている写真が拝見できるわけで、それだけを目的に、春夏秋冬ずっとカタログをゲットしていました。

余談ですがモデルさんのほとんどは海外の方で、それもまた思春期男子には……、いや本当に正月早々なにを告白しとるんだ。かつてニッセンのカタログをエロ本の代用としていた男子、自分以外にいらっしゃいますかね……?後で先生にこっそり教えてください。

そのように、高校生でも合法的にタダで入手できる代物を発見してしまったせいで、わざわざリスクを背負う必要がなかったわけです。

ここで急に時間が飛びますが、確か初回の免許更新の時に、交通安全協会の事務所の真下にエロ本専門店がありました。なぜにこんなところに?と思うような立地で、免許証の写真を撮った時の真面目な顔のまま、店内に入りました。

もちろんその頃にはとっくに成人しており、当たり前に入れるし、当たり前にすべての商品を買えたのですが、特に何も買わずに出てしまいました。

そういったものが自分にとって未知の世界じゃなくなってしまったということは、もうあの青臭い時代の自分には戻れないということに気づいたから……、かどうかは定かではありませんが、何かを失くしたような気持ちになったのです。

現代の10代がどういった経緯でそういったものに目覚めるのかは不明ですが、今のエロティックへのモヤモヤした気持ちはいずれ消えるものだから、大切にしてほしい。それが2023年のわたしの願いです。

あと、他に何か意外なものでエロの代用をしていた人は、後で職員室に来てください。

サウナはたのしい。